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共闘




私は挑発するが、周りの選手達はあの巨人を倒した事でかなり警戒してきていて、近づいて来ようとしない。ただ1人、相棒の小人は小さな剣を持ち私に突っ込んでくる。


「ガギルダルの仇だ!喰らいやがれ!」


「それじゃあ、私には届かない。それに君は他にヘイトが向いてなかったら、あまり強くないと思うよ、アンナ流居合五ノ型「みなも」」


腰に鞘を移動させなおし。しゃがみ地面ギリギリを横に一気に振り抜き小人を斬る。


その瞬間、周りの選手が一気に押し寄せて来る。隙が生じたと思ったのだろうが、無駄である。


足に力を入れ後ろにジャンプし振り向きながら斬り、そのまま横にいる奴も斬り、次々と襲ってきた選手を切り伏せて行き、みんな綺麗に消えていく。一種の爽快感があり結構楽しい。


そう思ってるのも束の間で、背後から蔦が伸びてきて捉えようとするのを、全て斬り捨て、攻撃してきた方を見る。

2人組のようで片方は双剣を構えた男性、もう1人は片手に魔法書を持ったザ魔女の格好をしている女性だ。

私は少し警戒し剣を向ける。


「おいキィート、失敗してるぞ」


「まぁ、あれは牽制みたいなものだから防がれるのは前提、次が来るからノクートは準備して」


その発言と同時に私の真下に軽く人10人は入れる程の大きな魔法陣が現れ、大火炎が登り火柱が立つ。

それを間一髪で後ろに下がる事で避け、火柱を右から周り2人に一気に近づく。


「させねぇよ!」


双剣の男性が私の進路上に立ち剣を構え、私は大太刀を振り上げ突っ込み、間合いに入った瞬間に振り下ろすが両手の剣を重ねて防がれる。

男性は完璧に防いだ、と思っているのだろうが私の狙いはそれだ。

間合いギリギリで振り下ろしたから相手の剣と接触しているのは大太刀の先端部分である為、こういう事が出来る。


防がれた瞬間の力を元に、剣先に力を込めたまま、ジャンプして男性の頭上を一回転して飛び越える。


その間男性は驚きのあまり固まっていたが、私が後ろに回った事で悪い事を考えつき、すぐに振り向くがもう遅い。

私は一回転した力のまま、男性の背後にいた魔法使いを袈裟斬りして消し、そのまま背後にいる振り返ってきている男性を大太刀で横に一気に振り斬り消し飛ばす。

私は消えたのを確認し、額の汗を手で拭う。


「ふぅ、冷や汗かいたの久し振りだ。あそこに罠でも仕掛けてあったのかな」


「本当に貴女、何者なのよ?」


剣を構えてこちらに近づくのはさっきの少女だ。巻き添えにはならなかったのか。


「言ってるでしょ。そこらの冒険だって」


「嘘よ。巨兵のガギルダルと束縛のシィージィー、反撃のノクートと白炎のキィート。名のある2人組を一瞬で壊滅させるなんて、そこらの冒険者の筈がない」


あー、マーニさんがそんな名前を言ってたか。まぁ終わった事だし忘れてもいいか。


「そっちこそ、結構強いよね」


「……………貴女何も知らないのね」


少女は目を細めこちらを睨んでくるが、少し呆れているようにも見える。

さっき選手が話していたが、この少女は有名人なのだろうか。

と少し何かしら思い出そうとしたら、背後から殺気がし、すぐに剣を構える。それと同時にもの凄い速さで人が接近して来て剣で受け止める。その人は白い髭のハンサムで貫禄がある獣人お爺さんだ。


「ふむ、背後からの奇襲を防がれるか。お嬢ちゃんはなかなか強いな」


「お爺さんもなかなか強いね」


「おや、知らんかね?これでも元騎士団長だったんだぞ?」


「ごめんね。私あまり有名人を知らなくて」


「俗世に興味がなかったのか。だからこそ、儂もお嬢ちゃんの名を知らんのだろうな。名は何と申す」


「アンナ、Cランク冒険者。一介の冒険者だよ」


「ははは、抜かしよる。Cランクなら儂と鍔迫り合いも起きんわ」


「けど、現状起きてるから認識を改めないと」


「そうじゃな。認識を改めて、お嬢ちゃんには本気で掛かるとしようか」


「そう来なくちゃね」


私とお爺さんは剣と剣が擦れる音が聞こえる鍔迫り合いをしていたが、すぐさま2人同時に後ろに下がり、一気に接近し激しい剣戟が始まる。


流石元騎士団長、剣技が滑らかであり鋭く激しい。軽く残像が残る速さで剣戟をしているが、私はお爺さんの全ての攻撃を防いでカウンターで攻めるが、お爺さんも防いでくる。


こうなるとどちらかがスタミナ切れで負けるか、変化を入れないとずっと攻守のやり合いである。その点は魔法が使える私に利がある。


私はお爺さんの剣を弾き返した瞬間に「断層壁」を使い自身とお爺さんの真下の土をせり上げさせ、私の足場を少し高くし差を作り出し一気に上から重力に従って振り下ろす。


お爺さんは足場が急に動いたので体を整えている途中であり、上からの私の振り下ろしを完璧に防ぐのはほぼ不可能だ。

なんらかの負傷は負わされると思ったが、簡単には事は運ばない。


振り下ろす瞬間に横から槍が飛んで来て、それを防ぐ為に剣をそちらに振らなくてはいけなかった。剣で槍を防ぐが、空中に居た為そのまま吹き飛ばされ、槍を流して地面に降りる。


槍が飛んで来た方向を見ると、お爺さんと同じ服装の金髪の獣人の女性が立っていた。

お爺さんも降りてきてその女性の元に行く。


「トーネドさん、やられてるじゃないですか」


「すまん、すまん、ユミルちゃんのお陰で助かった」


「油断するなって言ってたの、トーネドさんでしょ?あと、ちゃん呼び辞めてください」


「油断はしとらんぞ。あの子がただ単純に強い、久々に本気になったか」


「あんな少女が?トーネドさん、ボケが回りましたか?病院行きます?」


「まだボケてないし、病院もまだいい。まぁユミルちゃんと一緒なら勝てるとは思うがな」


「そうですか………宝槍「ジンリック」戻ってきなさい」


女性が手を挙げると、さっき投げた槍が私の真後ろから宙を浮いて戻って行き手に収まる。槍は水色に金の装飾が付いた綺麗な槍である。


「さてやりますか。あと、次にちゃん呼びしたら退場させますよ」


「おお、怖い怖い。ちゃんとユミル嬢って呼びますよ」


2対1、かなり熟練者相手に2人同時に掛かられては、流石の私でもかなり面倒で負ける要素が高い。

2対2に持っていければなぁ、まぁ私の相方が居ないんだけど、と思っていると槍を構えていたユミルに横から誰かが襲いかかる。

誰かと思ったら、さっきまで相手をしていた黒角の少女だ。


「騎士団長ユミル!死ねぇぇええ!」


「貴女まさか!?」


ユミルは横からフルスイングで振られた剣を槍で受け吹き飛ばされる。そのまま追撃しようとした少女だが、目の前にトーネドが立ち塞がる。


「ほほ、まさかのお主が大会に出ているとはな、驚いたぞ」


「黙れ!テメェも殺す!」


「それなら大会ではないところでじゃな。それにお主は儂には勝てぬ、さらばじゃ」


襲ってきた少女の剣を弾き返し、空いた体に斬ろうとするが、当たる寸前で私が片手で持った春光で剣を受け止める。

それに驚いたお爺さんはこちらを向く。


「お嬢ちゃんはこの小娘と関係ないだろ?何故邪魔をする?」


「そりゃ、一時的でも同じ敵を倒すって事は同盟出来ると思わない?」


「ほっほほほ、知らぬお嬢ちゃんよ。この小娘だけは辞めとけ、小娘は全獣人を恨んでおる。同盟なんて出来たもんじゃないぞ」


「へぇー……」


少女を見ると睨んで来ている、これは負の感情だったのか。この少女について悪い意味でみんな知っているようだ。過去に何か獣人にやられたのだろうか。

私はトネードの話を聞いて答える。


「まぁ、それはこの子が決める事でしょ?ねぇ、私と今組んでトネードとユミルと戦うか、私と組まずにトネードにすぐさまやられて退場するか………どっちがいい?」


少女に顔を向け選択をさせる。

少女は苦笑すると、先程座り込んでいた状態から立ち上がりトネードに剣を振り下ろす。

トネードはそれを避け後ろに下がり、少女は私の横に立つ。


「これしかないでしょ………いいわ、一時的だけど組んであげる。貴女強いしね」


「上から目線だねぇ。そうだ、名前は?」


「………シークよ」


「シークね。あとどっちとやりたい?トネードかユミルか」


「じゃあ………ユミル」


「了解、ユミルとの戦闘耐えてくれてたら後で加勢してあげるよ」


「こっちが先に終わらせてやるから、アンナはゆっくりやってなさい」


少女に初めてアンナと名前を呼ばれ少し微笑んでしまう。


「なんでアンナ笑ってるのよ!」


「ふふ、なんでもない。さてやるか」


トネードとユミルも2人が集まり、それぞれだ剣と槍を構え、こっちに一気に迫って来たのだった。




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