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鏡花水月



辺り一面白い霧だがスイゲツはアンナの位置が分かるため一直線に向かって走って行きアンナを見つける。


「やっぱり水分身10体じゃアンナの相手は荷が重いか」


到着して今まさに目の前で自身の水分身の首が飛ぶのを目撃しスイゲツは少し落ち込み、アンナの腕が落ちてないのに歓喜する。

それに目がルビーのように赤い目が片目だけ金色に変わっていて、さっき会った時は少し不安になった。


スイゲツは「色欲」の能力、他人の目を直接見て睡眠させる効果をステータスを見て理解はしている為、自身には効かないが「混沌」で一番に視覚を奪い、二次事件が起こらないようにしたのだ。

そして「色欲」は眼を見ている時間が長ければ長いほど強力な睡眠が出来る。その為アンナはかなり長い時間見られているのがスイゲツは見て分かり、スイゲツを倒しても解けておらず解除するのがかなり困難だと考える。


更にアンナは完全に臨戦態勢、近づく事が全く出来ない。今「鏡花水月」を使っていてもアンナは弱点を知っているので、今のスイゲツでも近づけば即座に体のどこかの部位が斬り飛ぶのは目に見えている。

アンナに不意打ちは絶対無理だから説得しチャンスを得るしかない、そう考えるとスイゲツは剣を降ろしアンナをスキルを見ながら話しかける。


「ねぇ、アンナ。我の事分かるよな?」


「スイゲツでしょ、何でそんな事聞くのよ」


アンナが笑顔で普通に返してきた事にスイゲツは驚く。


「い、いや、それなら敵対するのはおかしくないか?我らは仲間だろう?」


「………何言ってるのよ、そんなの当たり前でしょ。ほら、こっち来て」


アンナが手を広げて呼ぶが私には近づけなかった。何故かさっきの言葉に詰まりがあったので、思い切ってワザと逆の事を聞いてみる。


「ねぇ、その当たり前って敵対してる事だよな?」


アンナは手を広げたままきょとんとしてスイゲツを見て、


「……………何を言ってるの……………クロワの敵に回ったからスイゲツだろうと当たり前でしょ」


アンナの声のトーンが下がり周りの温度が一気に変わる。アンナの殺気、スイゲツは直接向けられたのはあまりなかったがここまで強いのは初めてだった。

スイゲツが軽く身震いがした直後、アンナはその場から消えスイゲツの背後に回り剣を振り下ろす。


それをスイゲツは振り返り寸前で剣で防いだが全身に衝撃が走し、地面に叩きつけられる。受け身で地面に衝撃を逃すが体が軽く麻痺していて力が上手く入らない。

手を地面につき起きがあろうとするが、それをアンナが許す訳がない。


「居合三ノ型「乱角線」」


背後からまたも来るアンナの攻撃にスイゲツは「鏡花水月」で幻を生み出し横に逃れ、霧に隠れる。そして幻のスイゲツとその場が一瞬で細切れになる。


スイゲツは起き上がるとアンナの持っている剣を見て驚く。「鏡花水月」の中で私に攻撃を当てるには、私が使えない魔法、雷属性の武器か雷魔法での攻撃しかない。

だが、今アンナが持っているのは一番見慣れた「春光」であり、雷属性は付いていないし、見た限り自身で雷魔法を付与させているわけでも無いのだ。

私に当てる事すら不可能な筈なのに何故攻撃が当てれるのか。スイゲツは考えようとするが、その時間さえアンナは与えない。


アンナは斬ったのがダミーだと気付いた瞬間、気配を探り隠れていたスイゲツを一瞬で見つける。

その瞬間にスイゲツは剣を構えると、後ろに吹き飛ばされ、途中で霧になってアンナの背後に回りまずは視界を奪う事にしようと剣を振り下ろす。


しかし、アンナは後ろを見ずに体を横に逸らしてかわしスイゲツの頭を掴むと地面に叩き込む。


「ぐぶっ!………」


アンナは頭を掴んだまま持ち上げる。

スイゲツは鼻や口から血が流れて、力が抜けて剣が手から滑り落ち地面に刺さる。

スイゲツはもう反撃出来ない状態だが、アンナは完全に息の根を止める為に再度躊躇なく地面に叩き続け、スイゲツの声が消え、抵抗するのも無くなっていき、最終的に心拍音が消える。

そしてアンナはスイゲツをその場に無残に放り捨てこの場から去ろうとする。


「そうかそうか、「乖離眼」を使っているのか。なかなかに強力な眼を手に入れたなアンナ」


その声にアンナの足が止まり、振り返るとそこにスイゲツが真剣な表情でアンナを見ていた。


「本来は我はさっきのようになっていたのだろうな。それにしても一撃目は驚いたが「鏡花水月」の効果を忘れたのか?」


「………この霧は封鎖空間で、この中でスイゲツ自身に起きた事を全てダミーに塗り替える事、幻にすることが出来る。そして自身は雷に弱く、抜け出すには魔力を周りの霧に混ぜながら斬り歩けば抜けれる」


「そうそう、ちゃんと覚えているじゃないか………だけど少し足りないな。まぁ、それを教えるつもりはないから、ちゃんと見極めるんだな」


「…………次で殺す」


「………「乖離眼」の能力はもう分かっている。我と幻を乖離、事象を切り離し攻撃を当てれるようにしたんだろう?だが、我には2度も通じんぞ」


「………関係ない」


アンナが剣を構え突っ込んで来る。スイゲツも真正面から剣で受け止め、アンナが更に力を込めた瞬間に横に逸らし前のめりにさせ、体を斬り視覚を奪おうとする。


「それをさせるとでも?」


聞いたことのある声と共に真下の石畳の間から鋭い黒い物が突き出て、スイゲツの剣が弾き返され、スイゲツはすぐさまその場から離れる。

そこから黒い液体が湧き出て黒いスライム、クロワが現れアンナの肩に登る。


「………クロワ少し遅かった」


「いや、流石に元の姿に戻れないくらい半殺しにされて目が見えてないんだから少々遅れても仕方ないでしょ………脱出するよ」


「………分かった。「雷装」アンナ流居合一ノ型「紫電一閃」」


「くそ!やらせるか!」


アンナが目を閉じ腰の位置に剣を構え、周りに魔力が帯びていく。

スイゲツはあの構えが最速、最長、最強の居合であり、「鏡花水月」を破ることが出来るのを知っている。


スイゲツが急いで近づいて阻止しようとするがアンナが目を開け剣に手をかける方が早かった。


一閃、稲妻が走り霧が、空気が、空間が真横に断ち切られる。

そしてその攻撃はスイゲツをも切り裂く。


そのタイミングで神速の速さでアンナが横を通り過ぎ、「鏡花水月」が解除してしまう。

辺り一面の霧が晴れて行く。それをスイゲツは体が半分になった状態で地面に倒れ、悔しさを堪えながら青空を見上げたのだった。



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