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死んだ私はヒトでなし  作者: 時雨山
第一部:出会い編
1/11

プロローグ:この日から

初投稿です。楽しんで頂ければ幸いです。

部屋には重苦しい空気が立ち込めていた。何人かの人達が部屋の中央にあるベットを囲む様にしている。


ある人は悔しそうに涙をはらはらと流し、ある人は叫び泣き崩れ、ある人は呆然と立ち尽くし、ある人は目を瞑り微動だにせず、ある人は怒りを抑えきれず歯軋りをする。各々違った行動をしているが皆一様に悲しみを抑えきれ無かった為の行動だ。


ベットには目を閉じた女性が静かに眠っていた。

大人に成りかけているがまだ何処があどけなさが残る線の細い可愛らしい顔、金糸の様な嫋やかな長い金色の髪。

新雪を思わせる透き通るような白い肌。

今は閉じられているがその瞳は良く晴れた日の青空の色に似ていた。


だがもうその瞳が開く事はない。


ベットの横に医師だと思われる老年の男性がベットを囲む人達に力なく首を横に振る。

とても悔しそうに自分の力の無さに怒りを滲ませて何度もすみませんと周りに頭を下げていた。


謝り続ける彼の肩を赤い髪を後ろに撫でつけた体格の良い男が前から優しく掴む。

男は首を横に振り一言ありがとうと感謝の言葉を言った。


医師はその言葉を聞いて更にすまなそうな顔をしてから再度部屋にいる人達に謝罪をしてから部屋を出て行った。


男は部屋を出て行った医師を見送ると静かに部屋の中央に戻る。

そして悲しみにくれる彼らに皆休もうと声をかける。

誰一人その場を動こうとしない。

男はどう声を掛けようか悩むがこのままでは自分も含め何れ誰かが倒れてしまう事は予想がついた。


男は再度声を掛ける


その子はもう十分に頑張った、今はゆっくり眠らせてあげなければならない。

自分達がこの部屋にいつまでもいたらその子は安心して眠る事が出来なくなってしまう。

だから皆休もう。


その言葉を聞いて一人、また一人覚束ない足取りで扉まで歩いていく。


大体の人達が部屋から出ていき、後部屋には男を含め四人が残った。

男は涙を流す人達を集め慈しむ様に抱きしめた。


今日はもう遅いもう寝なければなと優しく語りかけ一緒に部屋を後にする。


男は部屋を出ながら硬く心に誓いを立てた遺されこの腕の中にいる大切な人達をこの命が尽きるまで、いや尽きたとしても守り抜く。

だから安心して眠っていてくれ我が娘よと。


其れから数日後に雨が降る中厳かな葬儀が執り行われた。

天候が悪い中多くの人達が訪れ少女の早すぎる死を悼んだ。

墓石に刻まれた名前は


コーネリア・ルベルフィールム


公爵家の次女としてこの世に生を受け

齢16でこの地に眠る


葬儀が終わり人が居なくなったその場所でその文字を呆然とコーネリアは見ていた。


降りしきる雨は彼女に一粒も当たることなく素通りして行く。


何故なら彼女は幽霊になってしまったのだから。


一頻り自らの墓を見つめていた彼女はその体を霞に溶かし消えてしまった。


だが彼女の物語はこの日から始まる

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