職業について知る
「まだ、質問ある」
「え、なに?」
「どうやって、森に入って、来たの?」
「分からないんだよね、気づいたらこの森に居たよ、この森って普通に入れないの?」
「入れない、妖精が、認めた人しか」
「じゃあ認められたのか……」
けど、どの妖精だ?私があったの全員狂気化してたけどな。
「忘れてた!狂気化した妖精の事知ってる?」
「私も、聞こうと、思ってた」
「じゃあ妖精が狂気化してるのも分からないの?」
「分からない、私、自ら、探したら、すぐに、見つかると、思うけど」
「?なんで探さないの?」
「私、外に出れない、出ては、いけないから」
「出てはいけない……」
何かの病気なのかな?けど元気そうだけど……。
私が気になってるのを気づいたのかイレイナが心配ないと言う。
「私は、大丈夫、アンナより、強いし」
「やっぱり、私より強いんだ……」
「誰にも、魔法では、負ける事は、無いと、思う」
「誰もって、凄い自信があるね…」
イレイナはこちらをジッと見たまま考えているようで、少し上を見てすぐにこちらを向く。
「戦ってみる?」
「え、けど私は近接戦闘型だよ?魔法だけは無理だよ」
魔法も使えるが、さっきみたいに戦いに用いるなら、剣と併用しながらじゃ無いと戦闘にならない。
しかしイレイナは近接戦でいいと言う。
「私が、剣使って、戦う」
「え?イレイナの職業はなんなの?」
「魔導王」
「魔法師の進化系か」
「魔法士、魔法師、魔導士、魔導師、魔導王」
「へぇー」
「アンナの、職業は?」
「魔法剣士」
イレイナは私が初めて見る、青眼を思いっきり見開いて驚いている。
そんなに驚く職業なのかな?確かグラートもこの職業の事何か言ってたような……。
「一生変えれない、職業を、そんなのに、したなんて……」
「え、何かマズかったかな?」
ASOでは無かった職業だ、多分器用貧乏になるとは思ってたけどそれほどマズイものなのかな?あと変えれないってどう言う事?
「魔法剣士、通称「勇者の劣化版」、魔法も剣も、どちらも勇者に、劣る、ステータスも、あげても低いまま、だからみんな、魔法剣士があっても、絶対選ばない、魔法剣士しか、無い人は、確実に、馬鹿にされる、はっきり、言って、回復魔法士の、方が強い」
「そこまで!?さ、流石に回復魔法士には勝てるでしょ」
「回復魔法士は、光明魔法使える、だから、勝てない」
「え、え?えぇ!そ、そうなの?それにさっき職業って変えれないとか」
「当たり前、異世界では、変えれるかも、知らないけど、こっちは無理」
「……………マジですか」
「マジです」
私は椅子に深く沈む。
は、ははは………あの時、騎士とかしとけばよかった…………はぁ、あたしってほんとバカ。
まぁ、選んでしまったのは仕方ない、レベル上げたらステータスも上がってるし頑張ろう!
私は心を入れ替えて顔を上げる、イレイナは私をまたジッと見ている。
「アンナの、ステータス、魔法剣士の、レベルと、釣り合ってない」
「え?そうかな?」
「多分、獲得経験値3倍、が働いてる」
「へぇーそうなんだ、じゃあ魔法剣士でも気にしなくていいんだ」
「多分……」
「魔法も全部覚えれるし大丈夫なはず」
「………………」
イレイナは私を見たまま固まっていて、少しすると口を開く。
「アンナ、線魔法って、何?」
「知らない?」
「1000年間、生きてるけど、私は、取った事、見た事、ない、初めての魔法」
「じゃあ私が初めてなのかな」
少し嬉しい、私しか持ってないのは、なんと言うか優越感がある。
「………どんな、魔法?」
「こんな魔法だよ」
ポケットから透明な糸を取り出す。
これはクズハがよく使っている釣り糸のようなもので、橋などを支えているロープと同じくらい硬い。
私は糸を左手のひらに乗せ、開いた手で糸を宙に巻き上げる。
「こんな感じで操れるんだよ、凄いでしょ」
「……凄い」
「ふふふ、ありがとう」
「…………………………………」
「………どうしたの?」
「………言いたく、ないなら、いい」
私は少し気まずくなりながら糸をしまう。
「それで戦う?」
「どっちでも、いい」
「うーん…………私はイレイナがどれだけ強いか知りたいから、戦いたいかな」
「分かった、じゃあ、付いてきて」
私はイレイナの後に続いて部屋を出る、この通路も高級そうな絨毯が引いてある。
向かったのは近くの部屋で、かなり大きめの無機質な部屋だった。
「ここで、なら、どれだけ、暴れても、大丈夫」
「じゃあ、私はこれ使うね」
背中にかけている春光を叩く。
イレイナはいきなり手を横に向ける、手の近くの空間がねじれ、そこから1つの剣の柄が出てくる。
げ、ゲート・◯ブ・バビロンだ!凄い!私もしたいな。
出て来た剣は両刃の中世の剣で、色は赤黒く禍々しいものだ。
「滅火剣「ガルヴァン」」
「凄いね………」
「私の、最高の、剣」
「………本当に剣使うの?」
「これで、戦う、アンナ、舐めないで」
私よりイレイナの方が何倍もレベルもステータスも強いだろう、けど剣技で負ける気はしない。
「分かってるよ、じゃあやろうか」
私とイレイナは中央から一定の距離まで離れる。
イレイナは中段で剣を構え、私は鞘に入れたまま構える。
「ルールは?」
「何でもあり、けど、ハンデ、私は、魔法使わない」
「カルミナの方が舐めてるじゃない」
「大丈夫、やってみたら、わかる」
「まぁ、そうだよね、私も分からせる」
(身体強化、豪腕、神速、気配遮断、予知、縮地、サンダースピード、アンナ流居合五ノ型「流し」)
グラートを倒した時と同じスキルを使い、イレイナに一瞬で近づき、剣を振るう。
もらった!
と思ったが、体に当たる前に弾かれる。
イレイナの持つ剣が下から弾き返したのだ。
構えは確か中段だった筈だ!しかも予知で見えなかった!?早過ぎたのか!
イレイナに隙を見せているため、すぐに後ろに下がる、がイレイナは弾き返した姿勢のまま追撃はなかった。
イレイナは姿勢を普通にしてこちらに向く。
「かかって、来て、まだまだ、これから、だよ」
「やってやる」
私はまたイレイナに突っ込んでいった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
「満足?」
10分間、間髪入れずイレイナに一撃を入れようと自分の使える、武技、スキル、技術を用いてあらゆる攻撃をした。
だが一撃も当たりも掠すりもしなかった。
しかもこっちは息切れ状態なのに、イレイナは平然としている。
かなりショックだ、自信あったのに。
ショックで少しへこんでいる私にイレイナは向く。
「これが、実力、分かった?」
「はぁ、はぁ、はぁ、分かったよ、けど、はぁ、最後に、一回やってもいい?」
「アンナの、本気の一撃?」
「はぁ、はぁ、これ使ったら、腕が壊れると思うんだよね、あとで治してくれる?」
「回復魔法は、使える」
「それじゃあ、後はよろしくね」
私は息切れを治し、剣を両手で持ち肘を曲げ、剣が顔の右横、剣先はイレイナに向くように後ろに引く。
「さて、行くよ」
「分かった、全力で、受け止める」
イレイナも目を見開いて、剣を中段で構える。
私は決心し、武技を放つ。
「秘剣、……………」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜イレイナ視点〜
痛い、久し振りに傷がついた、アンナ治さないと。
私は横倒れになっていたので起き上がる、目の先ではアンナが気絶して倒れている。
当たり前だ、腕が弾け飛んでいる、これでは失神、最悪はショック死だ。
アンナが生きているのを目で確認し、まずは斬られた私は体を治し、自身の足を見る。
まさか、足を切り落とされるとは、思わなかった。
すぐに足の斬られた跡どうしをくっつけて治し、アンナに近づき腕を切り後から生やす。
アンナのあの技、魔法を使ったのは分かった、けどあれを実行しようとは、思わない。
私はアンナがあの技を覚えるのにどれだけ特訓したのか感動する一方、自身と同じくならないように願ったのだった。
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