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一昨日の夜に

〜シルヴィア視点〜


目が覚めた。

ここは私の部屋の様ね…。


「いっ…筋肉痛がひどいわね」


昨日の夜ずっとやってたんだもの、アンナと言うより、獣人の力は凄いわね。やり合ってたけど、私が疲れてもアンナはすぐに体力が回復するんだもの。しかもアンナ凄く上手かったし…。


「はぁ〜、ダメね。アンナには勝てないわ」


どう言う状態でも負けそうだわ。あの別荘でやってた事が夢みたい。


筋肉痛を我慢して起き上がる。

窓を見ると外は夜空が広がっていた。ふとベッドの方を見ると、ベッドの端にアンナがスヤスヤと眠っていた。

看病中に寝ちゃったのね。


「アンナ、私起きたわよ」


「ふぇあ?………おはようシルヴィア」


「おはよう、アンナ、涎が出てるわよ」


「!?、見ないで!」


ふふ、本当に可愛い。昨日の夜とは大違いね。

アンナは可愛いのが良いから昨日のはやめてほしいわね。


「…シルヴィア……」


「ん?どうしたの?」


「一昨日の夜の事覚えてる?」


「え?一昨日?」


「うん、シルヴィア丸一日寝てたんだよ」


丸一日………あれは一昨日の夜になるのか。


「一昨日の夜何かあったの?」


「覚えてない?私が何かしたと…思うんだけど…」


アンナは覚えてないのかな?それなら私も覚えてないことにしよう。


「覚えてないわ。筋肉痛が酷いから何かあったとは思うけど」


「うぅ…ごめんね。シルヴィア、体を見てみて」


体?筋肉痛だけど…。

胸元のボタンを外して見てみる。

これって………キスマークと言うものですよね?


「ごめん、私の種族、獣人は月に一度に、えっと……発情期ってあるらしいの。普通は薬なんかを飲んで抑えるんだけど、私知らなくて…」


やっぱり発情期だったのね。アンナが変貌してましたし。


「そ、それでね。発情する相手が、その………自分の今好きな相手なんだって……ごめんね、シルヴィア。私のこと軽蔑したよね、寝ていて無抵抗のシルヴィアを襲ったんだもん。気持ち悪いから出て行ってと言えば出て行くよ」


アンナ………別にそんな気にしなくても…。


「アンナ、私はあなたの事嫌いになったりしないわよ。それに…私の事好きになっちゃったのよね?私もあなたの事好きよ」


「え?その好きって…」


アンナの顔が目の色と同じくらい赤くなっていく。


「ふふ、相棒として好きよ。それより明日は冒険者ギルドに行くんじゃないの?」


「ふえ、そそ、そうだよ。明日は冒険者ギルドに行って仕事を受けるつもりだよ」


「じゃあ明日は朝早いじゃない。もう夜遅いし早く寝ないと」


「そ、そうだね。早く寝ないと…」


アンナは早歩きで、部屋の明かりを消してドアの方まで行った。


「おやすみ、シルヴィア。また明日」


「おやすみ、アンナ。また明日」


ドアが閉まり、足音が遠ざかっていく。

私は安心して独り言を呟く。


「ほんと、私ってヘタレ」


「そうですね」


「!?」


だれ!?

窓から伸びた影の中からクズハが出てきた。


「人の独り言を聞くなんて、あなた趣味悪いわよ」


「すみませんね。今の内にあなたの事を色々と知ろうと思ってたので」


「それで、私の部屋にいたと」


「色々と収穫はありましたよ。例えばあなたが主人の事を恋愛対象として見ている事ですね」


「!?」


「それにしても主人の事を好きになるとは、前途多難ですね」


「ど、どう言う意味よ」


「あなたは知りませんが、主人の家には弟子やら私の様な部下がいます。その中で主人の事を好き過ぎる奴が結構いましてね。主人に助けられた者が殆どですが」


アンナってお人好しすぎない。私も助けてくれたけど。


「けど今いないのなら意味がないじゃない」


居ないのなら私の独占勝ちだ。


「そうも言ってられませんよ。主人はこちらに家を移すつもりらしいですので、主人の召喚魔法のレベルが上がって行けば、自ずとこちらに来る事は目に見えてます」


それはマズイわね。私とアンナの2人っきりの世界に、クズハが入って来ただけでも嫌だったのに。


「それに、拙も主人の事は好きですよ。一昨日は主人からだったので見逃してましたが」


「見てたの!?それなら助けなさいよ!」


「?、何故主人の邪魔をしなくてはならないので?」


そうだった。アンナ忠誠心マックスだったわ。


「一種の暴漢だったでしょ!」


「主人のやる事は全て正義です」


「はぁ、もういいわ。もう終わった事だし。さっきあなた、アンナの事を好きって言わなかった?」


「主人の事は前から好きですよ。今は少し可愛らしくなってもっと好きですが」


「それは主従の関係よね?」


「さぁ」


え、まさかのライバル!?クズハの方がアンナの事を色々知ってそうだし。あーーーもう、さっき告っとけばよかった。ヘタレな私が嫌い…。


「では拙はもう行来ましょう」


「待って、あなたが私の部屋に居た本当の理由はなに?」


クズハは主人に嫌われる事はしないと思う。それなら私の事を監視してた事をさっきバラしてしまったら、私がアンナに言うかもしれない。そうなったらアンナは怒ると思うから、クズハは今さっき出て来る必要はないはずだ。


「………分かっていましたか、拙は主人にあなたの警護を任されましてね」


「なんで警護?」


私、誰かに襲われる事なんてないと思うんだけど。


「主人に獣人の事を教えたのは拙です。それを聞いて主人は、あなたに今後襲いかかってしまう前に私に止めて欲しいと仰いまして」


「警護ってアンナからの警護なのね…」


自分が襲う相手に、警護を自分で付けるなんて初めて聞いたわ。


「はぁ、アンナは心配性なのね」


「そういう事です。まああなたは襲われてもいい感じだから私は警護から外れる事にしました」


「襲われるのはいいけど、あれは嫌ね」


「そこも受け入れるのがあの人にふさわしい方ですよ。わたしはもう行きます」


「あっ」


もうクズハはその場に居なかった。


「彼女も彼女で優しいのかしら」


私はベッドに倒れ込むと瞼が自然に落ちていき、そのまま夢の中に入っていった。


--------------------------------------------------------------------


〜アンナ視点〜


シルヴィアの部屋を出て1分後、私は部屋のベッドの上で包まっている。


「うぅ…恥ずかしい…シルヴィアも少し呆れてたかも」


あんな事をしたのだ、シルヴィアは怒ってもいいぐらいだ。けどシルヴィアは怒らず私を許してくれた。


「けど流石に、こんな事した相手は恋愛対象として見てくれなかったか…しかも私、女の子だし」


発情して好きになったとか、相手にしたら嫌だもんね。私だって少し引くと思うし…。


「シルヴィアなら襲われても良いかも」


もう襲われてるみたいな事はなってるし。


「明日は朝早いし早く寝よう」


ベッドに横になって瞼を閉じるといつのまにか私は寝ていた。


--------------------------------------------------------------------


???


薄暗い部屋の中で1人ブツブツと言っている老人がいる。それに近づいていく男性が声を掛けた。


「ぬぅ……あれをこうして、こうしたらあっちに行くか」


「よう、そっちはどうだ?順調に進んでいるか?」


「なんだ『月』か…こっちは今止まっていてな。マールの町を破壊出来て順調だと思っていたら、そこで魔物たちが止まりよっての」


「あ?なんだ、死体でも食ってるのか?」


「そうじゃよ、無くなったら誘導出来るから、まぁ少し時間が遅れるだけだ。それより『戦車』をやった奴は見つかったか?」


「まずどこで死んでんだか分からねぇんだから探しようが無いだろ」


「そこはお主の能力だろ。見つける事に関してはお主が1番だ」


「確か異空間に封印されてるんだろ?俺には無理だな。流石女神様だ」


「あら『月』でも無理だったのね」


そこに顔を隠した女性が出てきた。


「なんだ『恋人』?お前なら見つけてくれるか?」


「出来るわけ無いでしょ、見つかりさえすれば『星』がやってくれるのにねぇ」


「仕方あるまい、『皇帝』でも出すか…」


「やめとけあれだけで、どれだけ人が死ぬんだよ」


「そうね、国がすぐに滅ぶわよ、っ……またやられたわ」


「ん?お前が誰にやられたんだ?」


「分からないわ。最近やられてるから同一人物に殺されてるとは思うけど」


「狙ってか…俺らの事を知っている奴か…」


「それかもしれぬな『戦車』を殺したのは」


「ほう、じゃあ見つけてこようかな。見た目はどんなんだ?」


「分からないわ。後ろから一瞬よ」


「お前で一瞬か、当たりかもな。じゃあ俺はあってくるわ」


そのまま男性は出て行った。


「『隠者』はあの計画通りにしてるの?」


「今やっとるわ。次に襲う所はアルーラだ」


「あそこね。綺麗な町だから勿体無いわね」


「仕方あるまい、あの方の命令通りだ」


「ふぅーん、…『月』だけでは心配ね、『太陽』も呼んでおけば良かったかしら」


「あれを戦闘させてみろ、『皇帝』となんら変わらん結果になるわ。『月』もなかなかやる、殺されはしないだろう」


「それもそっか、私ももう行くわ」


「お主自身も気をつける事だな」


「ご忠告ありがとう」


女性が出て行くとまた老人はブツブツと独り言を始めた。





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