マール奪還④
戦車が魔物を轢き殺す。クサントスとペーダソスはノリノリである。そんな状況でシルヴィアは叫ぶ。
「あ、アンナ止まって〜〜〜」
どうしてこうなったんだとシルヴィアは思い返してみる。
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マールにアンナが現れる数分前
アンナは上空を戦車で走っていた。「空歩」を戦車に付与してあるので走れるのだ。
だが一つ問題があった。
それは…。
「はっはー!クサントス、ペーダソス!命懸けで突っ走れ!」
「ちょ、ちょっとアンナ!?爆走し過ぎよ!」
「大丈夫!私は今風になってるぜ!」
「話が噛み合ってない!?」
そう、アンナは運転させたら性格が変わってしまう人だったのだ!その結果、戦車のスピードはマッハ1(だいたい毎秒340m)を超えて走っている。風圧はクサントスのスキルで守っているので全く問題が無い、そのせいでアンナが爆走しているのだが。
「あ、アンナ落ち着きましょ、まさか下に見えるマールに突っ込むつもり!?」
もう真下にはマールが見えている。シルヴィアはそんな事をする筈がないと思っている。しかし現実は非情である。
「シルヴィア………魔物を蹴散らすぞ!はっはー!」
「あ、アンナ〜〜〜!」
「主人の命令ですよ、黙っておきなさいシルヴィア」
シルヴィアはクズハに口を塞がれてしまう、そのままクズハは戦車にしがみつくようにする。
「このままでは主人以外吹っ飛びますよ。シルヴィア捕まりなさい!」
「え、わ、分かったわ」
シルヴィアは大焦りで戦車の取っ手を掴んだ瞬間、体が振り落とされそうになった。戦車が落下に入ったのだ。
「きゃーーーー‼︎‼︎」
「黙りなさいと言っている、舌を噛みますよ!」
「うぅぅうう」
「アララライーー‼︎‼︎」
そのままマールへと突っ込んで行ったのだ。
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何にも説明になってない。がアンナは性格が変わることが分かった、それだけでもいい。
シルヴィアは目の前の惨状を見て考えるのを辞めている。
「はっはは!片っ端から蹴散らすぞ!」
『了解だ』
『承知』
「流石主人です、魔物がゴミのように吹っ飛びます」
そう、この戦車にもれなく轢かれた魔物は全て絶命しているのである、轢かれた魔物は私達の上を飛んで行ってるのだ。
「あはは、凄いわアンナ……だからもう止めて!」
「シルヴィア、大丈夫だ、私が付いてる」
「カッコいい台詞だけど今は言わないでー!」
「主人、拙は足首を挫いたようです、ですから付いて「大丈夫よアンナ、私はもう行けるわ」」
「そうかそれなら良かった、さぁ、潰すぞ雑魚どもが!」
(チッ、また邪魔をされましたか…シルヴィアがヘタレの内に決めなければ…)
(クズハめ、またやってきたわね。私も早くしないといけないわ)
2人とも魔物との戦いより、違う戦いを意識していた。
戦車は爆走する、今さっきサイクロプスに当たったが、他の魔物と同じ結果になった。
「はっはー!ん?デカイサイクロプスだ…、邪魔だな。クサントス、ペーダソス履き潰せ!はっ!」
戦車がキングサイクロプスに突っ込むが、キングサイクロプスは受け止めた!
「ほぅ?私の前に立ち塞がるか、死にたいようだな」
アンナは戦車から飛び出し、背負っていた大太刀を居合で構える。
「アンナ流居合四ノ型「死眼」」
「グオォォォォォウウ!!」
キングサイクロプスは手を使えずに目を突かれる、ガードしようのない速さの突きである。
アンナは目から大太刀を引き抜き、戦車に戻ると、すぐにクサントスとペーダソスが走り始める。
キングサイクロプスは掴んでた手が緩んでそのまま戦車に履き潰された。
こうしてマールの町の奪還があけっけなく終わったのだ。
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「すみません、すみません、すみません」
今謝りまくっているのは、アンナである。アンナの前には冒険者達がいて、全員オロオロとしている。
原因はアンナ自身だ。アンナは魔物を弾き終わって戦車から降りると直ぐに顔を伏せて、赤くなっていた。アンナはさっきまでの事は覚えているので、冒険者達を邪魔したと思って謝っているのだ。
「アンナ、やめといた方が良いわ」
「え?」
そこにアリアが来る。ここで説明するのにアリア以外適任はいないだろう。
「アンナ!さっきはビックリしたけどありがとう、あのお陰ででみんな助かったよ」
「へぇ?」
「あの時私達絶体絶命だったのよ、アンナのお陰でみんな助かったのよ」
アリアは優しく言ってくれる。邪魔じゃなかったのかな?
周りにいた冒険者達が言い始める
「そうだぞ、この命あるのも嬢ちゃんのお陰だ」
「ローガンさん…」
「そうだぜ、みんなヤバかったからな」
「お前も死にかけてたじゃねぇか」
「そうだよな、それにしてもあの戦車早すぎて全く見れなかったぞ」
「あれはヤバイな、一種の魔法だ」
「はっははは、こうして笑えるのも良いものだ」
「「「「「はっははは」」」」」
すごく喜んでる…良かった、悪い事じゃなくて。
ソフィアさんにまた怒られると思った。
アンナは人の仕事を取ってしまった事に、ソフィアさんから怒られた事をやらかしたと思っていたのだ。
「アンナ、ありがとう。私も死にかけてたのよ」
「私と言うよりクサントスとペーダソスを褒めてあげて」
「それもそうね、けどこんなに早く来てくれたアンナもありがと」
私の顔の位置にアリアさんが顔を下げて言った。
「それもクサントス達のけっか」チュッ
え………、今アリアさんに唇にキスされた………のかな?
「あ、アリアさん?どう言う事ですか?」
シルヴィアが鬼の形相でアリアを見ている。横にいるクズハもだ。
「あら?あなたがね…」
アリアはシルヴィアに近づいて小声で言った。
(あなたヘタレなのね…私が先に貰うわよ)
「だ、ダメよ!あげないから!」
「ふふふ、あなたをからかうのも面白いわね」
「アリアさん、前に言いましたよね、死にたいんですか?」
「別にあなたの主人に不敬な行為はしてないわよ?」
「あの行為こそが不敬!極刑に値する!死ね!」
「ちょ、ちょっと待って、冗談だからやめて〜」
アリアさんはその場から逃げ出してしまい。私はキスの事を聞きたかったのに聞かなくなってしまった。こうして私がモヤモヤしたままマールの町での依頼は終わったのだった。
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〜???〜
ドンッ!
「何なんだあれは!?」ドンッ!
老人はまた机に手を叩きつけた。計画が順調に行き司令官役のキングサイクロプスも投入した。のにも関わらず、マールの町で魔物達は全滅した。
「何だ奴は、あの戦車は何だ!?あんなのがアルーラの町に居るなど聞いたこともないわ!どうする、あの方にどう報告すれば………」
老人はせわしなく足を動かせ、歩き回って考えるが、あの方に何と報告すれば良いのか全く分からない。
その時、脳に直接彼の方から連絡が来る。
老人はその場で跪き話を聞く。
「………」
老人は早くにも立ち上がった、話は直ぐに終わったようだ。
「計画通りですか…彼の方が言うからにはそうなのだろう」
そう思って安心して椅子に座り込む、すると奥から顔を隠した女が出て来た。
「『隠者』大変よ、『月』が討たれたわ」
「なに!?」
驚きを隠せない、あの『月』が負けるなど。
女は新聞を差し出して来た。
「これを見て」
見るとそこの一面には川での死体事件の事が大きく書かれていた。
「この死体を私見に言ったのよ、それを見て『月』の物だと直ぐに分かったわ」
「顔が無かったと書いてあるが?」
「体を見ればわかるわよ」
「切り口は不明と…」
「私達の専門の奴を持っていけば分かるかもしれないけど……失敗したわね、やっぱりあの時誰かに連絡しとけば良かった」
「ワシの責任じゃな、彼の方からはさっき連絡がきたが『月』についてはなにも言って無かったな」
「知らなかった事は無いと思うし…」
「もう一度聞くのは手だがあの方を煩わせたくない」
だがその返答の様に彼の方から連絡が入る。直ぐさま2人は跪く、話しを聞いて居るのだ。
「「……………」」
話が終わって2人が立ち上がる。
「代わりの者を入れるのか…」
「そして殺した者を即座に捕まえる様にですわ、早速探して見ますわ、『月』が最も得意だった事なのに」
「全員に連絡しよう、そ奴は恐るべき相手だと思って対処すべきだな、あとアルーラに出て来た奴も調べる必要があるな」
「私は『星』と行くわ、丁度近くにいるし、マルーラには誰を送るの?」
「こっちは『吊られた男』と行動しよう、アルーラにはワシらが行こうか」
「気を付けてね」
「そっちもな」
女が出て行くと、老人は部屋の片付けを始め、持てる荷物を持ち部屋から出て行った。
大阪には今夜にも台風が来そうですね、私はベランダの物干し竿とかを全て直しました、前の二の舞を踏みたく無いので、皆さんも気をつけてください。
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