ベヒモス戦①
今日は2話進みます。
右目に突き刺した「春光」を引き抜き、その場からすぐに下に降りる。さっきまで居た目の周りが一斉に鋭く尖った。
ベヒモスの体は周りを岩石などで守っているので、スキルの「土魔法」で操り、ああやって守ることもできる。
「まぁ当たらなければ無駄だけど」
怯んでいるので地面に足が着くまでにダメージを稼いでおく。
「豪腕、大太刀七ノ型、落花」
ベヒモスの右前足の脛に八の字形を7ヶ所斬りつけた。
地面に足が着くと、一瞬でその場から引き上げる。
「神速、気配遮断、疾風迅雷」
一気にクロワとエルフの少女の居る所まで戻ってきた。流石に人手がいるので、手伝ってもらおう。
「クロワ今からあれ倒すから手伝って」
『当たり前だよ。私はマスターの配下なんだから』
「………。ああそうね。ありがと」
今思い出したが、ASOではNPCで弟子や部下、配下などを作り出せた。何人か作ったがあれはこちらの世界に呼べるのだろうか…。
そんなことより、今はベヒモスだ。
「エルフの貴方」
「え…。は、はい!」
「付与魔法使えるでしょ、それで私とクロワに強化系の魔法を出来るだけかけて」
「ええ!?何で私の魔法を見知らぬ貴方が知ってるんですか?」
ベヒモスが立ち直って来たか。結構早いな。
「あとで説明するから早く魔法をかけて、かけて」
「は、はい!ボディリンフォースメント、スピードリンフォースメント、マジックセーフガード、オフェンシブパワー、ヒーリングコンティニュネーション」
こっちの世界では英語なのか。
彼女の「付与魔法」は7レベルだから、このバフがあるのと無いので大きく変わるだろうな。
「ありがとう、後からはこのスライムのクロワか私に、私が付与の指示するから」
そう言っていると、ベヒモスがキレて、こちらに突っ込んで来た。
「きゃー、べ、ベヒモスががが」
「クロワ体積調整増加、完全防御3秒前」
そう言いクロワを前に出して、クロワの体が5倍以上大きくなり、3秒後に完全防御になった所にベヒモスが突っ込んだ。
防御が完璧に決まったので、ベヒモスが突っ込んだ衝撃はそのままベヒモスのダメージとして出た。
「クロワ体積調整減少、そのままベヒモスの腹の下に行って」
私はクロワの横を通り抜けて、先程斬りつけた右前足の脛にもう一度斬りに行く。
「豪腕、神速、疾風迅雷、大太刀五ノ型一閃」
右前足を一瞬で通り過ぎ、腹の下を通り抜け左側にでる。そして右足の分厚い装甲に一本の線が横に入り、そこから装甲が弾け飛んだ。
それによってベヒモスの比重が傾き、右前足から崩れて行く。
「シルヴィアさん、そこから私に付与出来たら攻撃力上げる為のバフしてください」
「はい!オフェンシブパワー、スピードリンフォースメント」
その付与がかかった瞬間に一斉にに斬りに行く。
「豪腕、疾風迅雷、縮地、大太刀一ノ型残夢」
「大太刀一ノ型残夢」は大太刀の突きの中で1番威力のある武技だ。それを「縮地」の圧倒的な速さのまま、ベヒモスで1番防御力が無い腹に行うと、半径1mの大穴が出来る。
《グオゥォォオオオオオオ》
「やっと大ダメージを与えれたぞ」
この大技を決めても油断は出来ない。ASOの時では10分の1減らせるか減らせないかだった為だ。
直ぐにその場から移動する。クロワはその場に残したままで。
案の定、下の地面を操り、先程居た所が岩の槍が生えたが、クロワは圧倒的な防御力があるので大丈夫だ。
そのまま下がって行くと、いきなり地面から槍が生えて防具を掠った。
「くそ、足の音か振動を拾って攻撃してるのか!神速、疾風迅雷、予知」
さっきから使っている「疾風迅雷」は神経速度の加速と、身体の筋肉を強化するスキルで、「予知」は攻撃の道筋を赤い線で見えるようになるスキルだ。
これで地面からの槍を躱せる。そう思っていると、目の前が一瞬で赤かく染まり、私は宙に舞っていた居た。