終わり?
爆煙から出てきた黒いナニカを見てアンナとシラバスは困惑の表情で顔を見合わせる。
「ここまで作戦通りだけど………なにあれ?」
「………知らないですね」
「結構歳とってると思ってたけど?」
「歳をとっても知らないものは沢山ありますよ。まだまだ勉強することは沢山ですよ」
「そうだぞ、我もまだ勉強することはある」
胸ポケットに入っていたスイゲツも同意する。
「じゃあ話してみる?」
「主、相手が話せると思うか?」
「………無理だよね」
「そうだな。って、それよりもだ、奴をどうする?」
「まずは遠距離から出方を探る方向で」
「分かった」
「了解」
シラバスは右、私は左から敵の方に回り込み、シラバスは風魔法を発動し敵の頭上に5本風を編んで作った剣を投下する。
しかし、剣は全て敵の黒い霧のような体を通り抜けて地面に突き刺さった。
それを確認し、物理は効かないと判断し雷魔法「雷召」を発動し雷を敵の頭上から撃ち落とし直撃する。
が、頭上に盾を瞬時に出して防ぎ、周りに剣を出現させ私とシラバスに射出する。
シラバスは風の壁で防ぎ、私は土魔法「土壁」で防ぐ。
「やっぱり魔法攻撃か」
「魔法でも流動的なものだな」
「攻撃手段は分かったけど……相手何がしたいの?」
敵はさっきの所から一歩も動かず、じっと固まっている。
「何かする前に倒しますか「ディフーズトルネード」」
敵の周りに回転が速い竜巻が四方向から敵を巻き込み、体が霧散していき竜巻が収まった時には敵の姿は消え失せていた。
「結構呆気なかったですね」
「結局何がしたかったんだろ?」
私はシラバスと合流するため敵の残骸を避けながら歩いていく。
何故だろうか、何かモヤモヤしている………
「主よ、今回は味気なかったな」
「………相手が何をしたかったのか分からない…」
敵がいた場所で合流すると、シラバスは頭を下げた。
「ありがとう、マスターの頼みを聞いてくれて」
「こっちも襲われたし良かったんだけど………私、穴と偽造人形作っただけだよ?」
「いやいや、穴を掘るのもダミーを作るのも私達では無理だからね」
「イレイナなら出来たでしょ?」
「主は外に出られませんから」
「………まぁいいや」
気になる事はあったが、知らぬが仏だ。
「さて、まずは彼女らと合流して、妖精の狂気化、鎧などの確認をしながら主の所に戻りましょう」
「了解」
私は胸をモヤモヤさせながらその場から離れるのだった。
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〜???〜
薄暗いこの部屋にたった1人、女性が丸い水晶を見つめていると、砂嵐の音とともに水晶に光が灯る。
「ーーーーーーーーーー妖精の森の監視は続行不能、「怠惰」は監視を逃れた」
「逃れましたか………あなたはどうするの?」
「ーーー彼の方に、指令を受けている」
「そう………こちらも「節制」と「塔」を扱わないとダメだから大変だわ」
「ーーー彼の方の為にだ」
「そうね、また連絡事項があればよろしく」
そう言い女性はその部屋から出て行き、水晶は元の状態に戻ったのだった。
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〜妖精の森〜
「アンナお姉ちゃん!」
『マスター、ご無事でなによりです』
アリスちゃんは流石に近くには連れて行けなかったので、ここでアリスちゃんはクロワを身に纏って待機してもらっていた。
「何もなかった?」
『こっちは何もなかったですね』
「なかったよ」
「それなら良かった、今から帰るよ」
私はアリスちゃんに手を向ける。
アリスちゃんは笑みを浮かべて私の腕に抱きつき、昔に妹に同じ事をされたのを思い出しながら帰っていった。
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