30 聖女とトンビ アリスside
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【森の困った訪問者】
王子がいつも通り森の動物たちと遊んでいると、『私は聖女です』と語る女が現れました。女は荷車にいっぱいの供物を乗せて王と王子に捧げると言いました。
王子は喜んで城内へその聖女を入れました。
しかし、その供物に動物の死骸でも入っていたのでしょうか。何処からともなくそれらを好むトンビがやってきてその供物を啄みました。
そのトンビたちは供物が無くなっても、お城のものを盗んだり壊したりして回りました。
トンビはどんどん数が増えていき。お城の空を埋め尽くすほどになりました。
王子の友だちの森の動物たちはトンビが恐ろしくて城に遊びに来られません。
王子は考えました。
聖女が供物を持ってきたのだから、聖女に何とかしてもらおうと。
聖女はトンビが大好きな油揚げに毒を塗り込みました。
トンビたちはそれを食べ尽くして全滅してしまいました。
聖女は言いました。こんな残酷な事をしてしまって、私はもう聖女ではいられません。
王子は言いました。貴女のおかげで城は守られました。これからは王女としてこの城で暮らしてください。
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これは【森の女王シリーズ】の一話目だ。
聖女が捧げ物を持ってくるシーンが今の状況に似ていると思って思い出した。
相変わらず残酷な絵本ね·····子供の時は気にならなかったのが本当に不思議だ。
王女はそもそもどこから来たのかな。
もとからの王女でなかったことを思い出し驚いた。
これでいくと、自由クリスマス教の牧師がトンビで、私は油揚げに毒を塗り込まないといけない。
でも·····
私は、いつまでも部屋の外には出られなかった。
どんなに騒いでも、ドアの鍵は開けられず、食事と暇つぶし用の図書だけが運ばれてきた。
その図書の中に偶然なのか、この【森の王女シリーズ】が入っていた。
昼頃を過ぎると、俄にドアの外が騒がしくなる。
「マリア様は何方に!マリア様を返しなさい!」
どうやら自由クリスマス教の牧師達のようだ。
「何を言う!?マリア様はこの国のお方だ!お前たちのものじゃない!」
城の兵士達が私を護ってくれているようだ。
私は王女という面倒な身分を隠すためにマリアを語っていたんだけど、最早マリアの方が面倒な事になっているのでは、と思う。
私はどうしたらサンディス様の待つ森の館に帰れるかと考えたけれど、到底無理そうで。
牧師達がこんなに強行な手段に出るとは思わなかった。
別に獲って食おうというわけでなし、私は牧師たちに顔を出してこの場を平和裏に納めようと思う。
カインを呼ぼうと口を開いた。
ドサッドサッバサッ
人が数名倒れる音が廊下へ響き、ドア越しに衝撃が伝わってくる。
「カイン?そこにいるの·········?」
カインの気配がしてドアをたたいて向こうに声をかける。
ドアがようやく開いた。
そこには返り血を浴びたカインが立ち尽くしていた。
「トンビは毒の油揚げを食べたよ」
カインは低く冷たい声で、そう答え、
「··········ようやく、奴等を一掃できた。ずっとこうする機会を狙っていたんだ」
「な、なんて恐ろしい事を!?せ、戦争になるわよ······!」
「彼らは連れてきた兵を引かなかったんだ。このままだと、この国はカメリア合州国に蹂躙されて終わりだ」
「でも、このままだって、カメリア合州国は黙っちゃいないわよ?」
「ディスィジュエス共和国をけしかければ。あいつらは餌に飛びつくだろう」
「··············」
カインにとって
どうやら、トンビは他にもいるようだ。
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