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最高刑なんにしようか  作者: airfish
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大東哲司の憂鬱

彼の上司と同僚の昼下がり。

「あれ、能登(のと)どうしました?」

能登(みぎわ)が退社した後、大東(だいとう)大森直人(おおもりなおと)が訊いた。

「ああ、あいつなら冬眠中だよ」

「うわあ、じゃあ明日来ないじゃないですか。あいつに訊きたい事あったのになあ」

木森は汀と社内で一番(木森が一方的なような気もするが)仲の良い同期なだけあって、「冬眠」といえばそれを理解できる。

社内で汀の「事情」を知っているのはたぶん俺とコイツくらいか。

しかし汀は重度の秘密主義である。昔から同じ病院で兄弟のように過ごしてきた自分でさえ、汀については知らない事の方がずっと多い。

きっと、全てを明かすのは彼女だけなんだろう。

「なんか、今月ちょっと早くないですか?てか、どんどん早まってるような気が…」

木森が言った。確かに、それは大東も感じていた。汀の「冬眠」の周期が最近おかしい。

「なあ、お前」

木森がこちらを向いた。

「お前は汀にどんだけ聞いた?」

何の事を聞いたのかは木森もわかったらしい。

「病名でしょ、あと、症状。それと千代(せんだい)先生親子のこと。そんだけです」

「そっか、俺もだわ」

何か自分の知らない情報があるかと期待したが、想像通りそれは無かった。

それと同時に、期待していた自分に嫌気がさした。

あいつのことまだ心配してんのかよ、俺は。

汀だってもう二十四だ。自分の事は自分で管理できるはずだし、あいつは馬鹿じゃない。

しかしなんでか、放っておくと勝手にどこかで壊れてしまうような、そんな脆さを感じるのだ。大勢の人混みの中に繊細なガラス細工をポツンと置いてきてしまったような、そんな不安を感じるのだ。

大東哲司(てつじ)は決して面倒見の良い男ではない。

しかし、能登汀のこととなるとどこか過保護になるのだ。

それは二人が過去に似た境遇に居たからだろうが、一番大きな理由は自分の恩人である千代先生だ。

まあ、あの人にまかせておけば大丈夫だろう。千代和富(かずとみ)は、どこかそう思えてしまうような男だった。

airfishです。読んでくださった方ありがとうございます。

引き続き投稿していくので、また読んでくださると嬉しいです。

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