第一話 将星
「…………、……い。おい。大丈夫か!?アストー!」
将星はどこかで聞いたことあるようなないような誰かの声によって目を覚ました。意識が覚醒し、よく分からない不快感を感じる。
将星は周囲を確認しようと辺りを見回して、丁度左側に顔を向けた所で見覚えのあるようなないようなやつと目を合わせた。
ん?こいつ、どっかて会ったっけな?ってか、めっちゃ体がだるいんだけど一体どうなってるんだ?
「アスト!良かった!急に倒れて、心臓も止まって、めっちゃ焦ったんだぞ」
「お……」
「大丈夫だ。今日はディア兄ちゃんが料理当番代わってくれたから。アストは一日休んどいて!安静にしてろよ!」
将星は突然の事で気が動転し、お前は誰だと聞く間もなくどこかへ行ってしまった少年を見て、脱力感を覚えた将星は放心状態になって、少ししてから再度思考を巡らせるために身体を持ち上げた。だが、目覚めたばかりなのもあり頭が上手く働かない。
将星は一度深呼吸をして心を落ち着かせようとしながら現状を整理する為に将星は少し前のことを思い出そうとする。
えっと、確か……さっきまで大輝達と喋ってたはず……だよな?
そう言えば大輝達どこ行った?直前まで近くに居たはずだ。あいつらどこいったんだ?それにディア兄ちゃんって誰だ?ってかここは一体どこなんだ?
様々な疑問が将星の頭を渦巻く中、急に将星は酷い頭痛を覚えた。それと同時に少しずつではあるが将星の中に誰か別の人間の記憶が入り込んで来る。
そして、数分激痛に耐えた後、頭痛に耐えかねた将星は意識を落とした。
将星の目が開いた。それと同時に将星の頭は再度酷い頭痛に苛まれるが、それよりも驚愕の事実に将星はそれ所ではなかった。
俺は一体何者なのか?それすらも認識出来ない。アストって誰だ?アストは僕だ。いや、アストじゃない、俺は将星だ。
記憶が混濁して頭が働かない。それにさっきの少年の事は思い出した。エルピスって名前だったはず、だよな。
だが未だにディアと呼ばれていた兄ちゃんの事は分からない。それにここがどこかも……一体何がどうなってるんだ?というかアストって誰のことなんだよ。
それに……何故か身長が縮んだ気がする……こんなに俺の座高低かったっけ?ベットが低いのか?いや床に敷いてあるし、そもそも布団だし。って、布団?というよりはボロい布敷いてあるだけで、布団じゃないか。もう何が何だかわかんねぇよ!
将星は意識が混濁し、頭痛を感じながらもまたもや意識が朦朧とし始めていた。これは身体の防衛本能だろうかと思いながら、また意識の海へと沈んで行った。