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スイゲツVSクロワ




「ふふ、我は対人戦闘の方が好みでな「呑雲吐霧」」


スイゲツの魔力が膨れ上がっていく。それに警戒しクロワは剣を引き抜き一気にスイゲツに迫るが剣で受け止められ、少し離れ剣戟が始まる。

クロワは食らってきた人の剣の技術があり、アンナには届かないがかなり剣術が上がっているが、クロワの攻撃に対応するスイゲツもまた剣術がかなり高い。

その為どちらも剣が当たらず押し引きを繰り返している。


「もう少し力を込めて打たないと我は倒せんぞ」


「…………それは私がやる必要はない」


クロワがニヤリと笑うと、スイゲツが気付かなぬうちに背後にアンナが既に移動して居合の状態に入っている。


「アンナ流居合五ノ型「みなも」」


スイゲツは危険を感じ一瞬早くジャンプし、アンナの攻撃をかわすが目の前にいるクロワの剣を受け吹き飛ばされる。だが、スイゲツは一回転して地面に着地し涼しい顔でクロワ達を見る。


その表情を見て危機感を感じたクロワは一気に距離を詰めるが時既に遅し、スイゲツの周りから掻き集めた魔力での魔法が発動する。


「燦然と輝き、全ての事象は儚い幻の如く「鏡花水月」」


スイゲツから霧が発生し、視界全てを白い霧で覆われる。クロワは後ろにいるアンナと合流しようと周りを警戒しながら走って戻る。


(全面白だから今何処に居るのかすら分からない。さっさとアンナと合流して何処か霧が無いところまで退くか)


そう思いながら走るがすぐにおかしいことに気付く。さっきの場所からアンナが居た場所まではそこまで遠くはないが、さっきまで走った距離は明らかに長い距離を走っている。

クロワは走るのは拉致があかない考え、上にジャンプし霧の中から出ようとするが軽く5mはジャンプするが霧から抜けない。


(ちっ、術中か。逃れるには………霧でも晴らすか。「四臂乱舞」)


地面に着地すると剣を5本抜き出し、新しく腕の付け根から両側に2本づつ生えそれぞれ剣を持ち振り回し霧を晴らそうとするが一向に晴れる気配がしない。

が、そこに誰かが来る気配を感じ、クロワはすぐにそちらを向くと、スイゲツがこちらに歩いてきているのが霧の中でうっすら分かる。


「無謀な事をしてご苦労様だ、クロワ。話があって来たぞ」


「………話?そんな事どうでもいい、死ね」


クロワは睨み殺気をぶつけるが、スイゲツは涼しい顔でクロワに近づいて行く。


「我を殺すなんて無謀だ。それにアンナに会うのはもっと後でだ………そうだな、まずは…」


クロワは近づいて来たスイゲツを3本の剣で縦に切り裂くが、体が霧のように霧散し消えてしまう。


「おいおい、お主は話が聞けないのか?無謀だと言っただろう」


背後から声が聞こえ振り向くと少し離れた場所からスイゲツが霧の中から現れ、クロワは話を聞かないと先には進まないと考え剣を降ろす。


「さてと、まずはクロワ、お主の身に起きた事でも教えてくれないかな?」


スイゲツは2m程の距離を開けて立ち止まり、クロワに説明を促す。


「………言う理由がないわ」


「あるだろ?これでも仲間だ。教えてくれてもいいだろ?」


「貴女だってアンナに本当の喋り方隠してるでしょ」


「そ、それは別だ………ゴホン、それよりお主が何故人間を食べたのを聞いている」


クロワはスイゲツの発言に驚く。今まで誰にも言っていない事だ、知られるなんて考えてもいなかった。


「言いにくいならスキル「色欲」から聞こうか?」


「………何で貴女が知ってるのよ」


「まぁ、我は色々と見えてしまうからね。その程度の隠蔽は無駄だ」


「なら、説明しなくてもいいわよね?」


「流石の我でも取得した経緯は分からんからな………教えてくれんか?我は無理矢理は少し嫌だからな」


「無理矢理って今してるでしょ」


クロワは周りを見て小馬鹿にして少し笑うが、スイゲツは真剣な表情でクロワを見る。


「…………死にかけたからよ。その場にある食い物がそれ、人間の死体しかなかったのよ………仕方ないでしょ?あと、その場で勝手に「色欲」は手に入ったわ」


「仕方ないか…………今まで何人食らった?見た限りかなり多そうだが…」


「まぁ、そこら中死体だらけだったから軽く100は食べたと思うわ」


「100………読み違えていたか。もっと食らってるものかと思っていた」


スイゲツの眼力にクロワはゾクリとする。全てを見透かされたような感覚、嘘を見抜かれた感覚だ。


「………貴女どこまで見えてるの」


「なーに、私の目は慧眼なだけさ………それで本当は何人だ?」


「………さぁ?今まで食べた数なんて覚えてないわ。貴女だって食事した回数なんて覚えてないでしょ」


「いや、そんな事ないぞ。我はアンナと食事した回数1421回だからな。流石我よ、記憶力だけはいい」


スイゲツは自慢げに頷きながら言い、クロワは少しその顔を見て苛つく。

がだが、すぐにスイゲツはクロワを睨みつけ言う。


「お主、人間は美味かったか?」


「………別に普通だよ。私は単純に力を、美を求めて食べただけだし………味を知りたいなら貴女が食べればいいわ。それとももう食べたことある?」


クロワは少しスイゲツを揶揄うとスイゲツの動いてなかった体がピクリと動く。


「…………………………………あぁ、とても不味かったよ」


「………だからか、私が人を食べた事あるかって分かったのは自分が食べたからか………で、なんで食べたの?私に聞いたんだから教えてくれるよね?」


クロワは弱みだと考え話し始めると、明らかにスイゲツの表情が目を下に向け悲しい顔になる。


「………我の知り合いだ。だが、断じてお主と同じではない」


「まるで私が悪者扱いじゃないか。私が食べてるのは全部死体だよ」


「そうだろうな………誰でも殺せば全て死体になるからな」


「………これで話終わったからアンナと会わせてくれるわよね?」


「お主のような欲望を満たすだけの人食いを世に出すと思うか?アンナの為でもある、我がお主の息の根を止めてやろう!」


スイゲツから圧倒的な怒気と殺気が飛んで来る。クロワは流石に不味いと考え、分列体を4体作り出しスイゲツに向かわせる。


「数で有利を取るか!この「鏡花水月」の中では私に攻撃は無駄だ!」


スイゲツの言う通り、剣を振りスイゲツに当てるが全てすり抜け攻撃が当たらない。


「なら体が霧になるならこうすればいい」


しかしクロワも考えがあり、スイゲツを4人が囲うと体がドロリと溶け、4人分全てが合体してスイゲツを球体に閉じ込める。

霧になって攻撃を避けようが閉じ込めて圧縮すれば攻撃は通じるはずだ。

そう言い球体を中身を吸収しながら圧縮し一瞬で手の平のサイズまで小さく自身の体に取り込む。


「ご馳走さま、妖精は初めて食べたけど無味無臭なんだね」


クロワはお腹をさすりながら、アンナが何処にいるか探そうと思うが違和感に気付く。この一面に広がる白い霧が一向に晴れないのだ。

まさかと思い警戒するが少し遅く型に強い衝撃が入る。


「がはぁ!」


肩が斬られた。それだけだがクロワにとっては途轍もなく衝撃だった。自身の硬さはアンナも認めてくれ誇りであったが、今その硬さが効かず斬られたのだ。

クロワは肩を抑えて倒れ込み、背後から無傷のスイゲツが歩いて来る。


「残念だ、我に攻撃は無謀だと言っただろうに」


「なんで………私に攻撃が……」


「ん?説明が必要か?だがな、今から死ぬ相手に説明は不要だ」


クロワはすぐに傷を癒し立ち上がって逃げようとするが、すぐにこけてしまい地面に倒れてしまう。またすぐに立ち上がろうとするが地面が何処にあるのか分からない。

何故ならクロワはさっきまで白い霧で見えなかったが今は何故か真っ暗になり何も見えなくなっているのだ。


「さっき我がお主の視覚を「混沌」で奪ったから何も見えんだろう?だから、早く楽になれ」


「混沌」の能力は視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の全ての五感を斬るごとに一つずつ封じることが出来る剣である。しかし、代償に一回で大量の魔力を消費するので、使うなら初めに一回使えたらいい程度の使いづらい剣である。だが、スイゲツは「呑雲吐霧」でそこら辺の大気から魔力を取り込んだので数回はこれを使えるのだ。


そして倒れたクロワに後ろから近づいたスイゲツは首元に剣を突き付ける。しかし、絶体絶命のクロワはニタリと笑う。


「私はスライムだ。だから、視覚情報が無くても他の感覚器官があるんだよ、ね!」


手で触れて地面を感じ、石畳の間に自身の液状化したのを流し、スイゲツの真下から槍状にして無数に突き刺す。

だが、全てスイゲツの体をすり抜け、スイゲツには傷一つ付かない。


「まだ抵抗するか………出来れば今度は元のクロワで会いたいよ。さようなら」


そう言いスイゲツはクロワの首を水を斬るように簡単に断ち切り、クロワは地面に崩れ落ちる。それを悲しそうな目でスイゲツは見つめる。


「残念だ、クロワと初めて会った時は仲良くなれると思ったけど………いや、もう終わった事だ。それよりアンナだな、早く行かないと「鏡花水月」を破るかもしれない。急ぐか」


スイゲツは剣を振り付いた液体を振り飛ばすとアンナの元に走って行ったのだった。




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