少女と探索
「吸血鬼だからだどうしたの?」
「トゥルーヴァンパイヤって言ってくれる?吸血鬼って言うのと少し違うのよ」
「真祖ね……」
「分かってるんでしょ?」
「分かってるけど見たのは初めてなのよね………興味がある」
それを聞きアリスは身構える。
「実験でもするつもり?私はモルモットにはなるつもりはないわよ」
「いらないよ、けどこの人がそう言うなら仕方ないけどね」
「………この獣人の子が私を直してくれたのよね」
「そうよ、そして鎧の奴を倒したのもこの人よ、起きたらお礼はしなさいよ」
「分かってるわよ」
「まぁいいけど。そう言えばアリスは何でここで倒れてたの?しかも自身のレベルが低いのになんでスキルのレベルがここまで高いの?モンスターを倒さずにずっと室内でスキルだけ鍛えてたの?」
私の質問にアリスは少し嫌そうな顔をする。
「質問が多いわよ!私の事よりその子を見とかなくていいの?」
「大丈夫、守られてるからね」
「?………まぁいいわ、質問はこの子が起きてからにするわ、どうせ説明しなくちゃならないだろうし」
「この人はそう言う事は聞かないと思うけどね……まぁいいか」
「そうなの…………それじゃあ私はあなた達以外の前では喋り方変えるから」
「私を真似するのですか!別に良いですが」
「真似?それより私眠たいから寝るわ」
「え!?身勝手な…………まぁ一応私が守ってあげるからおやすみー」
「………ありがと、おやすみ」
アリスはまた横になりスゥスゥと眠り始めた。
私も少し疲れたのでクロワにアンナが起きる前に起こしてと無茶を言ってビンの中にくるまって眠ったのだった。
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〜アンナ視点〜
「ふぁ〜〜あ」
「お、起きたかおはようアンナ」
「おはようスイゲツ、何時間寝てた?」
『2時間ですね』
「そんなに寝てたのか、早くみんなを探さないといけないのに」
私は体を起こして体を伸ばす。
伸ばしてる時に気づいたが銀髪の少女が横にいた。
あっ、忘れてた、自己紹介した方がいいか。
少女は銀髪ロングで目は私と同じ赤色だが透き通っていて、吸い込まれそうになる。それにこの子は少し優美さがある。
その子が座って少し怯えている様なので私はかがんで話しかける。
「私はアンナって言うの別に怪しいものとかじゃないから君の名前を教えてくれる?」
「………アリス」
「アリスちゃんね、アリスちゃんは何でここに居たの?」
「………分からないの……」
「そうか………」
迷子かなそれとも捨てられたのかな?それとも記憶喪失かも、考えても分からないしもっと聞くか。
「じゃあ、傷を治したのは私なんだけどね、その傷は鎧の奴に付けられたの?」
「………うん……」
質問すると体を震わせて居た、こんな子が全身真っ黒鎧に襲われたら怖いよね。
私は慰める様に頭を撫でて落ち着かせる。
「大丈夫だよ、もうあの鎧は消えたからね」
「……アンナお姉ちゃんがやったの?」
か、可愛い!生まれて初めてお姉ちゃんなんて言われた!なんだろ凄く素晴らしい快感だ。
落ち着け、まだ話は途中だ、ちゃんとしないと。
「そ、そうだよ、私がやっつけたんだ。それでねこの森から出る為にもアリスちゃん1人じゃ危険だから私達について来てくれる?」
笑顔で聞いてみるとアリスちゃんは満面の笑みで言う。
「一緒に行く!私アンナお姉ちゃんについて行く!」
「あ、ありがとうね。それじゃあスイゲツ、みんなの場所分かる?」
地面に置いてあるビンの中のスイゲツに聞く。あの鎧を倒したのだ探知で探せるかも。
「ん〜、分からんな、この森を歩き回って探すしかないな」
「そうか………アリスちゃん、ちょっと私の仲間を探さないといけないからついて来てくれる?」
「私はアンナお姉ちゃんについて居たの!」
「ありがと、じゃあおんぶしてあげるよ」
私はアリスちゃんに背を向けて乗るように言う。
振り返った時にスイゲツは胸ポケットに入れる。
アリスちゃんは私に乗り、私はアリスちゃんの足を持ちおんぶする。
「よし、クロワはアリスちゃんと私を結んで置いてね、スイゲツは探知をお願いね、すぐに引っかかったら教えて」
『了解』
「分かっておる」
「よし行くよ!、神速」
スキルを発動し私は少し暗い森の中を走って行くのだった。
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木々の間を走り続けて10分、その間は何も起こって居ない、妖精の森と言われているのに妖精が全く居ない、シルヴィアが間違えたのかな?
と思っているとスイゲツが止める。
「少し止まれ、前方50m先から3体の妖精が来ておるぞ、迎撃するか?」
「まぁするよね、今はアリスもいるし早くみんなを探したいから邪魔されるのは面倒だしね」
「了解だ、我が全て掃討しよう」
「いいの?同族でしょ?」
「お主と一緒に旅をして居た時も妖精は倒して居ただろ」
「あーそうだったね」
少し待つと3体の妖精がフラフラと飛んで来た。
おかしい、普通は奇襲をしてくる筈だが目の前から来たぞ?ASOとは違うのかな?
私が警戒しながら考えていると目の先にいる妖精が風の槍を作り出し私にはなってくる。
「水壁、水槍群」
その槍は私に当たる少し前に水の壁に当たり消える。そしてその壁から水の槍が数十本飛び出して妖精達を貫く。
妖精達はその場から粒子のように消えて行き、1つの魔石を落として消える。
「呆気ない……」
「こっちの妖精は奇襲をしないんだね」
私がスイゲツに聞くとスイゲツは首を横に振り否と答える。
「いや、あの妖精達は少しおかしかったぞ、狂気化しておった」
「妖精が狂気化?」
妖精が狂気化を使うなんて初めて知った。こっちでは普通なのだろうか?ああ、シルヴィアが居ないのが惜しいな。
スイゲツはさっきの私の質問に答える。
「そうだ、だがあやつらが自発的に狂気化したのではなく、何かに狂気化されたかも知れんな」
「妖精に狂気化する意味が分からないよ」
「分からんな………この操っている奴、先程の鎧の奴と関係あるかも知れぬぞ」
「???、なんで?」
「おかしいと思わんかったか?この妖精の森と言う場所に妖精と関係ない鎧の奴がいたのが」
「思ったけど普通なのかと思ったよ」
それを聞きスイゲツはため息をつく。
「はぁ、お主はもっと物事に疑いを持った方が良いぞ」
「そっち方面はみんながしてくれるでしょ?」
「まぁそうだが………」
スイゲツは少し照れているようだ、私はみんなを信頼してるよ。
「ええい!それより仲間を探すんだろ?もっとくまなく探すぞ!」
「分かったよ、アリスちゃんはさっきのスピードで大丈夫だった?」
「大丈夫!楽しかった!」
「それじゃあもっとスピード上げるけど大丈夫?」
「大丈夫だと思う」
「それじゃあ、神速、身体強化」
先程より速度を上げて森を走る。走っているとまた狂気化された妖精が出て来るがスイゲツが迎撃し私達は進んで行く。
アンナは知らない、先程の妖精達に攻撃した時に少し進む方向が変わっているのを、そしてその方向にはこの森最強の存在がいる事も。
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