自分の権利を主張したいなら
自分の権利を主張したいなら、他者の権利を守れるようでなければなりません。他者の権利を守れもしないのに、自分の権利を主張する愚か者のなんと多いことか。権利は人間の権利だけではありません。動物の権利もです。
そして、権利を守ってほしかったら、権利を主張しないことも大事かもしれません。自分の権利を主張しないものの権利ほど守られている法則があるような気がします。私の小説「ヘブンズワールド」から一例を上げましょう。
「十字架に私は貼り付けられていた
悪魔でも風習は普通の人と同じなのね
そして私の隣にもう1人十字架に貼り付けられているものがいた
「アリサ様、どうして……」
「ヘルフェス……」
どうやら彼も捕まったらしい
もちろんこれも想定内だった
私は無茶をするつもりだった
「それでは我々の邪魔をしたこの二方に鉄槌を下す、異論はないな」
「おおおおお!!!!」
周りの悪魔たちが歓声をあげる
そろそろ頃合かな
「皆のもの聞け!!!!!」
私はできる限りの大声を出した
それと同時に悪魔たちが静まり返り
しばらくするとざわついた
「私はアリサ・レイニード、お前たちの敵だ」
すると、悪魔たちは私に罵声を浴びせてきた
「だが私はお前たちの敵になった覚えはない」
悪魔たちの罵声が止む
「私はこの世界を平和にするためにやってきた」
「……」
「だが今の私はあまりにも無力だ」
「……」
「しかし、それでも私は諦めるつもりはない」
「……」
「私はお前たちの欲求を抑える気はない」
「……」
「お前たちの欲求は全て私が受け入れよう」
「……」
「だが、約束してくれ」
「……」
「人には手を出さないと!!」
無謀かもしれない
だけど私はこれを言いたかった
しばらくすると
「ええい!!このものを処刑せよ!!」
という声が響いた
しかし
「アリサ様を守れええええええ!!!」
という叫び声が聞こえた
次の瞬間
悪魔たちが互いに戦い始めた
上級悪魔に抵抗するものたちもいる
「私は戦えとは言ってないのに……」
悪魔とはいえ、殺し合いは見るに耐えない
しばらくすると
私とヘルフェスはヘルフェスの手下であろう悪魔たちから十字架から開放された
「アリサ様、良かった!!」
ヘルフェスは私を抱きかかえた
「ささっ、安全な場所に移動しましょう」
「ヘルフェス、お願いがある」
「なんでしょう?」
「悪魔たちを一喝してやってほしい、私は戦いを望んでいない」
「アリサ様の言うことならなんなりと」
ヘルフェスは一息溜めると
「しずまれいいいいいいいいい!!!!!!!!」
と咆哮のような叫び声を上げた
悪魔たちが耳を塞ぐ
「アリサ様は戦いを望んではおられない、お前たちにはそれが分からぬか!!」
悪魔たちが静まり返る
「ヘルフェス、降ろしてくれ」
「アリサ様?」
「頼む」
ヘルフェスが抱きかかえている私を下ろした
そして私は悪魔たちの真っ只中へ歩いた
「アリサ様!!!」
ヘルフェスが私を心配して言う
「ヘルフェス、静かにしろ」
「……分かりました」
私はしばらく間を置いた
そして話し始める
「もう一度言おう、私を好きにして構わないと」
「……」
「私を八つ裂きにしたければすればいい」
「……」
「私を犯したければ、犯せばいい」
「……」
「その代わり」
「……」
「殺し合いはやめよ!!!」
悪魔たちは困惑した眼差しで私を見つめた
「ぐへへへへ、てめえにならなんでもしていいんだよな」
一人の悪魔が私に近づいてくる
インキュバスだ
「アリサ様!!」
ヘルフェスを含む悪魔たちがそれを止めにかかろうとする
だが
「先ほど言った私の言葉が聞こえなかったか!!!」
私は彼らを一喝する
そして私は私に近づいてくるインキュバスの元へと近づいた
「さあ来るがいい」
私はインキュバスの前で両手を広げた
インキュバスは私を押し倒した
その瞬間
ピカーン
花のペンダントが光った
「眩しいいいい!!!」
花のペンダントは今までと比べ物にならないほど
眩しく輝いていた
「もうこの世界は救い終えたのかしら?」
私を押し倒したインキュバスが私から遠のいた
しばらくすると私の意識が飛んだ
~天国3~
「教会……」
ここに来るのは今回で3度目になる
「アリサ君、君の勇姿に私は感銘を受けたよ」
「何をするの!!ラタルタ!!!」
「私は何もしていないよ」
「え?どういうこと?」
「君を汚すことを神が許さなかったんだろうね」
神め、余計なことをしてくれる
あと少しで悪魔たちを説得できたというのに」
このアリサという少女は善良な人達を守るために、悪魔に自分の身を投げ売りました。その結果どうだったでしょうか? 守られています。彼女は自分の命の権利を放棄して、かえって守られてるのです。
これは、創作です。ですが、インスピレーションが宿っています。この話は現実にも当てはめることが出来ます。考えてもみてください。今の地上の人達は自分達の権利を強く主張しています。ですが、結果はどうでしょうか? その権利は守られていますか? そういうことです。
復唱しましょう。権利を守ってほしかったら、他の人や動物の権利を守り、自分の権利を守れと主張しないこと。もっと言うなら、自分の権利を放棄する覚悟を持つことです。
そういうことを意識出来て、初めて人は幸せになれるのでしょうね。