14 私たちの文化生活 アリスside
便利な暮らしがしたい!
ピピッ
「こっこれは、体温を正確に測る機械········!?
···········凄い発明だ!」
発明?
サディス様は『電子体温計』に驚きすぎておかしくなっているらしい。
「えっと、発明ではなくてですね······」
うーん、どう言ったらいいのだろうか。
私の作った木製品が前世に実在した物に具現化してしまうことを発見してしまった。
この世界はあからさまな魔法こそ無いけれど、まだまだ不思議な出来事が目白押しなので、あり得なくはないかもしれない。
私もこんなふうに自分の力が使えるなんて知らなかった。王女って凄い。
私はずっと、ここは絵本の中のような世界だと思っていた。
お城も森もこの可愛らしい洋館も、とてもメルヘンチックでまるでおとぎ話の世界だ。
結局数日後、サディス様は水銀体温計を苦心して取り寄せてくれ、『電子体温計』と比較して温度の正確性を確認する事ができた。
使えるか確かめる為に高価な水銀体温計を買うことになるとは本末転倒よね····
と思いつつ、
どうせなら、元を取るために私はこの『電子体温計』を商品にできないかと思った。
サディス様は、魔法で動いてるにせよ、仕組みが不明でいつ止まってもおかしくないものを売るのは·····と最もなことを言った。
うーん、
でもこれがあれば皆が病気の時の助けになると思う。
皆に便利なものを使って欲しいし!
万が一、不具合があれば交換や返金をすることに決める。
とまあ言っても、結局はお金が稼ぎたいってだけだけどね!
だってこれから独立して一人で暮らしていくならお金がたくさん必要だし、サディス様にこの館にかかった費用も少しずつ返さないとと思っている。
あ、あと水銀体温計の分もあったわね~
とはいえ、初めは全然売れなかった。
やはり私に信用がない上に、病床時の体温変化の重要さがあまり庶民に理解されていなかったからだ。
背に腹は代えられない。
私は捨てようと思っていた王女の肩書をゴミ箱から拾って大仰に掲げる事となったのだ。
つまり『王女ご用達』の看板は、多少は効果があった。
それでもイマイチなので、街へ出て医者の真似事などして信用を得た。前世の知識での看病は今世では珍しく効果的だったので、感謝されて恐縮だった。
医者や薬剤師、街の人々とも知り合うことができて本当に嬉しかった。
電子体温計はとてもシンプルな形なので木の成型が簡単だ。
大量生産よろしく私とサディス様は電子体温計を削りまくった。
そして昨日、ようやく電子体温計を希望する街の人々全員に納品し終わった。
ここ数週間は戦場だったのだ。
ピーピーピーピー!
「はっっ」
サディス様が身構える。
「あら、洗濯が終わったようですね?」
こんな異世界で、私たちは思いがけず文化的な暮らしをおくれている。
「あ、ああ·····私が、」
サディス様が慌てて立ち上がる。
まだ電子音に慣れていないようだ。
「いいえ!次期公爵様に家事などさせるわけにはいきませんわ」
「それを言うなら、貴女は王女······」
「オホホホ!私の手にかかればこんな家事なんて、チョチョイのちょ〜いっですわ!」
「流石です」
ドラム式洗濯機なので乾燥も済んでいる。
後は洗濯物を畳むぐらいですものわけないわ。
掃除機をぶい〜んと言わせながら鼻歌を歌ってしまう。
快調快調♪家事って思ったより楽しいわね♪
そうそう、冷蔵庫も作ってみたけどとても調子は良い。
食材が冷やせるので食料の日持ちが良くなり買い出しの苦労も格段に減った。
冷凍庫もあるし、アイスを作ってみたいわね!
でも大きい物は木材が沢山いるし、形が複雑だったりして作るのも一苦労だ。
後は何かしらね、ドライヤーとアイロンはもう既に完成し、現在使用運転中だ。
「安全性は確認しないといけませんね」
「そうね、一ヶ月くらいここで使用運転してみましょう」
「これらも売るとしたら値段は幾らがいいかしらね?」
前世の日本のような快適な暮らしは実現しつつある。
しかもお金儲けもできている。
夢まであともう少し!
「うふふ······ふふ·······ほーーーホッホッホッ」
私は肩を震わせて笑いながら、木材の切れ端で作った電卓を弾いていた。
「貴女は全くもう······」
サディス様は飽きれたように片手で顔を覆った。
あら、
守銭奴っていいたいのかしら?
この世界で、
私だけがおとぎ話の登場人物じゃないみたい、なんてね。
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