27 聖女と王女のミスマッチ ジョシュアside
俺、ジョシュアは対応を求められた。
初めの異変は『自由クリスマス教』に表れた。
来国していた一番権威ある牧師が急逝されたのだ。心臓発作だった。
ちょうど『マリア』と名乗る女を審問する為、二言三言交わした直後だった。
女は非常に美しい······だけではすまされない、内側から溢れ出る眩しい光のようなものを感じさせる、非常に神々しい女だった。
絵画表現するなら、光背はもちろんの事、何らかの抽象的表現が約束される部類の美しさだと言える。
権威ある牧師は女のあまりの美しさに驚いて卒倒したのだと、俺なんかは思ってしまう。
牧師が女を審問中に命を落とすなんて、女が刺客だと疑われてもおかしくないぐらいだろう。
それなのに、
誰も彼もそれを問い糾す事を忘れ去るほど女は絶対的に眩しき光で正しさに満ち満ちていた。
俺はといえば、
輝いてるモノの扱い方と対応は······とぼんやり考えていた。
賓客にするか、はたまた放逐か?
放逐が平和で良さそうなんだけどな。
カイン王太子も女を食い入るように見ていたが、
···········一言も発さなかった。
あれはアリス王女の木像では?と言えばいいものを。
俺も言わなかった。
確かに恐らくあれは、アリス王女が原型であろう、アレなんだろうな。
俺がたぶん荷馬車から落としてしまった後、勝手に動き回っているのだろう。
回収すべきだが··········
アリス王女が作った木像はもはや危険物だった。
森の館で完成品を見た時はまだ木っぽかったのに、どうしてああなった。
あんなものをわざわざ隣国ディスィジュエス共和国に送るのは、何となくヤバい気がする。
とにかくアリス様の面影から美しすぎる人外へと突っ走り一人歩きしすぎたアレは、もはや普通の生きとし生けるものに加えられるはずはなかった。
俺はアレは諦めてどこかへ放って、アリス様へ新しい品の注文は····間に合いそうもないので、ここはやはり代役を探そうかと思い始めていた。
次点に権威あると自称する牧師に審問の続きが委ねられ、牧師はなぜ女が『マリア』だと名乗るのか聞くと、その女は答えた。
「えっと、かつては人間だったのですが、今は違うので?自分を何と呼べばいいのか分かりません。民が私を『マリア』と呼びますのでその名を語らせて頂きました」
牧師はなぜ城に現れたのか尋ねた。
「それは········民に多くの捧げ物を頂きましたので、お城の皆様に差し上げたくて持ってまいりました。どうぞ納めください」
見ると女と一緒に運び込まれたという荷物が角に山積みになっていた。
その女は城の者たちに目配せをしたが、自由クリスマス教の牧師たちが率先して物色し始めた。
『捧げ物=自分たち』の浅ましい構図が出来上がっているのだろう。
「なんと!これらを全て私達に寄進とは········何と敬虔なお方でしょう!」
「えっ?全部?あら、そういうわけでは·······」
女は少し慌てて否定している。
俺は考えていた。
アリス様が作った木像って話せるんだなと。
というかこの木像って、·········誰か憑依していないか?
一度口を開き話し出すと、途端に凡庸を纏う。
明らかに外側と内側のミスマッチがハレーションを起こしかけていた。
その後も次点の牧師と宗教談話を難なく交わした女はたいそう牧師に気に入られたようで、自由クリスマス教の賓客としてそちらの客室で丁重に扱われることになった。
受け答えの凡庸さは置いておいても、これほど宗教の会話についていける者はこの国にはそうそう居ないだろう。
木像の女の、自由クリスマス教への造詣の深さには、さすがに驚き舌を巻いた。
俺は思った。
これはもう、あちらさんに放っておくしかないなと。
あれはアリス様ではないし、
しょせんは、木のでくのぼう。
後はもう野となれ山となれ、だ。
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