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偽りの正体



「秘剣「八岐大蛇」」


アンナの雰囲気が変わった瞬間、カストリアはこの技がかなりマズイと再確認しすぐに後退しようとするが、アンナは一瞬でカストリアの目の前まで移動して、一瞬でカストリアが袈裟斬りされる。


「がふっ!」


攻撃された一瞬目に捉える事が出来て分かったのはアンナの刀が8つに増えた事、それ以外は圧倒的な速さで斬られ何も理解出来ずに斬り伏せられ、体が消滅して場外に飛んだ。


そして実況のザックが目の前の衝撃の結果に唾を飲み込みながら声を上げる。


『今まで無敗を維持してきた我らが王、カストリア様が何と今日、だった今目の前で記録を断たれ敗北した!

そしてカストリア様を倒したのが今大会初参加の冒険者、「赤眼の黒猫姫」アンナだ!』


ザックの意味と目の前の光景を飲み込み、観客は悲鳴と驚きの声を上げて闘技場が歓声で溢れ返る。

そして同じくその放送で勝利を確信したアンナも笑みがこぼれる。


「はぁはぁ…ふぅ………私の勝ちだ……」


1ヶ月特訓したアンナでもこの武技を使うと少し疲れて息が上がっていて、息を整え振り下ろした剣を背中の鞘に納め、ステージ外に飛んだカストリアのもとに向かう。


確か退場したら端の部屋のベッドに移動するんだっけ。

そう思い通路に入り目的の部屋に向かうと部屋の前に以前白で見た鎧をつけた兵士達が囲んでいた。

少し厳重すぎだと思いながら近づいて行くと、近づいて来るのに気付いた兵士が手を上げて制する。


「すまない。こちらには立ち入り禁止になっている」


「え、私ちょっと王様と話したい事あるんだけど?」


「王は今先程の試合でお疲れでな、その件は後でお願いしたい」


「それは困る。私はすぐに会いたい人が居るんだ、それに疲れたなんて事はあの闘技場ではないだしょ?」


「それでもダメなんだ、諦めてくれ。王には連絡するので後日連絡が来るのを待ってくれ」


そこまで頑なに入れようとしない兵士に少し妙に思う。何か見せてはいけない物を隠したがってる。

そう思うとやはり人間のサガなのか無性に部屋の中に入りたくなって来る。


アンナは少しニヤリと笑うと兵士との距離を詰めて行く。


「おい、止まれここから先は行けないと先程から言っているだろ。止まらなければ実力行使するぞ」


兵士が忠告するがアンナは話を聞かずに進んで行く。


「仕方ない。王に勝った相手だ、5人で行くぞ」


その声に周りの4人も反応し先が丸くなっている槍をアンナにに構えるが、アンナは武器を出さずに進んで行く。


「ちっ、舐めやがって」


1人の兵士が突っ込み槍を突き出す。

だが当たる直前にアンナはしゃがんで避け、がら空きの腹に掌底を打ち込み、兵士を気絶させる。

そして崩れた兵士の鎧を掴み、そのまま目の前に突っ込む。


「なっ!?」


思いもしない行動に驚き固まってしまい、アンナの突撃をもろに受け3人が吹き飛ぶ。


「邪魔邪魔!!!」


そのまま他の兵士も吹き飛ばそうとするが、その後ろにいた兵士3人で捕まえられ止められる。

それを予測していたアンナは押していた兵士を掴まれた瞬間に後ろに引いて、それに釣られて前に倒れこむ3人の兵士を踏み台にして飛び越える。


だが、それを予測されていたのか後ろで更に3人が槍を構えて、アンナが出てきた瞬間に3人同時に槍を突き出す。


アンナはワザと正面から来る槍を左手で受けて、槍の上に乗るように力を逃して回転して右手で兵士の首に手を打ち付け横に倒れさせ、驚いている両隣の兵士の間を通り過ぎる。


そしてそのまま目の前の部屋のドアノブに手をかけドアを引いて中に入り、後ろで追いかけて来た兵士を見て少しの笑みを浮かべながらドアに鍵を閉める。


振り返りベッドがある方に向く。目的の人物がいると思っていたが目に映ったのは全く違った人物達だった。


そこには軍隊長のトルコと見たことのない金髪の獣人のメイドがベッドの横で座っていてる。

そしてベッドにはカストリアのようなごつい人物は居らず、華奢な体で同じ金色の髪をした獣人の美少女が驚きの形相でこちらを見て、


「きゃーーーー!!!!!!」


部屋全体に響き渡る程の悲鳴を上げて布団の中に潜り込んだ。


え?私何かした!?

困惑中のアンナは更に困惑させられ、何を言えばいいのか分からずあたふたとしてしまい、その慌てようを見ていたメイドとコルトは顔を合わせて笑い始める。


「ふははは、おいカストリアに勝った嬢ちゃんが慌ててるぞ」


「まぁ、初見なら仕方ないとは言えカストリアも隠れる事はないでしょ。ほら出てきな」


「嫌!な、何でアンナがここにいるのよ!外にいる兵士達は何やってんのよ!」


メイドが布団を叩いて出て来るように言うが更に布団はくるまって出て来ようとせず大声でキレている。


この会話を聞き少しずつ理解してきたアンナはその少女の正体に辿り着く。


「えっと、まさかですけど………カストリア王?」


「「正解!」」


メイドとコルトはキリッとした顔付きで同時にこちらを向いて返事をすると、布団から瞬時に顔が真っ赤の状態で出て来たカストリアが、


「言うなぁぁぁぁぁああああ!!!!クソ兄貴共が!!!!」


大声で叫びコルトに殴りかかるカストリアを見てアンナは微笑ましいく眺めておくのがいいのか止めるべきなのか少し戸惑いながら考えるのだった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



一方その頃、雲に届く程の高さを誇る岩が切り立った墓標山の山頂付近に1人の獣人の女性がフードを脱いで石に座って麓を眺めていた。


「ここも昔と違って栄えて来たなぁ……闘技場やら城なんかも立派になってねぇ……今から焼き払われると思うと悲しくなるな。まぁ、やるの私なんだけど」


「おい、やるにしても器は殺すなよ。彼の方の命令だ」


背後に全身黒尽くめの女性がいつの間か立っていた。


「それぐらい分かってるに決まってるだろ。それとも私が知らないとでも思ったのか?」


「それならいい。貴女は一振りでこの町くらいなら全壊することは余裕だからな」


「まぁ、やるつもりだけどね。あんたが龍城島の事を探すとは聞いてるけど他にご注文は?」


「あと1つ頼まれ事で獣王を生け捕りと、器に接触させる代わりに周りの奴を全滅させると約束してきた奴がいた。合図は貴女が攻撃した時にした」


「おい、勝手に器に近づけていいのか?彼の方の許可は?」


「無論取ってある。最悪は殺せと命じられている。一度は狙った事があるから二度目はしくじらん」


「それなら何をしてもいいけが巻き込まれたら知らんぞ」


「まぁ、それは相手側に問題がある。気にせずやればいいだろう」


「ふーん……それじゃああとはこいつか」


「あとはこいつが目覚めるだけ」


2人は真下の岩山の地面を見る。

ベヒモス、リヴァイアタンと並ぶ魔獣の一体、天空の支配者ジズが眠るこの山を。




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