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呆気ない試合



平らなステージ上で一斉にそこら中で戦闘が始まる。

そして先程挑発したカストリア王は周りを数多くの選手に囲まれていたが硬直状態が続いていた。

そして耐えきれずに1人の男がカストリア王に突っ込む。


「その首貰った!」


剣が首に届くと思われた。

しかし、それより前にカストリア王が剣を振り一瞬で男の姿が弾け飛び消えてしまった。


「一斉に行くぞ!」


「「「おぉ!」」」


周りの選手は振った背後を突こうと目の前の選手達が囮となったが一瞬で弾け飛んだ。

カストリア王は剣を地面に突き刺す。


「おい、もっとマシなのは居らんのか?」


周りを見るが誰も近付こうとしない。仕方ないこちらから行くか。

そう思い歩き始めると向かって来る者がいる。巨大なハンマーを持った男、爆撃のダテナだ。


「おい、俺が相手してやるよ。今日で無敗伝説を終わらせてやるよ」


「はっ!笑止の至りだな!」


巨大なハンマーがカストリア王に向かい、それを剣で打ち返し、周りに激しい金属音が鳴る。


「はっはは!我に言うだけあって流石の威力だ」


「ちっ!受け止められると思ってたが、まさか弾き返されるとはな。刃こぼれするぞ?」


「我が宝刀「アスカロン」は刃こぼれはしない。だから、弾き返すなど造作でもない」


刀に自身の顔が映るほどの光沢があり、刃こぼれがしていないのが分かる。


「不条理を反射する剣とかだったか?まぁ、殴り続ければ変形するだろ!」


「無駄だが面白い。やってみろ!」


またもハンマーを打ち返そうとするが、背後からの殺気を感じ横に逸れる。

背後の頭上から一気に人が落ちて来て地面を粉砕し、目の前からのハンマーを避けるためにすぐにその場から離れる。


「ちっ外したか」


「殺気でバレバレだぞ」


「まだ修行不足か…」


「なかなか良い技だがな。お主名は?」


「ムッド。俊撃のムッド、格闘家だ」


「知らん名だ。覚えておこう」


「俺を!忘れんじゃねぇ!」


カストリア王の背後からハンマーを振り下ろすがよけられ地面に接触した瞬間、爆発が起こる。


「ちっ!その剣で受け止めろよなぁ」


「はっはは、我は感が良いからな」


「俺も忘れるな」


ムッドが横蹴りをして来るのを剣で受け止める。ダテナもその瞬間を逃さず、ハンマーを振り下ろすが2人とも後ろにジャンプして避ける。そして王は目を細めて言う。


「お主達、我の前だぞ本気を出せ」


「………そうだな。トーナメントまでは温存しようと考えていたが、今の相手が無敗記録を持っている奴だ。本気で行かねば、まずトーナメントにも上がれんか」


そう言いながらムッドはリズムよくジャンプし始める。


「あいつは何かやる気か………しゃあない、相手が相手だ。やるか……」


ダテナはハンマー両手で持ったと思うと、2つに分裂し、片手に1本づつ手持ちの根元が鎖で繋がっいるハンマーになる。

そして鎖鎌のように片方のハンマーを振り回し始め、半分でも重いはずなのだが回転は落ちる事なく上がっていく。


「そんじゃあ、死ねやぁ!」


振り回されて高速のハンマーがカストリア王に向かうが、体を横に逸らして避けられる。

だが、次の瞬間カストリア王は剣で横から来たハンマーを受け止めてしまい、爆発が起こる。それではまだ足りないと思っているダテナはもう片方のハンマーを大きく回し、カストリア王に巻きつける。


「舐めすぎだぜ、とった!」


片方のハンマーを手に戻し、カストリア王に振り下ろそうとするが、さっきまで居なかったムッドがカストリア王に高速の蹴りを放つ。蹴りが体に食い込み、カストリア王の姿が消える。


「なぁ!?横取りしたなぁ!小僧!」


キレるダテナがムッドに近づくが、ムッドは何もせず考えこどをしている。


「………おかしい」


「あぁ?俺から横取りしたのがか?」


「蹴った感触がなかった……」


「あぁ?さっきお前が蹴ってたじゃあねぇか?」


「蹴ったが……」


「我は蹴られてないぞ?」


その呑気な声に2人は跳ね飛び、その場から離れて後ろを向くと、剣を肩で担いだカストリア王が立っていた。


「お主達は良くやったぞ。今の一瞬、我が傷を負わない為にスキルを使わざる終えなかったのだからな」


「あっそ、だからなんだってんだよ!」


2本のハンマーをカストリア王を挟むように打ち込むが、カストリア王の腕が動いてない筈なのにどちらのハンマーも同時に弾き返される。


「なぁ!?」


「だからこそ、我はお主達に少し本気を出してやろう」


カストリア王が黄金を纏う。他の選手達とは格が違う、圧倒的なオーラが周りを包む。


「さぁ、死にものぐるいで耐えてみよ!」


そう言いカストリア王は一度も動かしていない足を動かしたのだった。





『おぉっと!さっきは何が起こったのか全くわからなかったが、今我らが王、ラーム・カストリア王が反撃に出た!』


実況者の声が上がり、歓声も上がっていく。まだ5分程しか経ってないが選手の半分くらいは脱落している。


このステージ上でも異色を放っているカストリア王だが、それよりも異色を放って居るのがいた。


その青年は剣を地面にさして立っているだけだが、剣は赤黒い禍々しい大剣で剣の持ち主、鮮血のクリムゾンファンクの半径10m以内には誰一人として近付こうとしない。


「クソ、どうなってやがる。近づいたら一瞬で脱落しちまうぞ」


「あいつは何もしてねぇのに何でだ!?」


そうクリムゾンファンクに近づけば、見えない攻撃に当てられ即退場してしまうからだ。

その為他の選手達は遠距離からの狙撃、魔法攻撃をするが全て大剣で防がれてしまう。

こんな奴を相手にしないで何処かに行こうとするのが、背後を向いた瞬間にクリムゾンファンクに襲われる為、皆攻めるしか考えがなかった。


「埒が明かねぇ、一斉に突っ込むぞ!」


周りから5人一斉にクリムゾンファンクに迫るが、半径10m以内に入った途端に口から血を吐いて倒れ退場する者やいきなり倒れ込みそのまま退場する者、それぞれ違うが皆一様に退場していき、そしてまた硬直状態になる。クリムゾンファンク自身でこの状況にしているのだが飽きて来ていた。


「はぁ………暇だ………カストリア王にでも挑むか…」


大剣を引き抜きカストリア王が戦っていると思われる方に歩を進めるが、頭上からの攻撃に大剣で防ぎ、背後から修道服を着ている女が歩いて来る。


「あらあら、防がれちゃいましたか」


「………確か光跡のカーラリアだったか」


「あら、鮮血のクリムゾンファンクに名前を覚えられているなんて光栄です。それではご退場ください。包むは抱擁 選択するは神託 「ホワイト ハグ」」


背後から白い腕が2本出現し、手でクリムゾンファンクを包み込む。

しかし、腕は切断されて中からクリムゾンファンクが出て来る。


「………怖い女だな………それに周りも周りか……」


「あら、見えるんですか?」


「………さぁな」


「見える見えない関係なしにしましょうか「レーザーショット」」


魔法を発動した瞬間、周りの地面から光のレーザーがクリムゾンファンクに飛ぶ。

数発は周りにいた他の選手にあたるが、残りは数発を大剣で防ぐが背後からのレーザーを受け、前によろめく。


「ぐぅっ!」


「それではお命頂戴いたします。天啓はみち「お前がな」え…?がふぅっ!」


カーラリアが突然吐血し胸を押さえてよろめく。カーラリアは驚く、クリムゾンファンクとの距離は10m以上離れているのに。


「な、何故、距離は……」


「………戦闘は情報戦だ………敵に誤認させるのも手だ………じゃあな」


そしてカーラリアに大剣を突き刺し、体が消える。

クリムゾンファンクは溜息をつくと、つまらないこの戦いを終わらそうと動き始めるのだった。





それからは第1グループの戦闘は瞬く間に終わった。

勝者の内1人のカストリア王は流石無敗なだけあって、あの2人を瞬殺した後はほぼ無双状態で、剣闘士2人が少しの間耐えるのが精一杯だった。もう1人のクリムゾンファンクはカーラリアを倒した後、近づく者全てを倒して行っていた。


これを見て私は敵の事は凄いと思ったが、この試合は呆気ないと思った。これだけの人数、大乱闘でもっと面白いかと思ったがそうでもなかった。これならASOであったサバイバルバトルロワイヤルの方が見てる分でも断然面白い。

マーニさん達は試合を見て楽しんでいるので、野暮なことは言わずに私は席を立って少し歩くことにした。


「ちょっと飲み物買って来るよ」


「ここにあるよ?」


「自分のは自分で買って来るよ」


そう言い席から離れ階段を降りて行き、売店がある所に向かう。下の階は観客よりも選手の方が多く。次の第2グループの招集を待っているようだ。

筋肉ばっかりだなぁと思って歩いていると、前に見たことがある姿を捉える。

もしやと思い人の間を縫って走って行き、目的の人物の肩を叩く。


「久し振り、アリアさん」


「え……….アンナ!?」


私が声をかけたのは赤い髪の女性、転生者でありASOプレイヤーのアリアさんであった。



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