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深く暗く闇の底



太陽の光が少し入らず、水圧が高く水温が低い海底で意識が戻るものが居た。それは水圧が高い中でも形が変わらないスライムのクロワだ。


(ここは……どこ………寒いし……暗い……)


手を伸ばすが周りに何があるのか分からない。ただ瓦礫や石がある事だけが分かる。何故自身がこんな場所に居るのか思い出そうとする。


(そうだ、私はアンナを守ろうとして、アイツの攻撃を喰らったたんだった………案外死なないものだなぁ……)


思い出したクロワは早くアンナの元へ行こうとするが、体力がなく動けない。


(動けない……もう死ぬしかないのかなぁ……マスターにもっと甘えたかった……私がスライムだから駄目だったのかなぁ………もし私が人間ならどうだったんだろう………マスターも私の事意識してしたのかなぁ……)


クロワの心に黒い何かが芽生える。それと同時に使命感が湧いて来る、喰らえと。


(何か食わないと、そうすればマスターの元に戻れる)


クロワは海底を這って行くと下に何かの死体がある事が分かる。それが人の死体である事も。

クロワは食べるのに躊躇いがあった。人は食べた事も躊躇いの原因でもあるが、マスターと同じ種族というのも躊躇いの原因だった。

しかし、躊躇ったのは一瞬で少し考えると、別にマスターではないから食っても問題ないと考える。


そうなると躊躇なく食う。ただの死体だけあって味はあんまりだが、今は食う事が重要だ。

全身全てを喰らい尽くすと新しくスキルを獲得しているのに気付く。「完全擬態」変わったスキルだと思いながらも海底を這っていき、また死体を食べ続け、徐々に力を付けていき、本能のまま何度目になるか分からないほど食べ続けると体に異変が起きる。


さっきまで寒かったのが嘘のように暑い、体が分裂して引き裂かれるように痛い。


(暑い!暑いし痛い!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い…)


何日経っただろう、いや何時間程度か、それとももっと短いかもしれないが、クロワにとって苦痛の時間、激痛がやっと収まった。


さっきまでとの違いは、溢れんばかりの力がある事だ。前の万全な状態でもここまでは到底届かないだろう。

それにスキル「色欲」が増えている。


この力のまま海底から地上に戻ろうかと思ったが、クロワは野生的本能に駆られ海底にある全ての死体を食い尽くす。

総勢114名、全てがクロワに飲み込まれ、クロワの糧となり、114名分の知識と記憶、技術と能力を手に入れたスライムが誕生したのだった。



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