伝え合う気持ち
ふふふ、計画通りになってきたわ、このワインにはさっき入れ損ねた粉末のアレを入れた。時期に効果が出てくるだろう。
私とアンナは横に並んで食べている。凄くアンナの表情を見て見たいが悟られるのはいけないと思い、アンナをあまり見ないようにする。
しかしアンナは心を呼んだかのように話してくる。
「シルヴィア?料理食べないの?」
「え、ええ食べるわよ」
意識し過ぎて食べるのを忘れてたわ、普通に冷静に行かなきゃ。
しかしアンナは私の心を乱してくる。
アンナは私の方に向いてきて、私のおでこに手を置いてきた。
「ああアンナ!?」
「少し暑くない?」
「だ大丈夫よ、問題無いわ」
「それはフラグだよ」
「フラグ?」
「なんでもないよ」
たまにアンナは私が意味の分からない言葉を使う、方言か何かなのだろうから深くは聞かないようにしよう。
「大丈夫ならいいけど、ちゃんと休まないといけないんだよ」
「アンナの方こそずっと筋トレや魔物と戦ってばっかりなんだから休まないといけないでしょ」
そうあの日からずっとアンナは自分を追い込んでいる、負けたのが凄く悔しかったのだろう、あなたは守る存在でなく、守られる存在でも良いのだ。
「アンナ、私が守ってあげるから大丈夫よ」
「いつも助かってるよ、けど私は今の自分に納得出来ないんだ。自分がクロワ、ペーダソス、クサントス、クズハ、ガウェインの主である資格が今は無いんだと思うんだ」
「アンナ、みんなはあなたの本質に好いているのよ、決して強さで付き添ってるわけじゃ無いわ」
「それでもだよ、私は弱い自分が憎い……力なき者は淘汰される、どの世界のどの生物でもそうだよ。だから私は強くならなきゃならない、みんなの足を引っ張ってばかりだから」
「アンナ……」
アンナは自分が思っている事はあまり曲げないと思う、私が言えることはないかな…。
「それでね、私の我儘だけどもうそろそろ違う町にも行って見たいんだ、だから明々後日にこの町から出ようと思うの」
え!?初耳だわ。
「私は初めて聞いたわよ」
「まだクズハ達にも言ってない、今日言うつもり、ガウェインは明日だけど」
「なんで町から出るのここは住み心地はいいと思うけど?」
ナンパなどなければ良い町だ、町は綺麗だし食事も美味しい、町の人も気がいい人達ばかりだ。
「うん、1つ目はこの周りの魔物は弱いからもっと強い魔物のいるところに行きたい。私がなるべく早く強くなりたいだけだけどね。
2つ目は鍛治を教えに行こうと思ってね」
「アンナ鍛治をうてるの?」
「スキルはあって前はかなり出来てたんだ、けど今は全く出来なくなってるから教えてもらおうと思って情報をソフィアさんに集めてもらったんだ、それで王都にいい人がいるらしくて、そこに行こうと思ってるの」
アンナが鍛治ね……私もついでに教えてもらおうかしら。
「いいと思うわ、先にちゃんとみんなに連絡しないといけないわよ」
「いいの?シルヴィアが嫌ならこの話は無かったことにもするし」
「良いわ、私も千年経った色々な所を巡りたいしね」
私も外に出る目的はある、旧友を探しに行くのだ、あの本好きは今は死んでるかもしれないけどお墓に拝みに行きたい。
「ありがとうシルヴィア」
「良いけど、条件はアンナは無茶はしてはいけない事よ分かった?」
「う、うん……」
アンナは少し落ち込んだように少し下を向いて料理を食べ始めた。
私も料理を食べながら思う。
まだなのかしら?結構時間は経ったわよね?
大体30分経っている。だがアンナは普通だ。
アンナは効かないのかしらマタタビ。
そう、私はマタタビをアンナのグラスに入れていたのだ。アンナは猫の獣人だから効くと思ったのだけどね…。
横目でアンナを見てみると、さっきは話していたので気づかなかったが尻尾が終始動いているし、薄っすらと汗もかいている。足も不自然に動いている。
これは効いてる!
極め付けは息が前に襲ってきたときのように荒くなっているのだ、私は確信に変わった。
アンナは頑張って抑えてるのよね、ちょっと意地悪しよ。
「どうかしたの?」
「ふぇっ!なんでもないよ、ちょっと暑いだけだよ」
うん、凄い分かりやすい。
アンナの顔を覗き込む、薄っすらと汗をかき、頬は赤みを帯びている、息が荒いのもよく分かる。
「へぇ〜そうなんだ、何でもないのね」
「う、うん大丈夫だから料理食べよ」
アンナはすぐに料理に向いた、それを見て私は猫で神経が集まっている腰を少し触る。
「ふにゃ〜……し、シルヴィア!やめて!」
「どうしたの?腰を触っただけよ?」
「今はやめて、その、あの、気持ちよかったの」
うっ、上目遣いで見ないで可愛いからすぐに襲いそうになるから。
アンナは椅子から立ち上がって部屋から出て行こうとする。
「もうお腹いっぱいだから今日はもう寝るよ、また明日ね、おやすみ」
そんな事はさせない、後ろからアンナに抱きついて、その場から動けなくする。
「アンナはこんな状態なのに行かせるのはいけないわ」
今もアンナはフラフラしている、ワインも飲んでいてかなり酔ってるはずだ。
「大丈夫だから離して」
「そうかしら?」
アンナの顔をこちらに向ける、私の顔に触れるくらいくらい近づける。
アンナは驚いて口が半開きになっていたので、決心した私はそこに私の唇を合わせる。
「んんーー‼︎‼︎」
アンナは驚いて体をバタつかせるが私が頭と腰をしっかりとホールドしてるので無駄な事だ。
初めは少し合わせただけだが、アンナの顔を私の方に押し込み、私は舌を入れた。アンナの舌は暖かくて柔らかく甘い、これを求めていたいと舌を絡める。
数秒程して顔を離す、アンナは口をそのまま開いたまま目をトロンとさせて何も考える事が出来ないようだ。
私はアンナをお姫様抱っこして、ベッドに運ぶ。その間アンナは大人しかった。ベッドに横にして私はアンナを逃さないように上に跨る。
アンナも少し艶っぽい声で聞いてきた。
「シル…ヴィア……私の事………好き…なの?」
「アンナ、私はあなたのこと好きよ」
「そうだったんだ………良かった」
そう言いアンナは少しづつ目に涙を浮かべてきた。
「アンナ!?」
アンナは手で涙を拭き、少し鼻をすすって話し始めた。
「私もねシルヴィアのこと好きだったんだ……前に聞いたときは相方としてだったから、同性の私にシルヴィアはそういう感情は持たないと考えてたの………だから嬉しくてね」
「前はね、私ヘタレだから嘘ついちゃったの、だから今日は気合いを入れてやったのよ。人生で1番ドキドキしたわ」
アンナは少し驚いたようで嬉し涙が止まっていた。少しするとアンナがもじまじしながら言った。
「シルヴィア……お願いがあるの…またキスしてくれない?」
「良いわよ、さっきよりももっと濃厚なのをしてあげる」
「ふふ……シルヴィア大好きだよ…」
「私も大好きよ、アンナ」
アンナと唇を合わせ、お互い口を開いて舌を絡ませる。あの孤独感を救ってくれたアンナと一緒になった。なんとも言えない気持ちだ。こんな気持ちになったのはいつぶりだろう。その夜はアンナと激しく求め合った。
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月が隠れて夜でもなかなか暗い中でもさらに路地の間に宿のアンナ達を見ていた人がいた、帰ろうと振り返るとそこには白銀の鎧を着たガウェインが立っていた。
「おやおや、行かなくてよろしいのですか?」
「ガウェイン……良いわ、もう過ぎたことですし」
「そうですか……ではお通りください」
「あなたも戻るのですよ」
「ははは、あなたの方が戻る場所を探さなくてはいけないと思いますが」
「隣の部屋だから大丈夫ですよ」
「そうですか、では私はこれで」
ガウェインは鎧の音をたてずに闇の中を歩いて行った。そこに残ったクズハは夜空を見上げ星々を見る。今日は月が無いため星が一面に広がり綺麗に見える。
「計画通りに行きましたか……………はは、何ででしょうか涙が止まりませんね」
頬から垂れた涙は地面を濡らしていく。クズハはそのまま歩いて行く。その後の地面には星が落ちていっていた。
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