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王女アリスはツリーの下で前世の夢を見る  作者: 漆あんか
第一章 

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11 二人の暮らしは サディスside

王城では何が起きているのでしょうか·····

「アリス様はまず何を作られるのですか?それに適した木の種類と大きさのものを揃えないといけません」


私、サディス•トゥヒ•スプルースは微笑んだ


アリス様は呆然としている。

まだ夢の中の続きのような空気を纏っている。

現実だと知らせたくて、つい頬に手をのばしてツルツルのお顔を撫ぜてしまった。


「サディス様············ここで何なさってるんですか?」


「はい、助手として雇っていただきたく。

アリス様が工房を開くと聞きつけまして」


それを聞いても戸惑っている姿が何とも可哀そうで可愛らしい。そして、ついつい凝視して怯えさせていないかと、努めて柔らかく笑うように心がける。

アリス様はさすがに公爵令息を工房の助手にするつもりはないようで沈黙が続く。


「だけどこんな所で······公爵家のお仕事はいいんですか?すぐ帰られるのでしょう?」


「次男に任せて来ましたので、そんなことはお気になさらず」


アリス様はそれを聞いて真剣な顔になった。


「私はここに来た限りは、王女としての身分を返上しようと考えています。なので婚約者というのも····」


彼女の口を手で優しく塞いだ。その言葉の続きは聞かなかった。

この日の為に木工芸について勉強した私は何とかこの努力を認めてもらおうと躍起になっていた。


「···········それでは、私がこの工房に準備した物に関してご説明させていただきます。」


木製品の加工に必要な道具。仕様に合わせた塗料の種類。様々なノコギリや鉋の使い方とお手入れに使う砥石の種類。刀を研ぐ時と作業用の水場の設置場所。そして掃除道具の場所。ついでに生活で必要な炊事場や風呂場の使い方なども説明していく。

終いにはこの森について、木々の群生の話と土壌から出る良質の粘土を発見したことについてまで話し切っていた。

これでこの数ヶ月の私の努力は全てさらけ出した。

後は真価を判断していただくだけ。


私達は外へ戻って赤い屋根の館の外観を眺めた。

ううっという声が聞こえた気がして見ると、

アリス様は·······目がぐるぐる回っていた。呪文でも聞いてしまったかのよう。だが、


「わ、分かりましたわ!サディス様がそんなに木工芸に興味がお有りだとは知りませんでしたわ!」


熱意は伝わったようだ。


「では、これから共に頑張りましょう」


私は悠然と言う。勝った、と思った。


「はっはい!」


二人は固く握手を交わした。



そして、また沈黙が。



「あの、ヒューゴ先生は」


「ヒューゴ?ああ、ファツィア公爵家の。彼はここの向かいの森の泉の畔で魔法植物を調査する研究所を開いたそうですよ」


「???」


キツネにつままれる大きな瞳も愛嬌がある。


「私の部屋は一番日当たりの悪い狭いところでいいですよ」


「え?」


「ん?」


(···········ここに一緒に住むのおおおお!!??)


という声が、蒼白のお顔のアリス様から聞こえた気がした。

私達は婚約者だというのに気を遣いすぎだと思う。


そう、何があっても婚約者なのだ。

スプルース公爵家でそう決めている。

もし叶わなくば、王がスプルース公爵家を軽んじていると見なすと、公爵家と傘下の貴族達を抱き込んで王家へ伝えてある。

恐らくは王城に帰れば、互いの親が証人になり婚約の儀式を神の前で交わす。

この国で慣習の結婚の前段階のセレモニーだ。



ファツィア公爵家のヒューゴを絞め上げて、アリス様の木工工房という希望を聞いた後の私の行動は早かった。

この館も彼が手配した工房を密かに参考にさせてもらったが、ややそれよりも大きい仕様に増設した。

二人ぐらいは楽に暮らせると思う。


ヒューゴの方はさすがにアリス様と一緒に暮らす度胸は無かったのだろう。


私は自制心もあるし、何よりこんな辺鄙な場所にアリス様を独りぼっちにできるわけがない。



私は、8年前の王城での厄災を思い出して身震いした。

アリス様は4歳の時に命を狙われたことがあるのだ。

当時近衛騎士だった私が、腕も未熟だったのにも関わらずアリス様を助けられたのは本当に僥倖だった。


いや·················違うな。

アリス様に助けられたのだ私が。

彼女には不思議な力がある。



今、王城には二度目の厄災が降り懸かっている。

皆きっと大忙しだろう。


ここに二人でいれば、アリス様だけでも護れる。


後は門番兵と8人の近衛騎士たちが何とかしてくれる事を祈るしかない。

私はアリス様を守ると決めている。



「私はアリス様の弟子というわけですね。どうぞよろしくお願いします。師匠」


「はい!よろしくお願いします!」


これが、師弟等ではなく、本当の夫婦であればどんなに良かっただろう。

私は内心ため息をつきつつ、王城の方を見やった。


王城の方は黒い雲が立ち込めているように見えた。



「私はいつになったら嘘つきを返上出来るんでしょうね·······」


私の独り言に

リスの様に愛らしくアリス様は首を傾げるのだった。


読んでいただきありがとうございます!

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