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闘技大会の選手達



マーニさん達と集合する夜まで待てなかった私は、マーニさんが昼ご飯を食べに行くと言っていた「剣闘士の酒場」に向かう。


言われていた目印通り、盾と剣を2本クロスさせた紋章がある大きな看板を見つける。

ウェスタンドアを開き中に入ると、中は広く、獣人以外にも人やエルフなどいるが殆どが冒険者でそこら中で酒を飲んでいてかなり賑わっている。


その中を私が歩いて行くと気付いた者から黙って行き、私がマーニさん達に気付いた頃には店中が静まり返っていた。

マーニさん達も食べていたが突然の静まりようで何事かと見て私に気付く。


「あ、居た居た。マーニさんは何食べてるの?」


「あ、アンナさん!?えっとあそこでの用事は?」


マーニさんからの質問に席に座りながら答える。


「少し問題が生じたんだよね。私、闘技大会出ることにするよ」


私が闘技大会に出る事を話すと周りの冒険者達が馬鹿にしたように笑い始める。


「ぶははははは、あのチビ何言ってんだよ」

「ふひひひっ、まだ子供じゃねぇか」

「しかも女だぞ」

「武器だけはいっちょ前だな」

「嬢ちゃん、闘技大会は誰でも参加出来るが子供は辞めといた方がいいぞ〜大人に潰されるからな」

「そうだぞ〜帰って布団で寝て、2週間後まで待って観客として来な」


馬鹿共が煽ってくるが気にしない事にしている、もう慣れた。あと最後の2人は優しいな。


「まぁ、出る事にしたから一応報告ね。あとで登録はしてくるよ。それでなんだけど、私今日から大会前までこの街から離れることにした」


「え?何でですか?」


「久し振りに鍛えようと思ってね。私が何も言わずに出て行ってたら心配すると思ってここに来たんだ。じゃあまた大会初日に会おう」


そう言うと私は席から立ち上がりさっさと歩いて酒場から出て行き、冒険者ギルドにより、クズハ達に生存確認を送って王都から出たのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



アンナが出て行くと、冒険者達がさっきの話でもう一度盛り上がり爆笑している中、数名の人物がアンナの発言に少し考えていた。


その中の1人、少し老けているが貫禄がある男性、格闘家ラークスは酒の入ったジョッキを持ちながら少し考えていた。

それに気付いた弟子のマークは師匠のラークスに話しかける。


「師匠、どうしたんですか?」


「……いや、少し考え事をな」


「そうですか。いや〜さっきのは面白かったですよね。まさかあんな少女が闘技大会に出るだなんて、その心意気は驚きますが、少し無謀ですよ」


マークは笑いながら酒を飲むとラークスは首を振る。


「いや、無謀ではないかもだぞ。今回は少々荒れそうな気がして来た。マーク、今回は気合を入れて望めと飯を食い終わったら弟子達にも伝えておけ」


「師匠………分かりました。急いで食べて伝えて来ます」


マークは急いで料理を食べていく。

それを見ながらラークスは先程の少女で昂ぶっている心を落ち着かせようと酒を飲んだのだった。



同じくアンナを危険視していた人物の一人の男性、アーギットは、呑気に酒を飲んでいる数名の仲間を見て少し落胆していた。


(はぁ、まさか仲間の中にあの人の強さが分からないのがこんなにいるなんてな)


アーギットの溜息に気付いた横に居る女性、フミヨは肩を叩く。


「そう落ち込むなよ。あれは仕方ないだろ?私達だって強さを知らなかったら、あの反応になると思うぞ」


「そうか?俺は入って来た瞬間に変な気配がしたから向いたらあの人だぞ!びっくりして腰抜そうになったわ。まぁ元々座ってたから抜けなかったが」


「ははは、私もそうだぞ。びっくり仰天だ」


「ほんと、あの人と戦いたくはねぇな……」


アーギットはまたジョッキを仰ぎ酒を飲み干し、フミヨはそれに同意しながらどうするか考えるのだった。



他にも盲目の年老いた老人、禍々しい剣を磨いている青年、パーティー全員が女性の女冒険者、魔道書を読んでいる男女の冒険者、酒瓶をテーブルに置いている女性がアンナの事を考察しているのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



王都ソリヤテルのある薄暗い地下室、ついさっき壊滅した裏組織の倉庫の1つで1人の女性が木箱の中から色々な武器を物色して独り言を呟いている。


「うーん、これは1万メルしたらいい方かな、貰っていくけど。これは………結構良さそうだな。使える時に使おうか」


呟きながらなおしていると急に足音が聞こえてさっと振り返る。

さっきまでその場には居なかった筈には黒尽くめが短剣を構えて立っていた。


「貴様を始末する」


「単刀直入だね。やられると思ってるの?」


前から襲って来た短剣の攻撃を左手で弾き返し、右手で背中の大剣を振り下ろす。

だが、スルリと避けられ、次に腹に突き刺そうとするが短剣の刃が全く通らない。


その瞬間を見逃さずに地面に着いた大剣を横振りするが、大剣の動きに合わせて綺麗に避けて大剣の上に乗り、今度は顔に蹴りを入れる。しかし、蹴った自身が足を抑えて飛び降る。


「残念、私にそんな弱い攻撃は効かないよ!」


両手で持った大剣を振り下ろす。

当たったと確信したが、なんと大剣は黒尽くめの女性の体を通り抜け地面を叩き斬った。

そして黒尽くめは地面の中に消えていく。


「何あれ?なんのスキル?魔法?」


少し周りを警戒しながら考えいると体に衝撃が走る。

自身の胸から腕が突き出ていた。

背後を見てみると、黒尽くめがいつの間にか立っていて、自身の右腕で貫通させていた。


そして体から腕を引き抜き、食らった女性はそのまま地面に前から倒れ込む。

黒尽くめは汚れた手を拭く。


「任務完了」


踵を返して帰ろうとするが殺気を感じる。

背後では胸を貫かれた筈の女性が立ち上がり大剣を黒尽くめに突き刺していた。

だが、女性は不満そうな顔になる。


「はぁ、なんで効かないのよ?」


大剣を横に振るが何も手応えが感じず、そのまま大剣を担ぎ直す。

黒尽くめは振り返りもう一度腕を構えたが、すぐに手を下ろし背後の影の中に消えていった。


「なんなのあいつは……」


女性の胸に空いた穴が綺麗に塞がっていき、元の状態に戻る。


「はぁ、王都は碌でもない場所ね。アイツら居ないし、いきなり襲われるし、たまったもんじゃないわ。それにアイツらのその後の動向が分からないし………もうすぐ闘技大会あるからそっちに行こうかな」


女性はまた溜息をつくとさっきの戦闘でぐしゃぐしゃになった木箱の中身を確認していくのだった。



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