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魔術学院生の付き添い①


その後、私達はアカネの家から宿屋に帰り、クズハに指輪の話をするとクズハも名前を入れて欲しいと泣き顔で頼まれて指輪に名前を書こうと思ったが、指輪が硬すぎて何も変化が起きず、本当にアカネは何をしたのか気になった。

アカネの家に指輪を貰った翌日にまた路地の壁に手を当てたが何も起こらず、アカネ達は出掛けて行ったのだなと少し残念に思った。グシュタードさんには鍛治を教えて欲しかったので帰って来たら教えてもらおうかな。


それから嫌がらせのように冒険者に呼び名を呼ばれたり、またヘプタにゴスロリ衣装を着さされて、街をテトラとヘプタで3人で散歩したりして週末まで色々なことをした。


そして付き添いの依頼があった週末、私達は私がリーダーでシルヴィア、クズハ、セッカ。ガウェインがリーダーでヘプタ、ショウヨウ、テトラ、スイゲツの2チームに別れて付き添いに当たる。

クロワとアリスちゃんはお留守番である。


そして今はレベラルのダンジョン前で、スベーリア魔術学院生が来るのを待っていた。

他の付き添いの冒険者達も集まっており、毎年やっていると事らしく、年間行事のように何回か受けている冒険者の話をみんな一様に聞いていている。

話を聞いていると付き添い以外にも、ダンジョン攻略の後に模擬戦闘なども行うらしい。狙いは生徒達はかなり魔物や冒険者のことを舐めているらしく、生徒達と実践経験者である冒険者でどれだけ戦闘で差が出るか分からせるためらしい。


注意点や1グループがどの場所まで行くかなどを決めて、その後は恒例なのかこれまであった面白い話を聞いていると、ダンジョン前の広場に数十台の馬車が入ってくる。

馬車は漆黒で高級感があり、ドアの部分には鷹が羽を丸めた様な円のエンブレムが施されており、あの馬車がスベーリア魔術学院の物だとすぐに分かった。

馬車が止まりドアが開き中から人が降りてくる。学校のエンブレムが施された短めの紺色のローブが特徴的な制服だと聞いていたのであれが生徒だろう。私より背が高い気がしするが、あれは生徒だろう。

生徒全員が降り、総勢50人は居るだろうか、かなりの人数である。その中から教員と思われる人達がこちらに来て、その中でも一際背の高い男性が頭を下げる。


「前回参加してくださった人は知ってると思いますが、初めての人に自己紹介を。初めまして、私ダーブィンと申します。本日からよろしくお願いします」


ここの冒険者達は結構礼儀正しく、皆一様に頭を下げる。こちらのリーダーと言えるのが今回で5回目参加だと聞くランクAのサリメールさんだ。


「今回もよろしくお願いします。前回同様にビシバシ行こうと思いますが、よろしいですよね」


「当たり前です。これは自分自身がどれくらいの位置にいるのかの勉強にもなりますから」


「それは良かった、今回も張り切って行きましょう。では、全員自身の番号札を見やすいように持ち上ろ」


サリメールさんの指示に皆すぐに札を持ち上げる。リーダーが札を持ち上げているが、私は背が低いので1番背の高いセッカに持ってもらっている。


生徒側にも指示が言ったようで、皆一斉に動き出し、前から決まっている冒険者のもと歩いて行く。

私達も待つこと数分、ガウェインの方はもう先に集まっていてダンジョンに向かっていて、まだかと思っていると男子2人女子2人の4名の生徒がこちらに来て、眼鏡をかけた真面目そうな女子が先頭に立ち私達にお辞儀をする。


「は、初めまして。私、アーチと言います。今回はよ、よろしくお願いします」


やはり札を持っていたセッカがリーダーだと思ったのかセッカに頭を下げている。


「ん?私はセッカと言います。一応リーダーはアンナですので、説明等はアンナにしてください」


セッカは私を前に出し、自身は後ろに下がる。アーチさんはやはり驚き私とセッカで目が行き来する。


「え、え!?この子がですか?私より背が低いのに……」


「おい、冗談だろ?俺らよりガキじゃねぇか」

「本当だ、私より年齢低そう」

「え!こっちじゃなくてか?」


後ろにいた生徒達全員が驚きの反応をする。


「初めまして、こんな成りでもリーダーを勤めてるよ。私は仲間のみんなより弱いけどね」


「主、おふざけはそこら辺で」


「そうよ、こんな子供相手に下手に出ると舐められるわよ」


「分かってるよ。それじゃあ自己紹介するよ。名前はさっき言った通りアンナ、職業は魔法剣士だよ」


私の自己紹介を聞いてまた生徒のみんな驚く。


「嘘ぉ…」

「え!魔法剣士!?そんな職業でよくやっていけるなぁ」


「私、その職業でもCランクなんだけどね」


「主はそこら辺の奴とは違いますので。それより自己紹介を」


クズハに急かされて生徒が順番に自己紹介をして行く。


「俺はガダル、です。職業は騎士です」


「俺はショルクです。職業はガダルと同じ騎士」


「私はマイラです。職業は魔装師ですが、回復ぐらいしか出来ません…」


へぇー珍しい魔装師か。

魔装師はシルヴィアの付与魔法が覚えずにもともと使えて、50人に1人とかなり珍しい職業である。

私もみんなの事を紹介し、今回の事を説明していく。


「今日は第三層部分まで降りて行くよ。トラップは無くて魔物もそこまで強くないから、腕試し程度でね」


「分かりました。準備は出来ているのでいけます」


「それじゃあ、行こうか」


私達はそのままダンジョンの中に入っていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


〜アーチ視点〜


私は実践戦闘の経験を積むためにレベラルに来ている。チームはいつも通りの3人でガダルとショルクが冒険者に何をするか気が気でなかったが、今のところなくて良かった。初っ端の挨拶はどうかと思ったが。

今は順調に魔物を倒して行って第三層まで降りてきている。いつものフォーメーション通りにガダルが先頭に真ん中に私とマイラ、1番後ろにショルクだ。アンナさん達も数十m離れた後ろに付いてきているが、極力助けしないと言っていたので殆ど私達の力のみである。

私達が周りを警戒しながら進んでいると、後ろにいるショルクが小声で声をかけてくる。


「なぁ。後ろにいる冒険者さ、本当にCランクなのか?俺より身長低くて魔法剣士だろ?普通無理だろ?」


「普通はね。ギルドが嘘をついてない限りはアンナさんはCランクの実力の筈よ。それに周りの人も強そうだし」


「全員美人だけどな」


「エルフは美形が多いけどあの2人は格別綺麗だと思う」


「学園長もエルフでかなりの美人だよな。しかも強いしな」


「学園長は別で、ってガダル、ストップよ」


ガダルを止めて右端の岩陰に隠れる。

先にはおでこに長い角を生やした数十体の大きな兎が十字の道の真ん中に集まっていて、四方を警戒していた。


「ホーンラビットか、どうする?」


「あれって適正ランクFだから問題ないでしょ。まず私が魔法で拡散させて、こっちに襲ってきたのはガダルとショルクが防御、マイラが2人の回復、その間に私が魔法をもう一度打つからそれまで防御ね」


「了解」

「分かった」

「了解です」


「火球「ファイヤーボール」」


岩陰からでた私は詠唱省略をして魔法をホーンラビットの中に打ち込む。

突然出てきた魔法に驚いたホーンラビットは当たる前に解散して魔法を避けて、私達の方に突っ込んでくる。

突っ込んで来たホーンラビットは盾を持ったガダルとショルクが対処するが、数が多過ぎてこちらにも突っ込んでくる。


「くそ!アーチとマイラそっちは頼む、数が多過ぎる」


「分かったわ、マイラ頼む」


「ストレンジ ライズ」


マイラに付与魔法をかけてもらった私は腰に付けてあった短剣を抜き、ホーンラビットの衝突に耐えようとするが、耐えられずに倒れこむ。

それを見逃さないホーンラビットが私に突っ込んで来て私の横腹に直撃し地面を転がる。

それと同時にマイラも攻撃を受けてしましい転倒する。

横腹の痛みに耐えながら顔を上げると、目が涙でぼんやりとしていて分かりにくいが、トドメかのようにホーンラビットが私に突っ込んで来るのが分かった。私は動けずに直撃しそうな瞬間に私の前に影が降りる。


「流石にこれ以上の傍観はダメだよね」


そんな声と共に直撃しかけたホーンラビットが後ろに吹き飛び、すぐさま首が一瞬で切り落とされる。

私は理解出来ずに見ていると、影は目の前から消えてマイラの元に一瞬で移動してホーンラビットを切り倒して行って、目の前で数秒たらずにホーンラビットが全滅した。


目がちゃんと見えるようになると分かった。一瞬で移動していたのは、アンナさんだ。

理解出来たと同時に誰かに抱き起こされる。


「大丈夫?あなたおもいっきり直撃してたけど?」


翡翠色の髪のエルフの女性、シルヴィアさんだ。ここは痩せ我慢はせずに素直に言おう。


「だ、大丈夫じゃないです」


「「ヒール」っとこれで立てるでしょ」


「ありがとうございます」


「貴方達舐めすぎよ。敵が雑魚でも数がチームの人数より多いと対処しきれないわ。貴方達初心者は尚更よ」


シルヴィアさんの話に返す言葉もない。


「すみません」


「まぁ、今回はこれの為の勉強だから事前に知れて良かったと思うわ。アンナ!これからどうする?」


アンナさんは自身の身長程の長さの剣を鞘に戻してこちらに歩いてくる。


「みんな疲れてると思うし、一旦休憩入れようか。場所はちょっと先に行ったら広場があったと思うからそこで。クズハは先に見回りお願いしていい?」


「勿論行ってきます」


返事と共にクズハさんの姿が薄暗くなり消える。私が目を点にして驚いていると、アンナさんが手を叩いて注目を集める。


「今から休憩する所まで行って昼食をとるからあと少し頑張って私に付いてきてね」


そう言いアンナさんが歩き始めて、私達はその後を追いかけるのだった。

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