遭遇
寂れた町を出て都市アルテシアに進む。
ちなみに、寂れた町の名前はエターニャと言うらしい。
モンスターが出ると言ってもこのあたりのモンスターにそこまで強力なのはいないらしい。そして素材食材向きのモンスターが多い。
ふと現れたのはニードルラビット。
角は加工して武器に、皮は剥いで衣料に、肉も食べれるという、狩猟に人気のあるモンスター。
繁殖力が高く集団で襲って来ることがしばしばあるらしい。
攻撃力が高い上に集団で襲って来るので、このあたりではソロ難易度が高いとレーニャから聞いていた。
「めんどくさい…」
狂戦士スキルを発動し、ちぎっては首をへし折った。
…まではいいが、そういえば皮の剥ぎ方とかわからんということに気がついた。
道中手ぶらは危険ということで武器として短剣は貰ったが、モンスターを倒すのに使ってないその短剣でとりあえず首を落として逆さに吊るしておく。
要は血抜きである。
血抜きが済んだら、とりあえず腰にくくり付けて移動を再開した。
狂戦士スキル発動の代償として興奮状態が残っているが、人と会うことがなくて安心。
…と思ったら、冒険者らしき若い女性のパーティーと遭遇した。
腰にぶら下げてるニードルラビットの死体を見て話かけてきた。
「あなたどこの冒険者かしら?」
「…まだ、冒険者じゃないな。」
「へぇー。ところで、ニードルラビットはあなた一人で?」
「そうだが。」
「血抜きは済んでるみたいだけどその後の処理はしないの?」
「要領がわからないから、そのまま持って行って買い取って貰えないかと。」
「…ふーん。じゃあ、取引しない?」
「…何が目的だ?」
「ニードルラビットの皮と角が欲しいのよね。
だから、剥ぎ方と引き換えに譲ってもらえないかしら?」
ここは、後々役に立つこととあるだろうし甘んじて受け入れよう。
「わかった、剥ぎ方を教えてもらえるならニードルラビットの素材は全部譲ろう。」
「え?やったー!」
リーダーの名前はニルファ、お供のうち気位の高そうなのが話しをやり取りした女性でセーレ、最後の陽気な女性がコーネリア。
種族は3人共に人間。剥ぎ方を教わり、肉は調理してもらって食事となった。
コーネリアが、兎肉を好物としてるらしい。
ニードルラビットの皮収集と角収集の依頼をきっちり受けていて、コーネリアが肉を食べたいついでの依頼受託ということだった。
食事中の話しの流れで目的地アルテシア所属の冒険者ということがわかったが、収集にはまだ数が足りないということでお別れになった。
気構えて押さえてた狂気はそこそこに楽しい会話をしている間に収まっていた。