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|オレらはモンスター!! ~テッペルの過去、ある情景(竜人と魔王)~ |

 そこは森林の中。街道から少し外れた場所。


 大きな岩がある。平べったく、座るには丁度いい高さだ。


 そこに腰を下ろしている人は手にしているパンを1かじり、ほお張って「モグモグ」としていた。


 パンを持つ左腕は幼い頃に負った火傷によって黒ずんでいる。そうして黒ずんだ腕で口元をぬぐうと、“黒髪の青年”は茂みの先に視線を移した。


 昼間とはいえ森の中は暗い。ただ、その場は丁度上空の木々がいており、日差しが程よく射し込んでいる。


 射し込む日差しの中に、あゆんで姿を現す”モノ”がある。


 姿を現したのは”紳士”。顔色は赤みのある青で具合が悪そうだ。しかし、それは生まれつき……この世に現れた時からのもので、彼にとっては普通のことである。


「――――お食事中に失礼いたします。私、おそらくですが……先ほどあちらの街道にてお世話になった者達の関係者でございます」


 岩に座っている黒髪の青年はパンを飲み込んだ。


「んおぅ、さっきのってあの黒い彼らか? 関係者って……いやぁ、なんかごめんなさいね? だって彼ら急に乱暴してくるから……」


 困り顔ながら笑顔混じりに返す青年。そして新しくもう1つのパンを取り出すと、それをまた齧り始めた。


 顔色の悪い紳士は言う。


「いえ、なんとなく状況は察しております。されど、彼らが用心するにも理由がありまして……」


「あ~~~……いや、悪かったよぅ! でも俺は本当にただ旅してるだけの人間なのさ。スパイとか、そういうアレじゃないからね? そもそもココは本来、天下の往来じゃないか!」


「ええ、そうでしょう。あなたは確かに単なる旅の一般人。そしてココは他勢力からしたらキャラバックが不当占拠している渓谷……それは間違いない」


「あら……ずいぶん素直で聞き分け良いじゃないの、紳士さん? ほんじゃまぁ、俺のことは放っておいてくんない?」


「そうしたいのですがね。何せ精鋭を4人ですから……建前の問題がございまして。それと少し気になるんですよ……個人的な”好奇心”というやつです」


「へへっ、好奇心ねぇ……そうだな、俺もそういうことならあるよ! だぁってあんた、どう見たって”ただ者”じゃないもの。

 俺もね、小難しい軍だ国だっての抜きにするなら……個人的に”興味”、もっちゃうねぇ。ウヒヒ♪」


 顔色が悪い紳士の風貌ふうぼう。それを足元から眺め上げて、青年はヘラヘラとした。


「あんたさ、普通の人間じゃないだろう? どんなもんなんだい?」


「そうそう、失礼いたしました。もうし遅れましたが……わたくし、“ローゼンハック”というモノです。帝都の名家、キャラバックに長年執事としてつかえさせていただいております。

 そしてそう、普通の人間ではありません。というか……”人間ではございません”。いわゆる【悪魔】というモノでございます」


 名のる紳士……【キャラバックの悪魔、ローゼンハック】は丁寧に礼をして身体を前に少し傾けた。


「へぇ、そっかぁ。あくまのろーぜんはっくさん、ね。悪魔ってそういやさっきの彼らが連れてた奴もだったか? それに比べたらあんたはちゃんと人間っぽいな。礼儀作法もよっぽどだぜ!

 ……と、すまん。気を悪くしないでくれ」


 人間ではなく、悪魔ーー。


 先ほど見た翼や牙や蛇のような存在もそうらしいのだが、どうにも青年には目の前にある紳士があれらと同一に思えない。


 だからうっかり失礼なことを言ったと、まるで人間に対するように謝った。


「いえ、慣れておりますから……むしろそちらに気を遣わせて申し訳ございません。どうかお気になさらず」


「はは、すまんね? 何せさっきのがあまりに言葉通じない感すごかったからさ……悪魔ってのにも色々あるんだな?」


「はい、格式と申しますか……どうも私は魔王という上位なものに分類されるようです。ただそれも私の召喚者がそのように区分しただけなので、雑学程度にここは一つ……」


「へぇ、そっかぁ…………モゴモゴ、ぷぅっ!」


 黒髪の青年は一気にパンを頬張り、豪快にモゴモゴとしてから飲みこむ。


 そして大きく息を吐くと「グルリ」、左肩を回した。


「俺は”リッキー”ってんだ!! ワケあって世界を旅をしてんだけどよ……まぁ、俺も普通の人間じゃねぇんだろうな。【竜人】だかなんだかって……そこんとこよくわかんねぇんだけどさ。

 まぁ、とかく無茶苦茶強い旅人ってことで以後ーーヨロシクぅ!!」


 【エルダランドの竜人、リッキー】はまた羽織る上衣を脱ぎ捨て、袖なしシャツの姿で焼けた左腕をさらした。


 ”竜人リッキー”がおもむろに屈伸くっしん運動を始める。結ばれた長い黒髪が屈強な背中で跳ねた。


 その光景をながめる”悪魔ローゼンハック”は微動だにせず。ただ、そこに立つ。


 リッキーは先ほどまで座っていた大きな岩に左手の親指を押し当て、そのまま逆さまに直立した。指一本で全体重を支えた姿勢のまま、腕を曲げ伸ばしして身体を上下させながら――逆さに映る紳士へと問う。


「あんたさ……今、ひまかい? いやさ、深い意味はないんよ。たださ……どうかな、って」


 急に何を言い出したのか。しかし、いきなりに「暇か?」と問われた紳士は解っていたかのように疑問もなくおうじる。


「暇かどうかと言われれば……暇であってはいけないのですけどね。ええ、時間を持て余している感じはあります。ここ最近はおぼっちゃまもあの様子ですし……演説が終わるまでなら?」


「そっか……んじゃぁさ、ちょっといいかな。あんたの身体、貸して欲しいんだよねっ⭐︎」


 リッキーは全身を支えている親指に力を込めると、指の力だけで跳び上がった。そして空中で身を回して腐葉土の地に着地する。


 右の手の平に黒ずんだ左の拳を打ち付けて……派手な衝突音を鳴らす。そして、「ニヤリ」と。


「あんた、“強い”だろ? だからさ……ちょっくら遊んじゃぁくれねぇか!!?」


 青年は腰を落として重心を低く、左足を前に置いて前傾姿勢となった。


 そのまま左腕を回して鼻息を荒くする。表情は笑っているが眉間には深いシワが生じていた。


 猛る青年の様相を前にして……。


 顔色の悪い紳士は「やれやれ」と肩をすくめて応じる。


「リッキー……察するに”リィンダイト”、ですかな? その左腕、うわさはかねがねお聞きしております。だとすれば……あなた様のお誘いを断ることはできませんね。無礼になってしまう」


 後ろに手を組んだ姿勢。単に立っている状態で悪魔ローゼンハックは応えた。


 鼻息を荒くしていた竜人リッキーは紳士の言葉を聞くと気まずそうにする。


「・・・・・いや、何のことだか? そんな、”あなた様”なんてやめてくんない!? 俺ってばもう……ただの旅人なんだからさッ!! 加減なしで遊ぼうぜ、あんたヤれんだろう!!?」


 言い終わると同時。リッキーの足元にある腐葉土が爆発するようにはじけた。


 途轍とてつもない瞬発力。青年が短い距離を数歩、走るだけで砂嵐のように土が舞い上がる。


「悪魔だか魔王だか……果たして、どれほどかな!?」


 ごう音と共に放たれた一撃。左の拳が紳士のひたいに直撃する。


 紳士の身体を伝う衝撃。足元の腐葉土は舞い上がり、衝撃波によって周囲の木々がらいだ。


 左拳の直撃を受けた悪魔ローゼンハック。それは変わらずに直立して微動だにしないまま、「二コリ」と微笑ほほえむ。


「――さすが、転化てんげの中でも希代きだいとされるだけはありますな。そしてさらにまれなるは……同時代に同様の存在がもう1つ存在することでしょう」


「おっ……それって、“ユウマ”ってやつか? 帝都、アプルーザンにいる皇子様!! あいつってどうなんだ、強いんだーーろッ!?」


「ええ、そうですね……今、こうして感じているぶんにはあなた様に匹敵ひってきするでしょう。どちらが上か、それははかりかねますが……」


「オッホホ、そりゃぁ楽しみだ♪ やっぱり会ってみてぇなぁ。俺と似た存在……直接ヤってみねぇと、解らんものだよ――――なッ!!」


「ハハ、そうですね。なるほどアプルーザン……だからここを通りましたか。なら、その折りにはどうか……このような情勢であるものの、よろしくお伝えください」


「オッケィ! ローゼンハックがよろしくって、伝えとくぜ!! しっかし…………やたら頑丈がんじょうだな、あんた!! これ本当かよ、ビクともせんぜ!!!」


 リッキーは殴ったり蹴ったりしている。会話をしながら青年は打撃を行っているのだが……悪魔の紳士は直立のまま動かない。


 直撃はしている。だが、紳士はその場にただあるだけで、打撃の衝撃がいくらか周囲に影響を及ぼすのみ。


「うおりゃああああああ!!!」


 飛び上がって一回転。リッキー渾身の踵おとしが紳士の脳天に炸裂した。


 紳士の靴底が数cm地面にめり込んだが、そこまで。それ以上の影響はない。竜人リッキーはさすがに表情を「あらら」と苦笑いにする。


 対して悪魔ローゼンハックはーー


「ーーコホンっ。失礼ながら……リッキー様、そろそろ”遠慮”はやめて頂いて良いですよ。あなた様が本当に試したい力は……”竜の炎”でしょう?」


 咳払いを一つ。そして微笑み、穏やかな口調で自分の手のひらに炎を沸かせる悪魔。


 竜人リッキーは目を丸くして応える。


「え。それ、あんたも……?」


「いや、これはただの魔術です。……思うにあなた様は何か自身の中で制約をつくり、竜の炎を制限してますね?

 大丈夫、安心してください。こと私に対しては卑怯とかやりすぎとかありませんから。せっかくの機会です……どうぞ存分にお試しなさい」


「へ……? あんた、なんで俺の炎のこと?? いや、え、これって何、竜の……竜の炎???」


「貴方が暴れたらしき現場に焦げ跡がありましてね。そうです、あなたのソレは”竜人の炎”です。

 私はわりかし見慣れておりまして……ええ、次代ブローデンのユウマ様も扱うと聞きました。どの段階までかは直接見てませんので解りませんが……」


「・・・・・俺の炎、やっぱりそうなんだ。あんまりそういうの聞く暇もなしに慌ただしく家出たからよ、ずっと”なんだろなぁコレ”って……」


 リッキーはーー竜人の若者は攻撃の手を止めて自分の黒ずんだ左腕を撫でた。


 そしておもむろに左腕をかかげると、そこに黄金の湯気が沸き始める。


「……へへへ! こんなところで俺の謎が一つ、解けるとはね。しっかしあんたさぁ〜、何者なんだよ? ヴェイガードの血統に詳しいのかい??」


「いえ、そちらはそれほど……。ただ竜人、主にブローデン家の方々と関わることが多少にありましてね。そうしたうちに色々と知りました」


 語りながら、悪魔ローゼンハックは思い出している。


 竜人の若者……ただ一度のみ、全力を尽くして戦った人。回想の中で険相の彼が振るう拳は悲壮ひそうなものでーー


「キャラバックは良くも悪くも国の深くに関わりすぎたのでしょう。私も永く生きておりますから……いささか、”らしさ”を失いすぎましたかな」


「ふぅ〜〜ん? よくわからんがよ……まぁ、いいや。そういうことなら、お言葉に甘えて試しちゃおっかな〜⭐︎」


 リッキーの掲げた左腕を緑混じりに輝く炎が覆っていく。


 緑の炎は次第に青年の全身へと広がり、揺らぐように包み込んだ。


「へっへへ♪ こいつは多人数相手か、同じようなことできる奴相手だけにしてんだけどな。あんたなら問題なさそうだ。

 にしても初めてかな、こんなに垂れ流すのは……ねぇ、やっぱりコレはやりすぎになるかな??」


 全身を緑の炎に覆われたリッキーは恐れている。初めて遠慮なく垂れ流した力に、おびえたように不安な表情をみせた。


 緑の炎越しにある青年の表情。それを受けて、悪魔ローゼンハックは赤紫な顔に満面の笑みを浮かべて見せた。


「かまいません。その段階、”その程度”ならどうぞ……怖がらないで、恐れないで?? ほら、大丈夫だから……」


 両手を広げ、紳士な悪魔は迎える構えを示す。


 対面する炎に包まれた竜人は……全身の炎をさらに轟々と湧き上がらせた。


「・・・うんっ⭐︎ それじゃぁーー全力、試させてもらうぜッ、悪魔のおじちゃんよぉぉぉおおお!!!」


 吹き飛ぶ地面。緑の蒸気を残して竜人リッキーが一足に悪魔へと飛び掛かった。


 炎をまとった拳がローゼンハックの腹部に突き刺さる。悪魔の身体が浮き上がり、その赤紫な顔が「ニヤリ」と笑った。


 空中にある悪魔の身体を跳んで追い越し、そのまま殴りつける竜人。


 悪魔の身体は吹き飛び、樹木を何本も薙ぎ倒して停止した。


「良い感じだ。悪くない、これほどの出力は久方ぶりーー」


 紳士な悪魔がタキシードの汚れを払い、立ち上がる。その眼前には身を翻し、宙を回転しながら迫る炎の塊……。


 踵の一撃を脳天に受けた悪魔の身体が大地に倒れ、周囲の土葉が巻き上がった。


 土煙りが漂う中。半分埋まっていた悪魔がゆっくりと身体を起こす。


 そこにーー


「ーーよっしゃ!! 身体、あったまってきたぜぇぇぇ!!? うぉぉぉおおおおおお!!!!!」


 炎でよく見えないが、どうやらリッキーは目が血走っているらしい。


 初めて持つ力を出せて嬉しいのか、それとも力に狂わされて制御を失っているのか……。


 ともかく、テンションが限界を突破している竜人リッキー。その背中から緑の炎が蒸気となって噴き出し、翼のように広がった。引きしぼったその左拳には黄金混じりの緑炎が集約されていく。


 これを見た紳士は「これは痛いぞ」と、防御の姿勢をとった。



ーー拳の影も見えないほどに輝き始めた竜人の左腕。それが振り抜かれた瞬間ーー



 爆発するかのような……いや、爆発した。


 竜人リッキーが放った左の拳は悪魔の身体に着弾。即座に大爆発を巻き起こし、周囲の大地をえぐり飛ばしながら風圧で木々をぎ倒した。


 隕石が落ちるとクレーター(大地のくぼみ)が生じる……。


 まるでそうなったかのようなクレーター中心部。竜人リッキーはクレーターの中心部で拳を振りぬいた姿勢で停止していた。


 轟音を残して吹き飛ばされた紳士の身体。それは森林に一本の道をつくり、渓谷の断崖に衝突したらしい。崖崩れが生じて、その音は黒岩の宮殿にまでとどろいた。


「はぁ、はぁ……。すっ、すげぇ……! コレが俺の…………竜人?の、力……??」


 生まれて初めての全力。遠慮しない、という意味で本当の全力を出した自分の拳にリッキー自身も驚いたようだ。クレーターの中心で呆然と、おのれの拳をながめてくちびるとがらせている。


「あっ。なんか、急に足が……あ、あれ??」


 フラフラとリッキーの身体は揺れていた。炎はまだ全身を覆っているものの、薄れているようだ。意識も朦朧として、茫然となる。


 そしてその眼前には黒い煙がいている。煙はやがて人の形状を成し、それは色を得て顔色の悪い紳士となった。


 「コホン」と、一つ咳払いをしてから紳士は言う。


「これ以上は辺りの景色が原型を留めなくなってしまう。何より、あなた様の身体が保たない。つきましては――」


 紳士は茫然としている青年の頭部を片手でつかんだ。

 

 頭部を掴まれたリッキーは慌てて紳士の腕を両手で掴み、外そうとする。そうしてりきむが……まったく外れない。


 青年の頭部を掴んだまま、紳士がげた。


「ーーここまでにいたしましょう。せめて区切りよく、決着だけはつけさせていただきます」


 直後、繰り出される紳士の拳。青年の腹部に突き刺さった一撃は彼の全身を震わせ、あっさりと意識を断ち切った。




|エルダランドの竜人譚 ~テッペル峠の悪魔~ |




 森林の一部が爆発してからしばらく……。


 青年が岩の上で身体を起こす。病み上がりかのように重く感じる意識で呆然と、黒髪の若者は空を見上げた。


 森の木々にある枝葉の隙間から青空が見える。


 飛び去る何かの鳥を眺めた後、ふと横を見上ればそこでは顔色の悪い紳士が微笑ほほえんでいた。


「あんたぁ……ここは……? ーーイッ!! いてて!?」


 青年リッキーは腹部の痛みを自覚する。そして全てを察したらしい。


 後頭部をきながら「参ったね」とこぼす。紳士は軽く会釈で返した。


 リッキーは腹をさすりながら隣に立つ紳士へと問う。


「悪魔ってすげぇんだな。そして俺も……割とヤバいんだな」


「確かに……ですが、”ヤバい”と自覚されていれば大丈夫でしょう。その力はあるべき時にある程度で使えばそう悪いものでもありません」


「そうか……しかしあんた頑丈なのもそうだが、ずいぶん物知りなんだな。ブローデンって、オルダリアの王族とも知り合いなんだろ?」


「昔の話ですよ。だから、永く生きるだけでその……年の功、というやつです。あくまで一介の執事長に過ぎません」


「ほぉぉ〜ん? そりゃ、さぞかし主人様は御立派なんだろうね!」


「はぁ、まぁ、立派……ではございます。ただ、今の主様は・・・・・あっ。いけない、そろそろ演説が終わってますね。戻らねば!」


 執事のローゼンハックは何か思い出したらしい。額を叩き、「うっかりしていた」と慌て始める。


「そうか、時間か。悪かったね、忙しいとこ遊んでもらっちゃってさ⭐︎」


「お気になさらず。良い”気分転換”になりました……」


 紳士は深く礼をしてからフワリ、浮き上がった。


 青年は立ち上がり、布袋を担ぐ。


「気分転換になった……か。あんたも色々大変そうだな」


「ーーーーん。どうかしましたか?」


「いや、少しは顔色良くなったんじゃないかってね? あぁ、嫌味とか悪魔ジョークじゃなくて……」


「はぁ、左様で……?」


「俺さ、ガキの頃から人の顔色とか機嫌が気になる感じでさ。戦いながらちょいと気になってたんだよね……余計なこと言ってたら、ゴメンね?」


「おや・・・・・はっ、ハハハ! いえいえ、痛み入ります。そうですか……なんとまぁ、あなたはお優しい人ですね。ならばきっと、その力は間違われることもないでしょう」


「へへへ……なんか、間違ったやつを知ってるふうだな!」


「古い話です……おっと、いけない。機嫌を損ねては大変だ。では、いずれまた……」


 空中に浮かんでいた紳士は黒い霧となり、風に乗って何処いずこかへと消えて去った。


 霧を見送った後。リッキーは一つ伸びをしてから上衣を羽織り、その場を立ち去っていく。


 平たい岩に乗っていたパンくずが風に吹かれ、巻き上がって飛んだ。






 ……その岩の上。それから150年ほど未来のこと。


 体格の良い少年と可憐な少女。


 2人が仲良くクッキーを頬張る光景がそこにーーーーーー






|オレらはモンスター!! ~テッペルの過去、ある情景~ END|






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