竜神の花嫁
世界から憎まれる王族の娘と彼女を護る男の話。
さっと書いたので文章が繋がっていないかもしれません。
幼い私には夢があった――
優しい王子様がいつか迎えに来てくれて
笑いかけてくれる
その人の隣で幸せを感じているという夢。
――でも、そんなことあるわけなくて。
私の名はミディアといいます。
祖国を追われ、憎まれる私には起こり得ない幻で。
それはずっと昔、私の国の王が世界を滅ぼそうとしたことにより
その国の王族は他国からも自国からも憎まれ命を狙われるのです。
桃色の髪に深紅の瞳。私の容姿はその王と同じ色なので、
見つかればおそらく命は無いと思います。
しかし、ある街を1人で歩いていたとき捕まってしまった。
そして処刑台に連れていかれた。
処刑されそうになった時、真っ先にウィルの顔が浮かんだ。
「竜神の花嫁を護るのは俺の役目だ」
そう言っていつも助けてくれた彼の姿。
ずっと護ってくれた彼に惹かれていた。
素直になれない私を見捨てたりなんてしなかった。
素直になれず一人で泣いていた夜も「強情な姫だ」と言って静かに抱きしめてくれた。
「我が姫に何をする!」
そう叫んで処刑台へ駆けつけた彼は、どこか普段とは違う雰囲気だった。
「トゥディア、ガイアやれ。我が花嫁を傷つけたこと後悔させてやる」
恐ろしいまでの怒気を纏ったウィルが静かに言うと、
空には2頭の竜が現れ、こちらを見つめていた。
『ええー。こいつらフォル兄ちゃん怒らせたの?』
『フォル兄自ら手を出さないだけ、まだ理性残ってたんだね』
上空にいる2頭の竜はこちらを見ながら話していた。
どうやら彼らを呼んだのは怒気を纏ったウィルで、
彼のことを竜たちは”フォル兄”と呼んだ。
竜たちが”フォル兄”と呼ぶ存在に心当たりがあった。
彼らを従え、竜の加護を与えられた人たちを導く竜の神フォルヴィルト。
そしてミディアを花嫁として受け入れる竜神でもある。
(う、そ……ウィルがフォルヴィルト様?)
ウィルは自分について何も話さなかった。
”ウィル”は真名ではないのは知っていたが……竜神だったなんて。
ウィル――フォルヴィルトはミディアを傷つけた者達を脅した後、
ミディアを助け出しその町から出た。
「……あなたがフォルヴィルト様だったの?」
「ああ。私がフォルヴィルトだ。……黙っていてすまない。」
彼は否定しなかった。彼は嘘をつかないから本当のことなのだろう。
ウィルというのは真名を名乗れない彼の、名乗れる唯一の本当だったのだろう。
彼は本来の姿になっていた。
普段より長い緑色の髪、爬虫類を思わせる縦に裂けた瞳孔、
知性のある深い青色の瞳、竜のヒレのような耳。
「愛している。ミディア姫」
「フォルヴィルト様……」
優しくミディアを見つめる深い青の瞳は熱を持っていた。
鋭い爪で傷つけないよう気を付けながらミディアの頬に手を添える。
「私も……お慕いしています」
ミディアは真っ赤になった顔を隠すように目をそらすが、
名を呼ばれ彼を見ると、愛しい者を見るような優しい目でミディアを見つめていた。
世界に嫌われた王族の娘だから
王子様が迎えに来てくれるなんてことありえない。そう思っていた。
―――だけど、奇跡が起きた。
「愛している。私の花嫁」
目の前で微笑みを浮かべ手を差し出している大好きな人。
王子様ではないけれど、
王子様よりもかっこよくて優しい竜神様の花嫁になりました。
恋愛もの難しい。
もしかしたら書き直すかもしれないです。