Aランク冒険者
今日も冒険者ギルドに向かっている。
もうギルドに行きたくないくらい恥ずかしかったのに…仕事しないといけないしね…。
結局、シルヴィアとクズハの勝負とやらはクズハの勝利だったらしい。
何か賭けていたようで、シルヴィアは凄く悔しそうだった。
「はぁ、こいつに負けるなんて…」
「森のフィールドでクズハに狩で勝つのは難しいよ」
「けど私だって森に住む森林族のエルフよ!森の狩で負けたなんて凄く嫌だわ」
「そうカッカするな、主人に迷惑です。ちゃんと勝負する前に結果は決まっていると言ったはずです」
「それでもよ!舐められてるのがムカつくのよ」
2人が話すとすぐに喧嘩になる。ちゃんとあの時に協力して狩ってればよかったのになぁ。
「レベル差もあるし、シルヴィアが追いつけば勝てると思うよ」
「クズハって何レベなのよ」
「拙は200です」
「うぅ…高いわね」
「お前では追いつけない高みにいるですよ、無理もありません」
「こら、シルヴィアだってレベル200はいけるはずだよ。私だって今から頑張るんだから、2人を追い越すために」
「主人なら不可能を可能に変えることが出来ますが、凡人には…」
「私は不可能だって言いたいのかしら?」
「あなたは自分が凡人だと思ってたのですか、私の思った通りですね」
「やっぱり私が今、決着を付けてあげるわ。凡人らしく下克上してあげるわよ」
「もう!だから喧嘩しちゃダメだって言ってるでしょ!」
「すみません主人、お見苦しい姿を見せてしまって」
「ごめんねアンナ、けどこいつは一度締めといたほうがいいと思うわ」
「だから!やめてって!次に喧嘩してたら、私もう話さないから、………本気だよ」
威圧しながら言っておく。
それを聞いた瞬間、2人ともゾッとした様な顔になり喧嘩を辞めた。
「分かりました主人、今後はしません」
「分かったわ、もうしないから」
「良かった、これからは仲良くしてね」
ふふふ、計画通り。これで安心だね。
アンナは足取りを軽やかに歩いていく、その後ろ姿を見ている2人は戦慄を感じていた。
(さっきのは拙を本当にやろうとしていた気配だ………主人は転職して弱くなったと言っていたが、そんな事はなさそうだな)
(さっきのは………アンナの覇気はここまでだったのね、レベルが下がってこれなら前ならどうなってたのよ。ベヒモスはよくアンナと戦えたわ。敵ながらあっぱれよ)
そう思いながら2人ともアンナの後をついて行った。
アンナは歩きながら露店を見ていた。
「あっ、フランクフルトだ。こっちでもあるんだなぁ」
「どうしたお嬢ちゃん、買っていくか?一本150メルだ」
「じゃあ買っていくよ、3本ちょうだい」
そう言いながら450メル出す。
「まいど、おまけで1本ただで渡しとく」
私の手から300メルだけ取って、フランクフルトを3本渡してくれた。
「ありがと、おじちゃん」
「おう、また買いに来いよ」
手を振って離れていって、シルヴィアとクズハにフランクフルトを手渡す。
「はい、あげる。さっきはごめんね。私も怒りすぎたよ」
「滅相もございません!拙達が悪いんですから」
「そうよ、私達が悪いのよ。アンナはいいことをしたのよ」
やっぱり2人とも喧嘩してばっかりだけど優しいよね。
「ありがと、朝ごはんは食べたけど食べよう」
ソーセージはドイツとかで売ってそうな奴だ。食べると肉汁が出て来て美味しい!上のケチャップみたいな奴もケチャップそのものだし、マスタードも同じだ。ここまで再現してるとは………凄く美味しい。けどこっちの世界の名産物とかかもしれないな。逆に異世界から地球に来た食べ物もあるかもしれない。
おじちゃんに誰に作りかたを教えて貰ったのか聞けば良かった。
「明日にでも聞こうかな」
「どうしたの?」
「何でもないよ」
そんな事を考えながら歩いているとギルドに着いた。
なんかやたらと騒がしいな。
「何かあったのかな?」
「拙が調べてまいります」
「ありがと、クズハ」
クズハはギルドの中に入っていった。
待ってるか、と思っていたら後ろから声を掛けられた。
「お嬢ちゃん達ギルドの前で何してるんだ?」
「ローガンさんでしたよね」
クズハの模擬戦闘の話の時にいたBランクのおじさんだ。
「そうだ、なんだ?ギルドがやたら騒がしいな」
「うん、だから私達ここで待ってるの」
「待ってる?」
「主人、原因が分かりました」
クズハが戻ってきた、早いな。
「有名なAランクの冒険者が来ている様でこの騒ぎです」
「名前はなんて言うの?」
「レッドラインという名前です」
「レッドラインか、凄いのが来たな」
「知ってるのローガンさん」
「ああ、パーティー名は「赤の旅団」、王都ソリヤテルのスタンピードなどで活躍した凄腕パーティーだ。その時に前線で魔物の血を浴びて、レッドラインなんて言われている」
怖いな!けどどんな人達なんだろう。強いんだろうなぁ。
「あ…アンナ、癖が出てますよ」
「へ、癖?」
「アンナって戦闘狂よね?」
「それはな………くはないか」
ベヒモスは戦の時に楽しんでいたといえばそうだったなと。私って戦闘狂だったんだ。
「さて、俺はギルドに入るがお嬢ちゃん達はどうする?」
「行きますよ。仕事しないといけないね」
ローガンさんとギルドに入ると、騒ぎがこちらの方に向いて来た。
奥から槍を持った若い若い男性と顔以外の全身を白の鎧で包んだ赤い髪をした綺麗な女性が歩いて来た。
「煩くなって来たからいくわよ、ジョー」
「はいよ、ギルドに簡単に入らなくなってるから、早く終わらせたいんだがね」
それを見てアンナは奇妙な感覚にとらわれる。
あれ?あの女性何処かで見たことあるよな?どこでたっけ。
赤色の髪、綺麗な顔、あれ?あの人って。
「宿であった人だ」
「ん?」
その声に赤髪の女性が反応した。
あれ、何かしたかな?
「君は………部屋を間違えて入って来た黒猫の少女か」
あ、やっぱり覚えてますよね。確か騒がしくて寝れないとか………あれって私のせいじゃん!謝んなくちゃ!
「すみませんでした」
頭を90度曲げる勢いで下げる。
「そんなに謝んなくてもいいわよ。あの時だって謝ってたでしょ、ね、私はいいから」
「おいおい、こんな子供に顔を下げさせるなんてアリアはひどい奴だな」
「ジョーは黙ってて起きなさい、はっ倒すわよ。君、一緒にお茶でも飲みましょ、ほらどきなさいあんたら」
私は手をいきなり捕まれ、引っ張られていった。
シルヴィアとクズハはポカンとしたまま固まっていた。
「アンナが連れ去られた…」
「拙は後を追います。さらば」
クズハはすぐに消えた。
「そうよ、私も追わなきゃ。ちょっと邪魔よ!どきなさい!」
シルヴィアも冒険者達を掻き分けてアンナを追い始めた。
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今私は地下にあるバーの個室にいる。
目の前には連れてきた張本人、アリアさんがいて、その横にジョーさんがいる。ジョーさんはさっきからずっと笑っているが。
「もう、あんな所でそんな事で謝らないで、貴方みたいな可愛い子を無理やり謝らせてるなんていう誤解が出たら困るのよ」
「はっははは、笑った笑った、俺達の事は知ってると思うが「赤の旅団」だ、それで君はなんて言うんだ?」
「私はアンナです。さっき謝ったのは違う件なんです」
「違う件?何か私達に貴方がしたかしら?」
「俺は知らんぞ」
「えっと…その…」
誰の前でも言いにくいが、男性のジョーさんの前では言いにくい。
「俺は邪魔かな、バーのカウンターにいるわ」
「すみません」
「女同士で話しときな」
そう言ってジョーさんのは個室から出て行った。
「それでアンナは何かしたの?」
「そのーーー3日前の煩かったの私なんです、ごめんなさい」
再度私は頭を下げる。
「あー、あれは貴方だったのね。けどあそこは男性は入れないって事は………ジョーには言えなかったわね」
本当に恥ずかしい。茹で上がりそうだ。
「顔が真っ赤よ、そんなに恥ずかしいのになんでやってたの?」
「その、私の種族獣人じゃないですか」
「それは見たら分かるわよ……そう言う事ね。薬も無かったのね、けどあれは相手の事を好きにならないと起こらないわよね?」
ぐっ…やっぱり聞かれるよな。
「まぁアンナはその女の子の事が好きだったのよね。隣にいたエルフの子かしら」
「……ふぁい………」
もう色々と分かってらっしゃるよ、恥ずかしー。
「アンナは可愛いね。そんなに顔を赤くして、私も食べようかしら」
「へぇ?」
あれ?いつのまに横にいたの?すぐに動ける距離だけど。
「知ってる?猫は腰の所が敏感なのよ」
「そ、そうなんですか。知らなかったですけど」
その手は何ですか!そのワキワキした手は!
「大丈夫よ、私が実験したいだけだから」
「猫と猫の獣人とは違うと思いますよ」
「そのための実験よ、3日前の罪滅ぼしと思いなさい」
「違う形でお願いします」
「ダメよ、罪滅ぼしは相手の方に権利があるのだから」
過去の罪の行いを清算することだよね!ちょっと違うと思うよ!
ソファーの上を後ろに下がっていく、もう壁だよ!
「残念、もう逃げられない」
「ふ、ふぇぇえ!」
もうダメ、襲われちゃう!
目を瞑る、が何も起こらない。
恐る恐る目を開けるとそこには、アリアさんの上にクズハが乗って取り押さえていたのだ。
「主人にあのような侮蔑な態度で接するとは貴様は極刑に値する」
あ、マジギレ状態のクズハさんだ。これはマズイ、殺す前に止めないと。
「やめなさい、クズハ!アリアさんも悪いけど私も悪かったからやめて」
「分かりました主人よ」
クズハはすぐに退いてくれた。アリアさんは苦しそうだけど。
「次はないと知れ」
そう言いクズハは闇に消えて行った。クズハどこから見てたんだろう。
そう思っているとアリアさんが起き上がった。
「いてて、あの子強いね。クズハだって、いるの全く気づかなかったよ」
「私もいるなんて思ってませんでしたよ」
「はぁ、これじゃアンナにちょっかいかけれないじゃない」
アリアさんは頰を膨らませて、残念がってる。
「罪滅ぼしは違うことならしますよ」
「本当!じゃあ、私が持っている服を着て欲しいんだけど」
「えぇ…まぁ良いですよ。どんな服ですか」
「待ってね、今出すから」
アリアさんは自分のバックの中を探り始めた。
「何処だっけなーあった、これこれ♪」
アリアさんが自慢げに取り出したのは、アイドルが来そうなフリフリが沢山ついた服だ。
「これって……」
「可愛いでしょ、これを着て欲しいの」
「………すみません。これって何処で売ってました?」
私が欲しい答えを言ってくれるかな。
「これ?特注だから何処にも無いかも」
当たりだな。これが特注って言う設定にしているなら正解だな。
「もしかして、あなたは異世界人じゃないんですか?」
そうだこのアリアと言う人は、地球にあったゲーム、ASOプレイヤーだ。
新しい作品書き始めました
<a href="http://ncode.syosetu.com/n2712fa/">竜神は転生しVR世界で無双する</a>
一応この作品と繋がっています。アンナも出て来ますので。
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