「オラはモンスターだっぺや ~俺って、情けねぇんすよ(1)~」
それは約束だった。あの日、突然として結ばれた約束。
村で一生を過ごすはずだった少年/村を訪れる運命ではなかった少女
結ばれた約束の理由は何か。そこに誘われた理由は何か。
きっと人は「女神様のお導き」だなどと言う。でも本当は、誰にも解らない。
運命と必然の違いは何か? 偶然と意思の違いは何か?
それらも人は言うだろう。でも、わからないものはわからないのである。
ならば、今しばし。
共に見守ろうではないか――――。
|オレらはモンスター!!|
帝都の民から“テッペルへの入口”と呼ばれる村――【ウォールナット】。今でこそ人口は少ないものの、過去には流通の要所として栄えた時期もあった。
テッペルという地域は深い渓谷を擁するという特徴もあって、古くから度々として盗賊や秘密集団の根城になってきた。
それでも特にカースエイドなどの重要自治区・国家との交易路として用いられてきた歴史がある。北方を経由せずに行き来できるということは、聖圏からの関与が薄いという利点もあった。
そうした事情から、テッペルは一時期に交易の要所として栄えたのである。だが、それも「黒砦の乱」と呼ばれる大騒動の中心地となってからはひどく廃れてしまった。騒乱によって様々な曰くが残る結果となり、苦労して整備された街道は自然に浸食され、ウォールナット村もまた寂れていった。
全盛期の輝きは見る影もないが、それでもウォールナットは帝国――それも帝都に近い。ここまでなら行き来も楽であるし、ちょっとした避暑旅行や帝都貴族の別荘地としての利用価値を見出されている。治安維持のため、本来なら渓谷に盗賊などが住み着くと帝都から小規模な派兵が行われて追っ払ったりしてくれるものだ。
ウォールナットの幅広い大通りは、かつて人々が渓谷と帝都を無数に行き来した名残であろう。絢爛壮健たる軍隊が通ったことも1度や2度ではない。
それが現在ときたら……なんとものどかなものである。
昼時をやや過ぎた頃合い。村の通りに見える景色は寂れた家屋の数々と、日向ぼっこで居眠りする老人。往来の真ん中で開かれている婦人たちの集いは突発的に発生する井戸端会議だ。ある夫人の足元に伏せる犬が退屈そうに欠伸をして、前足の先を暇つぶしに舐めた。
「おれ、騎士様やるから~!」
「んじゃ、おれ兵隊さん~!」
「おっけ! ならあたしは魔神様やるね!」
幼い子供たちが老人の前で「キャキャ」と遊びまわっている。老人から聞いた伝承はごっこ遊びを介して、次の世代に受け継がれていくのだろう。
煙突から煙を上げている家屋もある。これから昼食時、空腹を刺激する良い香りが村には漂っている。
「・・・・・着いたわ。そして、ここは“村”ね?」
「んだな、さっき書いてあったべや。らっけ……」
「ええ。このような場所に来て最初にするべきこと……決まっているわ。パウロ、“探しなさい”!!」
「よしきた、任せい!! ……ええっと、看板しらみつぶしに見て回ればえっか。これでもないあれでもない……」
パウロ=スローデンとセイデンのアルフィースは村について即、阿吽の呼吸によって何かを探し始めた。もっとも、歩き疲れた少女は「キャッキャ」している子供達を眺めてぼうっと、そこらのベンチに腰を降ろしている。それは至極当然の流れだ。
そしてパウロはズカズカと村に踏み入り、ムンムンと逞しい胸筋を惜しげもなく晒し、肩で風をのけながら村の建造物を注意深く観察し始めた。
道の真ん中で話し込んでいた婦人会は“異物”を発見して即座に一時停止。揃って大男の身なりを眺めた後、注意深くこっそりと……より密集して小声で会議を再開した。
大柄な男がジロジロと舐めまわすように村を観察していく。そしてある1点を遠目に見つめてそれは停止した。
そして――――叫ぶ。
「おぉ~~~い!! あった、あっただよ!! アルフィースつぁぁん!! こっちさ~~~」
――と。上半身を捩じった姿勢で振り返り、大声を張り上げているパウロ少年。
「イっ!? も、もうっ……はしたないったらありゃしないわ。やっぱり、解ってないなぁ!」
などと零しながら少女アルフィースは立ち上がった。近くでキョトンとして目を丸くしている寝起きの老人に向けて、気まずくお辞儀をかます。若い娘のあまりに瀟洒な振る舞いに、老人はすっかりのろけて「ウへへ」と後頭部を掻いた。
白いドレスの裾を少し上げて駆けるアルフィース。彼女は少年の横に着くとすぐに「大声しないの、それもはしたない!」と彼を叱った。少年は「あちゃ、また!ほんにすまんす……」と申し訳なさそうに項垂れる。
おそらくそれの「また」の部分が引っ掛かったのだろう。少女は憤慨した様子でそっぽを向いた。
しかし……ここで少女が命じ、少年が発見したものとは何であろうか。彼らが集落に着いて真っ先に必要となるもの、それは――。
「それで、どこ? 見つかったんでしょ?」
「んぁ! そうそう、ほりぇ、あっこ。あんの赤い屋根の家だぁ~。んで木の柵に花畑が囲われてっぺよ」
「え、どれ? 赤い……花畑?? ・・・・・ああ、アレのこと!? ちょっと、まだ先じゃないの。よく看板の文字なんて見えたわね! 本当に“宿屋”なんでしょうね!?」
「んだか? いぁ、看板はねぐってよ。壁に文字さ書いてあるんさ。ほれよっく見れば……あるろ?」
パウロがその気になれば100m離れた先にある新聞の記事も読めるかもしれない。同じ視力をアルフィースに求めることは無茶がある。「あるろ?」じゃない。
アルフィースはまだ少し歩くことに不満を抱きながら、少し大股に急ぐ様子で宿屋らしき家屋に向かう。
――そう、『宿』だ。2人(1人)が真っ先に探したものは、“宿屋”。
これまでの旅を通して何かと問題になってきたもの、それは「寝床」と「食事」である。それらを両方解決できると2人が信じ切っているものこそが『宿屋』であり、その考えは正しい。そして、真っ先にこれを探すことも珍しくケチのつけようがない、正しい行動であろう。
しかめっ面のアルフィースと朗らかな顔のパウロ。2人は【宿のとりで屋】と書かれた家屋に辿り着いた。
煙突から昇る煙……漂う香りが胃袋を刺激する。
“きゅるるる~~~~……”
何の音であろうか? 2人は何も言っていないが、何か音がした。
そしてアルフィースはどうしたことか。赤面し、腹を押さえ……歯を食いしばった表情で隣に聳える少年を見上げた。
見上げた先の少年は……晴れやかな笑顔で少女を見下ろしている。2人の目線がカチ合った。
「うっ……ぱ、パウロ? あのね、違うの。あのね、今のはね――」
「おおさ! アルフィースつぁん、見てみぃ、ほぉれ! 君、花さ好きらろ!?」
「そう、私じゃなくってね。私は関係なくって……う、ウサギさんがそこにいて・・・・・え??」
「ここにもいっぺことあんねぇ~。オラさ花の種類とか名前よっぐわがんねけど……君さ花が似合うって、それいっつも思ってんだわなぁ~~」
快活な笑顔を浮かべている少年。色とりどりの花園を指さして、彼はとても嬉しそうである。
「うっ!? なばっ――――えっ、ウ……!?」
少女は停止した。心臓を抑えているが……大丈夫、彼女の心臓は動いている。ただ、止まったのではないかと思うほど彼女の身体は硬直した。
アルフィースは時が止まったかのように。半端に口を開いた表情でただただ、隣に聳える人を見上げている。
「おっ? クンクン……おぉ~~!! 良い匂いだなぁ~腹が減ったっぺよぉ。んだらば、きっとここでなんか喰えるわな……っと、ほーだわ! アルフィースつぁん、君さほれ、アレ……持ってるろ? 足りっかねぇ・・・・・ん? なした、アルフィースつぁん??」
「――――――え゛っ。あ、うん、行きましょう。そうね、あははは……」
「?? どうすた、脚さ痛めたんか? おぶさって行くか? ほりぇ……」
「い、いいの、ありがとう。大丈夫、歩くから……さ、先……行って?」
「?? ほんとか? 無理すんなね。んでもやっぱす、なぁんかいつもと違っ――」
「い、行ってよ!! こっち見ないで、ほら、“先に行きなさい”!!!」
「――てなんか動きがぎこちないっちゅ~かよ。なんか、カクカクしてっけどなしてそんな……アっ!?!?」
命じられた少年は後ろ向きに駆けだした。ものすごい速度だが、花園を避けて駆けたことは幸運であろう。しかし、家屋の扉は避けられない。
「ま、まずいっ……んがぎぎぎ!!!」
パウロはこの先に起こるであろうことを予測し、本能に抗うかのように己の速度を押し殺した。アルフィースを困らせることがそれほど嫌なのであろう。具体的には“扉を破壊して勝手に入店した結果、住人にまたなんか言われている未来のアルフィース”を不憫に感じたのである。
不吉な未来を回避するため、彼は踏ん張って己の筋力を抑え込んだ。踏ん張った右の膝に雷撃のような衝撃が奔る。
「ゼェっ、ゼェっ……危ねぇ。まぁた壊すとこだった、フゥゥゥ……!!」
停止したパウロは片膝を着いた。しかし、すぐに立ち上がると扉を「ゴンゴン」と叩いて声を張る。
「すんましぇ~~ん、入ってよいでしょうか?? オラさパウロ=スローデン。ヤットコ村から来た者で……」
入店するには随分長々とした口上である。
中から返事が無いのでそのまま旅路の過程を彼が語り始めた頃、今度は呆れた表情で少年を見上げる少女がすんなりと扉を開いた。
「何してるのよ……宿だってお店なんだから、さっさと入ればいいの!」
「えっ……いぁ、人ん家らっけ勝手はまずいかなと……いいんか?」
「鍵も開いているし、いいの。もうっ、パウロったらしょうがないなぁ!」
不機嫌ではないようだ。むしろ少女は不気味なくらい穏やかな口調である。しかも微笑んでくれてすらいる。
少女に笑顔を向けられたパウロは思わず「へへへ」と照れくさそうに頬を掻いた。
「それにしても……人はいるわよね。ええと、誰か~~??」
店内を見渡すと、そこに人影はない。受付と思われるカウンターにテーブル席が2組。窓から射す日差しに花瓶の水が煌めいている。
ふと見れば、壁に飾られた絵画の数々が目に入った。少し前にも絵画を見はしたものの、それとは比べ物にならない。
ここの物はアルフィースでも思わず唸る程の出来栄えの一品がズラリ、当たり前のように飾られている。故郷では見たことないような色使いに思わず少女は見惚れた。
・・・しかし、人が出てこない。金属や食器が当たるような音が聞こえるし、何より今まさに美味しそうな香りが漂っているのだから。誰かは居るはずなのだが……どうやら香りは店の奥から漂っているらしい。
カウンターを前にして「キョロキョロ」と挙動不審な2人。そうしてしばらくすると、店内から足音が聞こえてきた。
「おや――おっとと、ごめんね~~~? これは珍しい、今日もお客さんか。いやいや、ちょっと火をかけてたからさぁ~。お待たせして悪かったね!」
カーテンをくぐって姿を見せたのは、女性。赤茶の髪の毛を後ろにまとめて、エプロン姿がとても似合っている。ミトンの手袋を外しつつ、慌てた様子の彼女は腰をぶつけながらカウンターの中に入った。出現するなり言葉数が多く、動作もキビキビとして……別に言い換えれば落ち着きが無い。
「さてさて、ようこそ“とりで屋”へ! ウォールナットの宿ならここが一番さ、目利きが良いねぇ渓谷の旅人よ! 今日は天気も良いし……魔神様も君たちを歓迎しているようだね!」
流れるように商売口上を奏でて、赤茶髪の女性はカウンターに肘を置いた。前かがみになって少年と少女を見比べ……その背後も確認し、口をすぼませる。
勢いに少し気圧されたものの。アルフィースは落ち着いた態度で胸元に手を置き、お淑やかに応える。
「ええ、良い天気でなによりですわ。それで……私たち、ここに泊まらせてほしいのだけど……」
「ああ、そうだろうね。もちろんさ、何泊のご予定かな!? ……まぁ、とは言っても客は少ないし。その日の朝にでも今日泊まるかどうか教えてくれりゃいいよ。アッハハハ!!」
「あ、あはは? ……はい」
形式ばった商売口上から、友と話すかのような軽い口調。赤茶髪の女性は表情も口調も落ち着きなく、誘うように笑って空っぽのテーブル席を指さしている。
それにしたって……対比して見たとしても、アルフィースは随分と堅苦しい。瀟洒に構えている……というよりは明らかに緊張・警戒している様子である。
まぁ、それはそうだろう。彼女は宿屋のこうしたやり取りに良い思い出が無いからだ。
「――――ん??」
緊張した面持ちの少女。その隣に立つ大男は近くで見上げるとまだ若いようだ。少年であろう……もちろん少女も若く、どちらも幼気が残って見える。
そのことを見て取り、また彼らの背後を覗いて他に誰もいないらしき状況……。
赤茶髪の女性は頬をすぼませて顎先に手を置いた。どうやら何かを推理・考えているらしい。
「旅人か……しかしあんた達、少し妙だね。2人だけなの??」
「うっ!? ハ、ハイ! 2人、です……ですけど、それが何か?」
「いや~~~、別に? ただ珍しいなと、でも深くは聞かないよ……うん。まぁ、ね……」
「え……??」
聞かないといいつつ、どうにも赤茶髪の女性はウズウズとした様子だ。「本当は根掘り葉掘り聞きたい!」という情報欲が隠しきれていない。
「あの……では、こちらからお聞きします」
「ん、なんだい?」
「ええと、その…………ハイッ、お聞きしますッッッ!!!」
「お、おう――どうぞ、お聞きくださいませ?」
少女は意を決するような表情である。まるで試験の合否を問うかのような、死線に立つ兵士のような気迫がそこにある。赤茶髪の女性はつられて思わずカウンターから肘を離し、姿勢を正した。
アルフィースの手元には強く、硬く――“ピンク色の財布”がしっかりと握りしめられている。あしらわれている猫の刺繍は少女の握力でひしゃげ、まるで困り顔のようだ。
「ハァ、ハァっ……ここの……この、宿屋のッ!! 一泊する“御代金”は一体ッ!!! ……お如何ほどでありますかッッッ!!!!」
鬼気迫る表情。息も絶え絶えになるほど緊張しながら、少女はカウンターへと詰め寄る。
威圧する気はない。しかし、彼女の本能が「強くあれ……」と危機を乗り越えんとし、彼女の態度に圧力を加えているのである。
「え。ああ……料金かい? 一泊なら4せ――」
言いかけて赤茶髪の女性は止まった。
目の前にある少女の鬼気迫る表情。後ろでハラハラとして目線が落ち着かない大柄な少年。そして、その他に人影はないこの2人……。
「……あんたら、2人だけで旅をしているんだよね?」
「ハ、ハイ!! 2人ですッ!! して、御代金は!!?」
「ウっ……ぅぅう! そうか、2人ッ……こんな若い子達が、2人で旅を……ッ!」
「うぐぐぐ――――えっ。あの??」
アルフィースは面食らったように表情から険を取り去った。それは目の前にある大人の女性が突然として一筋、涙を流したからである。
どうやら彼女は何かを考え、そして自身の中で結論に至ったらしい。
「ど、どうしました?? 御代金、そんなに言い難いほどお高いの!?」
「いいや、違うよ……ああ、そうさ。ここの宿泊費はね、4…………400PL、さ」
「よ、よんひゃく!? よんひゃくね!! ええと、ええっと、足りるかしら!? 私たち2人だから、二倍にして一泊800PL!!! ええと、ええっと――――あれ???」
「そっか、2部屋にするよ。当り前さ……それで400。1人200PLでいいよ、構わないよ……」
「え、ふたりでよんひゃく??? えっ、でもでも…………本当??? というか、それなら割と大丈夫だわ。一万九千三百あったもの、お財布の中に!」
「グスっ……いいんだよ、お金はなるべくとっておきなさい。深くは聞かないけど、それでいいから……。こんな幼い2人がどうしたって……なんて世の中なんだい。お国は何をしてんだろうね?」
どこから何までを考えたのであろう? この赤茶髪の女性は若い2人の境遇を考え、そしてこんな辺境に至った経緯を推察して涙を流したらしい。「何かあったんだろう……何かあったに違いない!」――そういう感情のままに、彼女は御代金から桁を1つ削った。しかも実質、さらに半額である。
今までの経験から10倍以上の数値を言われるものだと、それ以上かもしれないと覚悟していた少女アルフィースは……これ以上なく安堵した。
400PL……それなら安心して泊まることができる。一泊どころか、しばらく滞在も可能という選択肢がたまらなく優しく、彼女は「ホっ」と胸を撫でおろした。
「お~~、えがったなぁ! これでアルフィースつぁんも安心して眠れるし、腹いっぺぇこと喰えるんな。ほんに、何よりだ。あんがとねぇ、助かるねぇ!」
パウロは少女の安心した表情にこそ安堵を得る。先ほどまで緊張していた少女の姿に大きな不安を抱いていた彼も、今の彼女を見てとても落ち着くことができた。相手も女性なので拳は握っていなかったが……何かあればいつでも、少女を抱えて逃げる心構えは備えてあった。
しかし、宿屋の代金チェックでこの厳戒態勢である。少年少女の経緯もあながち赤茶髪の女性が考える妄想からかけ離れていないのかもしれない。
「ほら、鍵を受け取りな。支払いは日ごとでもいいし、最後にまとめてでも構わない。食事も3食、きっちり作るから……小腹が空いたら、声をかけてくれてもいいんだよ?」
赤茶髪の女性は「参った!」とばかりにカウンターへともたれかかり、目元をハンカチで押さえている。何を考えたのだろう? やはり事実とはちょっと異なる次元の妄想をしたらしい。
「よかった……ありがとう! えと……あの、私はアルフィースと申します。こちらは付き人のパウロです。あと、すみませんが……お名前をお聞きしても?」
「アルフィースにパウロ……そっか。私はここの店主をやってる者で、名は“マイサ”だ。マイサ=アリュード……よろしくね、2人共。――――しかし“付き人”、か。うぅぅ……一体、この2人に何が……!!」
妄想にはなかった新情報が【店主のマイサ】を苛む。情報欲に駆られる彼女はしかし、ここは堪えた。宿泊するらしいし、時間はあるだろう……そこでちょっと、聞かせてもらえれば良いな、と。妙な下心を抱いている。
「じゃ、部屋を案内しようかね……昼食はどうする? これからなんだけど……」
「ええっ!? お昼ご飯!?」
「フフフ……あいよ、用意しよう! 丁度“寝坊助のお客”がいて良かった。いつもより遅めの昼食が、功を奏したねぇ!」
少女の反応から察し、店主のマイサはウインクをしてみせる。昼食と聞いた少年と少女は顔を見合わせて笑いあった。
と、そこに……。
「ふわぁぁぁ~~~あ。マジ眠ぃ……マイサさぁん、お腹空いたよぉ……」
二階建ての宿屋。その奥からまた1人、カーテンをくぐって姿を現した。それはどうやら“男性”らしい。
「ん?? ・・・・・・・あっ、おめさはッ!!?/
/ん?? ・・・・・・・あっ、あんたはッ!!?」
パウロは驚き、“相手”もまた驚く。
眠気眼を擦る“その男”。
パウロと面識あるらしい男の正体とは――――――果たして!?
第57話 「オラはモンスターだっぺや ~俺って、情けねぇんすよ(1)~」END




