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流された先



私は焚き火の音とお腹が空く良い匂いで目が覚める。見知らぬ天井、古い木の木目が見える。私は少しづつ思い出してきた。


私はリヴァイアタンと戦闘していて、確か…………どうなったんだっけ?頭に靄がかかっていて思い出せない。


諦めて私は体を起こすと側に幼い獣人の少女が居るのに気が付いた。

少女も私が起きた事に気付き、読んでいた本を置きすぐに部屋から出て行く。髪も尻尾も金色で、大きい尻尾がふさふさしていた。


「お母さん!起きたよ!起きたよ!」


「あらそう、ちょっと待ってて、今行くからー」


お母さんと思う声が遠くからすると、少女が戻って来てドアの所で隠れながら、こちらに顔を出して私の方をじっと見てくる。

じっとしてるのも何なので声を掛けてみようか。


「いきなりですまないんだけど、ここは何処かな?」


「ここ?ここは客室?って所だよ」


「えっと、そうじゃなくて、この家がある町の名前とか知ってる?」


「ここはファーレンって村だよ」


聞いた事がない村だ。どこか遠い場所にでも来たのか?それなら何で遠い所に居るんだ?リヴァイアタン戦の時何があった?シルヴィア達、みんなはどうなったんだ?


気になるが思い出せないので、後でじっくり考えるとして、まずはここの場所をより詳しく聞かなくてはならない。


「ファーレンはどこの国なの?」


「お姉ちゃんは獣人なのに知らないの?」


「獣人なのに知らない?それって…」


少女に質問する前に大人の女性、お母さんだろう人が現れる。少女と同じ金髪で大きい尻尾も分かりやすい。

その女性が私が横になってたベッドの側に椅子を置いて座る。


「貴女大丈夫?頭が痛いとか体のこの部分が痛いとかない?」


「はい、ないです」


「それは良かった。あっ、自己紹介がまだだったわね。私はエミリ、あそこに居る子が私の娘、エイアよ。貴女は?」


「私はアンナです。すみませんがここって何処ですか?村の名前はファーレンって聞いたんですけど」


「あら?知らない?ここは獣人の国、獣王国ガリア王国よ」


名前は聞いた事がある。確か獣人が治めている国である。そしてガリア王国はスベーリア王国とは違う大陸の筈だ。


「そうなんですか…」


「アンナは別大陸から来た人かしら?」


「はい、最後にいたのはレベラルって町です」


「そう、アンナは一昨日、近くの浜に打ち上がってたのを村の漁師が見つけて、私が医師やってるから私の所に運んで来たのよ。2日半寝てるから少し心配したわ」


「そ、そうなんですか。色々とすみません」


まさか3日近く寝てるとは思っていなかったので色々と身の回りの事をして貰っていると思うので感謝する。

エミリさんは笑顔で「別に良いわよ。好きで医師やってるんだから」と言う。


「それより、アンナはどうしてレベラルからここまで来たの?普通、船でも2、3日かかるけど」


「それが覚えてなくて……」


「うーん……記憶障害かしら…まぁ日が経てば思い出すと思うからゆっくりしてね。そうだ、今から晩御飯だから一緒に食べましょう……立ち上がれる?」


「すみません。力が入らなくて……」


「そうよね、私の肩に手を回して。エイア、食べる準備しておいて、みんなを呼んできて」


「はーい!」


エミリさんに肩に手を回してもらい立ち上がって部屋を出て少し歩き、リビングに着くとエイアちゃんと男性2人、女性1人が食器の準備をしていていた。


私はテーブルのすぐ側の椅子に座り、少しすると食べる準備が終わり皆んな座って行く。隣にはエミリさん、前には女性の人が座る。多分、エミリさんと似て綺麗な金髪だからお姉さんかなと考えていた女性がこちらを見てくる。

皆さんに挨拶はしないといけない。立ち上がる事が出来ない為、その場で頭を下げる。


「アンナと言います。少しの間、ご飯も頂いてお世話になりました」


「なりましたって、まだ安静にしなきゃいけないのよ。歩くことすら困難なのだから、数日はここにいて貰わなくちゃ」


私はご飯を頂いたらここから出て行こうと思っていた。


「けど、これ以上お世話になるのは……」


「別に良いわよ。皆んな、邪魔とは思わないしね」


私が皆さんを見ると頷いている。


「お姉ちゃんは重症患者?なんだからしっかり寝ないと!」


「あら、エイア。私のことお姉ちゃんって呼ばないのにお客さんに言うの?」


「マーニャはマーニャだよ」


「マーニだからね……」


「お客さんの前だぞ、初めての時くらいちゃんとしろよ」


「サニに言われたくない!」

「サルナこそちゃんとした服装にしなさいよ、女子の前よ?」


「なんだと!」


エイアちゃんの発言に、姉のマーニさんとタンクトップ姿の兄のサルナさんが口論を始める。それを見かねたお父さんが止める。


「こら!お前達こそ口を閉じなさい。すみませんね、煩い子達で。俺はマルガって名前です」


「い、いえ。賑やかでいいと思います」


「はは、そう言ってもらえると助かります。さぁ、ご飯を食べますか!」


マルガさんが食べ始めると同時にみんな食べ始める。海が近いからか晩御飯は魚料理が殆どだ。

私が料理を取ろうとするとエミリさんにお粥が入ったお茶碗を渡される。


「アンナさんは申し訳ないけど今日はお粥ね。寝起きでずっと食べてなかったから、お粥から慣らしていくのよ。ごめんなさいね」


「いえ、貰っているだけでも有り難いです。ありがとうございます」


「アンナさんは小さいのに本当に礼儀正しく良い子ね。貴方達も見習いなさい」


「私は仕事してる時はちゃんとしてるよ」


「私も私も!」


「俺もだよ」


「はぁ………本当にちゃんとしてるのかしらね?」


たわいない話をしながら晩御飯を食べて終わった。

お粥はとても美味しいく、久々に胃に食べ物が入ったせいかあまり食べず残して残してしまったのがショックである。


私は食べ終わると睡魔が襲ってきて、気づいたエミリさんに連れられてベッドに戻り、すぐに眠ってしまったのだった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



同時刻、リヴァイアタンの攻撃を受けたレベラルは以前とは違い、多くの人が避難していて閑散としていた。

そんな中でこの街からの移動するための荷造りをしている者達もいた。


「はぁ、面倒くせぇな…なんで俺らが、もうこの街はおしまいなのは分かるがもっと早くにしろよな……」


男は煙草をふかし、休憩しているともう1人、隣の場所に行っていた仲間の男が怒りながら戻ってくる。


「クソ!あっちにいたあいつら帰ってやがる!誰1人居ねぇ!」


「は?あいつら、命令違反は分かってるはずだろ?」


「知らねぇよ!今見て来たら誰1人居ないんだよ!」


煙草を口に咥えてる男は、話している内容に最近聞いた事を思い出す。


「………噂のあれか?うちの組織の人間が消えていってるって話、知ってるか?」


「この1週間でレベラルにいた奴らが神隠しにあう話か?じゃああいつらも消えたってか?」


「今の所他の町で探しても誰1人見つかってないしな。一度離れるか?」


「はっ、冗談じゃねぇ。命令違反で殺されるだけだろ」


「そうだよね。神隠しなんて冗談じゃないよねぇ」


2人の声とは違う声が聞こえ、すぐさま2人は声のした後ろに胸元から武器を取り出し振り返るがそこには誰もおらずただ荷物が置かれているだけで、少し危機感を持ちながら警戒する。


「残念、う、し、ろ」


その声と共に2人の意識は途絶える。

その場に気絶した2人と1人の女性が立って居て、しゃがみ2人の頭を掴むと一瞬で2人が消える。


「ふーん………やっぱりハズレか。流石に下っ端で良い情報を知ってる奴は居ないか……まぁ、貰えるものは貰うか」


立ち上がり近くの荷物を開いていき、金や宝石などを体にしまっていく。


「さてと、集まった情報だけでみんなは王都に向かったのは分かったけど………なんでだ?マスターのことはどうでもいいのか?」


周りの部屋の温度が変わり窓にヒビが入る。


「まずは王都にでも向かおうか………ここも噂が広がってるようだし、食うのは悪人だけに決めてるしね………もっと人が居る場所にいかないとね」


女性はドアから外に出て、明かりが月光だけの町の道を1人歩いて行った。



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