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第1グループ開戦



王城に呼ばれた日から2週間が経った。

私が王都から離れた理由は王都に居たら兵士に捕まると思っていた事と、もう1つ近くの森と山、岩山で修行をしたかったからだ。

流石に闘技大会を舐めておらず、シルヴィアを100%助け出す為に猛修行を行ったのだ。かかって来た奴を全員叩き潰せるように。


その思いと共にまた王都ガダリーマークに戻って来た。

今回も外壁の検問所で止められると思っていたが、何事も無く通れたので良かった。

王も私と戦いたいのだろう。実際、私はコテンパンにしてやりたいのだから。


そのまま外壁沿いを行くと人が多く、露天販売などがあって賑わい始め、遠くから見てもわかるほど大きな闘技場が見え始めた。


闘技場の外壁は古くなって来た石造りで歴史を感じられる。

そして中からはまだ大会が始まっていない筈なのにもかかわらず凄い歓声が上がっている。


「ふふ、楽しみ……じゃなくてシルヴィアとガウェインを絶対解放する!」


私は顔を叩いて気合いを入れ直し、闘技場入口の受付所に向かった。

ちょうど人が並んでいないのでそのまま受付所に行き、受付嬢に話しかけられる。


「いらっしゃいませ。こちらは選手受付なので、席のご案内はあちらの窓口からですよ」


私の見た目を見て判断したのだろう。そうなるだろうと分かっていたので、受付した時に貰った紙を出す。


「選手番号298番のアンナです」


「え、選手の人?………すみません、ご無礼を申しました」


「いいよ、それより私は何ブロックかな?」


「298番なので………アンナ様は第4ブロックになります。他の説明はよろしいですか?」


「いらないよ、前に聞いたから」


「分かりました。では、3ブロック終了後1時間後にここに再度来て頂き、これをお見せください。知ってると思いますが第4グループは最後となっております」


受付嬢から「第4ブロック 34番」と書かれた紙を受け取る。


「分かった。ありがとうね」


そう言い受付から離れ、観客席の方に向かう。選手は無料で入れる為、先程の紙を見せるとすぐに観客席に着ける。


階段を上って行くにつれ歓声が大きくなる。登りきると、目の前には真ん中に円状の軽く100人は戦える程の大きなステージがあり、周りの段々状の観客席には人が殆ど埋まっていた。


「うわぁ、凄ぉ……」


この何千人の中からマーニさん達を探そうと思っていたのだが難しそうだ。

諦めるのはまだ早いか、そう思い周りを見ながら少し歩いているとあっさりと見つけ後ろから近づいて、丁度こちらを見ていのでマーニさんの隣に座るが、気づいてないらしく隣にいるサルナと話し始める。


「はぁ、アンナさん来るって言ってたけどなぁ……」


「アンナさん第1グループ目かもよ」


「そうかなぁぁああ!?」


こちらに振り向いたマーニさんが女性が出してはいけないような、とんでもない声を上げる。


「久し振りに顔を見るね。私が居ない間何してた?」


「え、わ、私達はあれから一度家に戻たよ。それよりアンナさんこそどこ行ってたの?」


「私はずっとこの王都の裏の山奥で修行してたよ」


私が指をさしながら言うと2人とも目を見開いている。


「山ってまさか、あの「墓標山」に?」


マーニさんが私が登った山を指差す。


「名前は知らないけどあの山だよ。食料や休めるところあっていい山だったよ」


「ははは…………やっぱりアンナさんは凄いや」


「知らずに行ってるのは凄いよ。アンナさん、あの山は「墓標山」って言われてて、殆どの人が入ったら帰ってこないから、山の麓に墓標が立つんだよ」


「うわぁ、怖いね」


「「アンナさんはそこに入ってたんだよ!?」」


2人同時に驚きの表情で突っ込まれる。


「まぁ、そんな事より今日の注目選手教えてくれる?」


「そうよ!今日は凄いわよ!第1グループでいきなり獣王様、カストリア様の無敗戦闘を見れるのよ!それに血操剣の使い手の鮮血のクリムゾンファンク、光跡のカーラリア、爆撃のダテナ、他に有名な剣闘士でマーダー、ナドールが出るわ」


第1グループにカストリア王か。無敗と言われる奴を相手にするのだからちゃんと見ておこう。

そう考えているうちにマーニさんが話を続けて行く。


「第2グループは追走のアーギット、舞踏のフミヨ、無色のムーヤン、空走のクウフ、剣闘士でニビト、ホルンね。

第3グループは現軍隊長の拳獅子のトルコ、無剣のヘルメル、酒拳ミリリ、剣闘士でルルートとトムヤンね。それで、今日1番目玉になると思うのが第4グループよ」


マーニさんは確信があるように話し始める。



「反撃のノクートと白炎のキィート、巨兵の進撃のガギルダルと小兵の束縛のシィージィー、獣王国ガリア王国の元騎士団長トーネドと現騎士団長ユミル、剣闘士セデスとヘデスよ」


マーニさんは2人組に区切って言う。

何となくだが言いたいことが分かってきた。

私の思いが通じたのか、マーニさんが頷いて話を続ける。


「アンナさんなら分かったと思うわ。この人達、有名な人らが全員2人組なのよ。だからこそ、今日最後がこの大目玉にしたんだろうね。普通はこんなに露骨にしないはずだけど何でかしら?」


「やっぱり露骨だよねぇ……」


「うーん、分からないわ。それより、アンナさんは何グループ?」


「私はさっき話で大目玉の第4グループだよ。サルナさんは?」


「あーそれは厳しそう。サルナは第5グループよね」


「あ、はい。まだ選手発表は行われてませんが、呼ばれてない有名な人達が沢山居ますので難しそうです……」


「そうかぁ……でも、私と頑張ったんだからいけるよ。私も頑張るから」


少し残念そうにするサルナさんに同情しそうになるが悪いと思い励ます。

しかし、励ましの声は大歓声によって揉み消される。


『紳士淑女の皆様、ようこそいらっしゃいました!私めは毎度お馴染みだと思いますが、声が反響し過ぎて煩いと評判の実況者ザックと申します』


他の観客席より少し出ている中段部分に設置された特別な席に実況者が座っている、モヒカンの男性がマイクを持って大声で話している。


『皆様は耳が早いと思いますが、今回はなんと!6年ぶりに無敗伝説を更新しようと我らが王、獣王国国王ラーム・カストリア様が出て来るぞ!』


またもや大歓声が上がる。実況者の声よりこっちの方が煩いレベルだ。


『さぁ、皆様、当然知っていると思いますが、初めての人も居ると思いますので闘技大会の説明をいたします。

まずはルールです。

武器は何でもあり魔法もありです。しかし、観客に対しての攻撃は反則になります。

そしてこの闘技大会のステージ上では自身の体力は減りませんので死ぬことはありませんが、ステージ上のみダメージポイント、DAのゲージが付き、それが攻撃されるとダメージ分だけゲージが減ります。そしてゲージがなくなると、ステージ上から消されて退場となります。どこでも同じだと思いますが、ステージから落ちても退場となります。


そして次は試合方式です。

まず選手達は8グループに分けられバトルロイヤルを行い、1グループごとに2人だけがトーナメントに進めます。それを初日、2日目と4グループ毎に分けて戦います。

次に16名がトーナメントに進み、3日目約8試合、4日目約4試合、5日目準決勝と決勝戦の予定となっております


そして最後に、毎回見に来ている熟練のお客様は分かっていると思いますが、他のお客様にご忠告を、昼食時間はありますがその時に食べに行くと大混雑しており、食べる事なく昼からのを観ることになると思いますので買っとくのをお勧めします!さぁ、第1グループが始まる前に買いに行けぇ!』


実況者の声と共に買いに行く者、もう既に買っていて余裕ある者と大きく別れて動き出した。マーニさん達は既に買っているグループで飲み物10本、食事類、菓子類と沢山あり余裕がある。


私達は少し話しながら第1グループが始まるのをお菓子を食べながら少し広くなった席で待っていた。

上から見てるとステージ付近の入り口2つから続々と選手が出て来ている。

その中でも異彩を放っているのが、赤の禍々しい剣を持っている青年、白と金の修道服を着ている女性、自身の体と同じくらい巨大なハンマーを持っている男性だ。

さっきマーニさんが話していた有名な人だろう。後日戦う相手になるかもしれないから注意深く見ておこう。

しかし、私が1番相手にしているカストリア王はどこだ?

もう選手の殆どが出ていて、先程買いに行っていた観客が戻って来ている。


そう思っていると上空から何か落ちて来て、ステージ上に降り立つ。

赤いマントを羽織り白金の剣を持った2週間ぶりに観る百獣の王のような男性、カストリア王がステージ上に剣を振り上げて立っている。それを見て大歓声が上がる。


「我こそは闘技大会で優勝すると思う者、初めに我が戯れてやるかかって来るが良い。無論、全員でかかって来ても構わんぞ?」


周りに居る選手を挑発する。

だが、周りの選手もこの王が無敗記録を持っているのは知っているのでそんな挑発には乗らないのだが、数名全員でかかればと考える者もいる。

選手達はそんな心中の中だが、実況者が声を上げる。


『それでは第1グループ、127名のバトルロイヤル。今、開戦のゴングが鳴る‼︎‼︎』


ゴォーーン‼︎‼︎‼︎


その闘技場を響き渡る音と共に選手達が動き出し、観客の歓声が高まったのだった。



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