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奈々美サイド〜囚われの身〜

私達はヘンゼルさんに連れ去られてから1週間が経った。私達は別々に分かれているようで、今は一人でいる。今いる部屋は窓が1つもない、家具は一通りあるため不自由はないが暇になる。


たまに来るのはメイドさんだ、私は初めて会った時は、抜け出そうとメイドさんに襲いかかったが余裕で返り討ちにされた。俗に言う戦闘メイドだと私は考えるのをやめた。


このメイドさんたまにメイドさんが暇な時に遊びに来てくれるのだ、初めは警戒したがだんだん慣れていき普通に遊んでいる。名前はマータリさんと言うらしい、名前を書く時に少し悩んでいたから多分偽名だと思う。


遊びはトランプが殆どだ、その前に異世界にトランプがあるなんてビックリしたが。マータリさんはやたらと強い、ポーカーでは一度も勝てていない。神経衰弱は互角だが……。


それより今いる場所だが他国だと思う。

さっきのマータリさんのメイド服が違うのだ、アナスタリカ聖王国王城のメイド服は少し動き易くするためか膝の高さのスカートだが、マータリさんのは足元まであるメイド服なのだ。私が何でそこまで見てたかって?内緒である。


それで此処が他国だと分かったがそれが何処なのかが2つまで絞った。

私達を攫う理由がある国で絞る事が出来るので2つになった。

1つ目は魔王国、私達を攫う理由があるが私達を1週間も生かしておく理由が無いから違うと思う。交渉しようと思っているならダメだな、アナスタリカ聖王国は3人くらい勇者が減っても別にいいと思っている筈だ。勇者の事を道具として見ているからね。

2つ目はスベーリア王国、攫う理由は戦争回避だろう。私は此処はスベーリア王国だと踏んでいる、8割スベーリア2割魔王国だ。

しかもマータリさんは多分だが人間族だ、確定要素が多い、けどスベーリアは交渉するつもりなら魔王国と同じで駄目だろう。

まず雪乃と暁人はどうなっているのだろうか、私と同じならいいが、暁人は反抗してそうだ。


ああ、早く地球に帰って奏人に会いたい……。

私が部屋のベッドの上で考えているとドアの先が騒がしくなっている。


「……!ーー!ーーーー」


「ーーー‼︎‼︎ーーーーーー」


遠くから聞こえる、私はドアに耳をつけて声を聞くようにする。


「ーーーら、駄目です!」


「どけい!我が裁定するのだ、其奴らを早く我に見せろ」


片方はマータリさんだ、もう片方は男性だな。


「まだ駄目なんです、メイド長の命令ですので」


「我は見せろと言った」


「いずれちゃんとした場で見せることになっていますのでお待ちなさってください」


「我は配下には寛大だ、一度は聞き逃すことは許そう、だが二度は聞き逃すことは許さん、疾く我の前から引け」


「…………分かりました」


ええ!?マータリさん?その人こっち来ちゃうの?てか多分だけどその人王とかだよね。

私が慌ててドアから離れて椅子に座ると同時にドアが開く。

そこから現れたのは20代の金髪を短く整え、金色の装飾を肩に付けた豪華な服を着た男が出て来た。

その王は部屋を見てすぐに私を見てきた。


「ふむ………」


「………あのー?」


「何だ小娘、我に声を掛ける栄誉を許す」


え?何だこの王様、ヤバイ全然理解出来ない。


「何だ?この我に声を掛ける栄誉を得たのだ、もっと喜ぶがよいフハハハハ」


え?どっかの英◯王?目が青だから違うと思うけど。


「早く申せ、我の興味が失う前にな」


「………えっとあなたはこの国の王様ですよね」


「そうか知らんのか、よい許す、この王たる我の名を我が教えて貰えるのだ喜べ小娘」


「は、はぁ」


「うん?面白みのない小娘だ。我はスベーリア王国の現国王のガルダント・マシュア・ギシュベルト・アギルバルトだ」


「……やっぱりスベーリア王国だった」


よかった、魔王国だった場合どうするか本当にヤバいかもと思っていたため、人間族のスベーリア王国だったのは良かった。

私が安心して息を吐くと、一瞬で息を吸えなくなった。あの王様だ、あの人がこちらを睨むだけで私は萎縮してしまい体が動かなくなった。


「小娘………我は我に値せぬ者とは喋らん、我と話す栄光を得たのだ無くすというならとく逝ね、1度目だ2度目は無いと知れ」


フット、体が自由になる、私はその場にへたり込み息を切らしながら、目の前にいる王を見る。


「ふん、勇者もたかが知れているな、この程度ならそこらのメイドでも簡単に殺せるわ」


この人は本気で言っている、私の事をただの一般人として見ている、はっきり言って怖すぎるが聞かなければならないことがある。

私は勇気を出し質問する。


「……私達を…どうするつもりなんですか」


「貴様らか…………初めは我の好奇心故に呼んだが…………これでは我を楽しませる道化にすらならん。此処で死ぬのもいいかも知れんぞ小娘」


この王は本気で言っている、どうする、どうする、どうする。

私が頭の中でこんがらがっているとドアの方から2人入ってきた、1人は私が知っているヘンゼルさんがメイド服を着ていて、その横には銀髪の眼鏡をかけた女性だ。


その2人は王様に近づきその場で跪く。

ヘンゼルさんが王様に顔を下げたまま言った。


「アギルバルト王、勇者を殺すのはどうかおやめください」


「ほぅ、単なるメイド長たるマリナが我に物申すか」


隣に跪く銀髪の女性もそこに入り込む。


「王よ、まずはアナスタリカ聖王国との戦争回避に向けて行いましょう」


「ナミア、前から無駄だと言っているはずだが、我の言葉を忘れたか?」


「いえ、王の言葉は全て覚えております。しかし王よ、勇者を殺すのはアナスタリカ聖王国との戦争を早めるだけです」


「良いではないか、さっさとこのような児戯を終わらせて、あの件をさっさとやらねばならん」


「それは王だけが言えるのです、我ら臣下達はこの戦争は多くの被害が出ると思われています、王よどうか気を収めてください」


「ふむ…………ナミアに免じてこの場ではやめておこう」


「「有難き御言葉」」


私は言葉を失った、まだ生きているという実感しか無い。先程まであの王の威圧に耐えていたのだ。暴君など関係ない、あれが王という者か…。

王はこちらを向き声を掛ける。


「小娘、勇者なのだろ、この程度の威圧で萎縮するな、まぁ無理もないかフハハハハハハハ」


王は高笑いをしながら部屋を出て行った。その間も2人は跪いたままだった。

ナミアと言われた女性が立ち上がり、私の方へ向いた。


「初めまして、私はスベーリア王国大臣のナミアです。あなたは勇者の奈々美様ですね」


「え、は、はい」


「奈々美そこまでおどおどしなくていいぞ、もう王は自室に戻られている」


メイド服を着たヘンゼルさん?が立ち上がりながら私を落ち着かせた。


「あの、ヘンゼルさんって名前は…」


「そうだった、では改めて自己紹介を、私はスベーリア王国メイド長マリナと申します。以後よろしくに」


「マリナさんですか……」


「奈々美さん、王が来てしまったのは私達の責任です。すみませんでした」


「い、いえ、大丈夫ですよ。何もなかったですし、悪いのはあの王さまですから」


わたしは今の失言してしまった、私の目の前にいるのは、この国の王に忠義する者達だ。

真っ先に動いたのはマリナさんだ。

私の首元に全く見えない速度でナイフを構えた。


「奈々美、そのような言葉を言うからには死にたいのですか」


「待ちなさい!マリナ!あなたが殺してしまっては意味が無いですか」


「はっすみません」


「奈々美さん、今のは聞かなかった事にしますので今日は部屋で休んでいてください」


「は、はい……」


マリナさんはナイフを戻して、ナミアさんと2人で部屋を出て行こうとする。マリナさんが先に出て、ナミアさんが出る時に私に連絡事をした。


「後日、勇者3人で王の拝謁を行います。奈々美さんはもう行われましたが、他の方達とも会えるので報告します。では後日」


そう言いドアを閉めた。

部屋はさっきまでの騒ぎは無く、静寂が支配している。私の心臓は今日だけで何回止まったのだろう。そう思いながら私はベッドに潜り込み、疲れた精神を治すために眠りに入った。




出来ればブックマークと下の評価ボタンを押してください。執筆が捗ります。不備な点があれば感想にて優しく教えてください。よろしくお願いします。

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