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少女と黒の鎧


私は神速を使い木々の間をを走り抜ける。5分程走っているがまだか。


「アンナ!あの木の裏だ!」


「あの木ね」


少し開けた所の巨木の裏か。

私は周りを見て先程スイゲツが言っていた奴を探すがまだ来てないようだ。

すぐに木の裏に回って見ると、そこには銀髪ロングの肌が雪のように白い私より小さな少女が地面にうつむせに倒れて、背中には大きな斬られた傷があり息を荒くして倒れていた。


「君!大丈夫?すぐに直してあげるから」


私はすぐに近づいて背中に触れる。


「うっ……」


「ごめんね、すぐに直すから再生」


背中についていた傷は徐々に治っていき、数秒後には完全に治った。少女は倒れたまま寝てしまったようだ。私は少女の体を仰向けにして寝かせる。


「はぁ、はぁ、疲れた」


「お主、回復魔法を使えたのだな」


「はぁ、違うよさっきのは「再生」って言うスキル」


「ふむそうか……………お主前より弱くなってないか?」


「転職したからね、前よりかなり弱くなってるよ」


「だから回復魔法みたいな事も出来たのか…………」


あれ?そんなに驚かないな、みんな驚いてたのに、やっぱりスイゲツは凄いなぁ。

私はスイゲツの事を少し憧れている、何でも知っていて、頭の回転が早いからだ、私達の参謀だしね。

私はある事を思い出しスイゲツに言う、スイゲツはそれを聞いて納得し考えて居ると急に大木の方を向く。


「悪い知らせだ、もう少しで鎧の奴がここに来るぞ」


「じゃあ迎撃に行きますか、みんなさっきの通りに行くよ」


スイゲツは私の胸ポケットに入り、クロワは私の全身にまとわりつき鎧のようになる。

クロワのやったものは戦車を試した時に一緒に試したもので、装備の枠を埋める事なく防御力がかなり高くなるし、動きも阻害されないので素晴らしい鎧である。


私はアイテムボックスから白色の靴と春光を取り出す。他の装備は着替えるには時間がかかる為出さなかった。この白色の靴は「双速竜の靴」でAGIをかなり早くしてくれる。

靴を履き替えて春光を鞘から抜き、私は木の裏から出て行く。

そこには黒の中世の鎧で包み、黒の片手剣を持った全身黒づくめ奴がいた。全身を鎧で包んでいる為中の人の性別も分からない。しかしスイゲツの目なら分かるだろう。


「スイゲツ、アイツどれくらい強い?」


「………分からん」


「え?」


「分からんのだ、鎧の方は分かるが中身の方は全く分からん」


「スイゲツを欺ける程の力を持っている?」


「そう考えて良いかもな、鎧の方は合計VITが500と少なめだ。装備スキルは鉄壁lv4、駿足lv4、一定防御lv4だ、剣は普通だな」


「スキルは別に問題ないか……あとはアイツの力量だけど……」


私は鎧の奴を見る。私もある程度は相手の力量が分かるようになっている。しかし鎧の奴は全く分からない。


「何なんだろアイツ」


「相手に力量を悟らせない程の実力者かもしれんぞ、攻撃は我が迎撃してやるから攻撃に専念しろ」


「分かった、クロワも頼むよ」


『分かったよ、マスターは私が守るから』


まずは話してみるか、意思疎通出来るなら分かり合えるかもしれないし。


「こんにちは、私に何か用ですか?」


「…………」


応答無しと、一撃入れたら何か喋るだろう。

私は春光を敵に向けながらじりじりと近づく。私がさっきの場所から3mは離れたのに鎧の奴は全く動く気配がない、剣もだらんと地面に落としているしコイツ何考えてるんだ?


私が少し止まり相手の出方を疑っていると、鎧の奴がさっきの姿勢のまま突っ込んで来た。

私は武技を発動させ攻撃する。


「神速、大太刀五ノ型「一閃」」


鎧の奴の横を通り過ぎた時に、鎧の横腹部分を斬る。手応えはあった、あの程度の防御力なら鎧ごと斬れる。

私はすぐに振り返り構える。

鎧には横に刀の斬れた跡が残っていて、中身の奴にも攻撃は当たっただろう。その証拠に鎧の奴は先程の姿勢から全く動かない。

もう一度話しかけてみるか。


「ねぇ、あなたのその攻撃が本気なら私に絶対に勝てないよ。本気じゃなくてもこっちも本気じゃないから無駄だし、あなたの目的を教えてくれない?」


しかし鎧の奴はこちらに向き直し、次は剣をこちらに向けて構える。

あれぇ?普通ならここで話し合うと思うんだけどね。仕方ないから鎧が壊れるまで袋叩きにするか、こっちはスイゲツとクロワもいるし問題ないからね。


私が鎧の奴に近づこうとすると胸ポケットに入っているスイゲツに止められる。


「少し待て、奴は攻撃を食らっておらんぞ」


「え、そうなの?」


「さっきまで色々と調べておったんだが、中身からの心臓の鼓動は聞こえないし息をしている気配もない。多分だが中身はゾンビだぞ」


「ゾンビ!?」


ゾンビか面倒だ。

ASOでのゾンビの倒し方は両腕、両足、頭を体から切り落とすか、魔法で蒸発させるかだった。

1番簡単なのは光魔法での攻撃で、弱い光魔法でも大体一撃で倒すことが出来る。

私は光魔法は使えないから違う魔法で処理するしかないか。

私が考えているとスイゲツが口を開く。


「アンナよ、我が水流魔法の水檻で奴を捉える、そこにお主の火魔法の1番強力な魔法を打ってそれで一気に肩をつける」


「分かった」


「よしすぐにやるぞ、水檻!」


鎧の奴の周りに、自身と同じ大きさの水の玉が4つ現れて囲む。それが一斉に鎧の奴にぶつかり鎧の奴を水の中に閉じ込める。

水の中は洗濯機のように水流が流れているので鎧の奴は出る事は出来ないだろう。

私は今の魔力量で最大威力の魔法を放つ。


「火炎槍!」


水檻の上に10本の火の槍を出現させ、それらを全て水檻の中に突っ込む。火炎と水との温度差で一瞬で水は蒸発し、その場で大爆発が起こった。

その直前に私はクロワに丸くなって包んでもらったので、私達にダメージは0だ。


私達は爆発から少し経っからクロワの中から出る。爆発は周りの木々をなぎ倒しており、後ろの巨木も少し傾いていた。


「あ!あの子大丈夫かな」


「大丈夫だ、あった時に我が水の防御膜を張ったのだ、確認したが問題無い」


「はぁーよかった、ありがとうスイゲツ。それであの鎧の奴は?」


「ほれ、そこらに散らばっとるわ」


爆発の所から円状に鎧の各部分が分散されていた。中身の肉片などは無さそうだが……。


「中身は?」


「あの状態で爆発から逃れるのは不可能だ、爆発直前まで我は魔法の探知もしておったので、何も無かったのは分かるぞ」


「じゃあこれで終わったのか……」


「そうだろうな……」


2人ともそこで止まる。

何か引っかかるのだ、多くの戦いを経て、戦闘の終了がこんなに呆気なく終わるのかと。

しかも相手の生死がよく分かってないのも原因の1つだ。

私達が悩んでいるとスイゲツが後ろを向き叫ぶ。


「アンナ!危ない避けろ!」


「え!」


私が振り返り避けようとするが、その前に腹部に衝撃が来たのだった。





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