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其の三 「依頼内容:護衛(前編)」

 其の三 「依頼内容:護衛(前編)」


 事務所のドアを開けて入って来たのはまだ若い青年だった。ヴィアよりも四歳ほど年下のルーパス・ブリットという十八歳の青年だ。

 灰色をした前髪は邪魔にならぬように適度に切られているが、やや長めの後ろ髪は首の後ろでまとめている。活気のある中々二枚目な顔立ちに、見た目よりも引き締まった身体をジャケットに包んでいる。

 面識があるのは、ルーパスが良く顔を見せるからだ。とはいえ、ヴィアと直接的な接点のある人物ではなく、共通点があるとすれば彼も便利屋をしているという事ぐらいだろう。

「お、また来たのかボーズ」

「いい加減その呼び方やめてくれよ」

 十六夜の言葉にルーパスは溜め息交じりに抗議する。

 便利屋と言ってもまだ駆け出しの素人で仕事はほぼゼロに近い。賞金稼ぎでも便利屋でもそうだが、駆け出しの新人への依頼はほとんど来ない。力量も信頼性も定かではない者に頼むよりも、有名な者に依頼する方が確実だからだ。

 賞金稼ぎなら自主的に動いて賞金首を狩って名をあげる事もできるが、便利屋は基本的に依頼を受ける事を良しとする職業だ。

 ルーパスは、あくまでも便利屋でいたいらしい。

「何か用か?」

「あ、そうそう、聞いたよ、レアース家の次女を助けたんだって?」

 ヴィアの言葉に、ルーパスはデスクの前までやって来て言った。

「……それが?」

「俺も早く仕事が欲しいよ」

「ルーパス、用件は何だ? そんな事を言いに来たのか?」

「あ、そうだった。……師匠、稽古をつけて欲しいんだ」

 ルーパスはヴィアを師匠と呼んで慕っている。それというのも、ルーパスはヴィアに憧れて便利屋になったのである。後ろ髪をまとめた髪型も、ヴィアに比べてまだ短いが、ヴィアを真似てのものだ。

「悪いが客だ、別の日にしてくれ」

 事務所の外に気配を感じて、ヴィアはルーパスを部屋の脇に下がらせた。

 その直後、ドアを開けて入って来たのは、前にもやって来た事のあるレアース家の使いの者だった。

「先日はどうもありがとうございました」

「また何かあったのか?」

「はぁ……それが……」

 要領を得ない返答が返された事に、ヴィアは眉根を寄せた。


 レアース家の敷地は広く、普通の家の敷地ならば軽く五つは入ってしまうであろうものだった。正面に向かって右側の庭には噴水とベンチがあり、まるで公園のようだ。対する左側には、魔力と科学の力を用いて作られる高価な移動用の乗り物、魔動車が三台並んでいる。

「ひ、広っ……凄ぇー……」

 ヴィアに着いて来たルーパスが呟いた。

 使いの者に続いて門を潜り、屋敷の玄関まで歩く。今回の以来は、フェリアルの護衛だとの事だが、使いの者には説明し難いらしく、説明は直接フェリアル自身から行われる事となった。因みに、ルーパスはヴィアの弟子だと言い張って着いて来たのである。

「少々お待ち下さい」

 屋敷の入り口に通された所で、召使いはフェリアルを呼びに行った。

 玄関口も広く、三階まで吹き抜けのようになっており、天井の中央にシャンデリアがある。正面の階段からはどの階にも行けるようになっているようで、階段や地面には赤い絨毯が敷かれている。言うまでもなく掃除は隅々まで行き渡っており、高級感のある材質が際立っていた。

「ヴィアライル様ー!」

 不意に、廊下をフェリアルが駆けて来た。その後を給仕服を着込んだ侍女が慌てて追いかけて来る。

「仕事の依頼だそうだな?」

 その様子に、ヴィアは溜め息交じりに問う。

「そうなんです! ……あら、こちらの方は?」

「俺は――」

「ルーパス、見習いだ。仕事の助手をさせる」

 ルーパスの言葉を遮り、ヴィアは言った。

「あ、そう……」

 心なしか残念そうにフェリアルが言う。

「それで、仕事の内容は何だ?」

「そうだったわ、私の護衛をして欲しいの!」

「護衛? 十分じゃないのか?」

 フェリアルの言葉に、ヴィアは眉根を寄せる。レアース家は家を見る限りでも、かなりの資金を持っている。そんな家ならばボディガードの一人や二人、常に待機しているはずだ。それを差し置いてヴィアに護衛を依頼するというのなら、それなりの理由が必要だ。

「とにかく、応接間で話しましょ」

 笑顔を見せて歩き出すフェリアルにヴィアは小さく溜め息をついて後を追った。

「元気の良い娘さんですね……」

 隣を歩くルーパスが呟く。

 応接間に着くと、フェリアルはヴィアをソファに座るよう促した。広い応接間の中央のテーブルを挟んで、ヴィアとフェリアルが向き合うように座る。ヴィア寄りの席にルーパスが座り、十六夜はヴィアのソファの隣に寝かせるように置いた。侍女が預かるかと尋ねて来たが、ヴィアはそれを断った。いかなる時でも、いざという時に直ぐに使えるよう、十六夜だけは身近に置いておく事にしているからだ。

「ミルクティーですが、どうぞ」

 ソファに腰を下ろすと直ぐに、侍女がティーカップを用意し、ミルクティーを注いだ。

「お茶をするために呼んだのなら帰るぞ?」

「あ、美味しい……」

 横でルーパスが呑気にカップに口を着けているのを無視して、ヴィアはフェリアルに言った。

「えと、実は、あれから誰かにいつも見られているような気がして……」

「家の者じゃないのか?」

 フェリアルの言葉に、ヴィアは問う。

 名家の娘であれば、常に周囲には侍女や執事がいるはずだ。それらの視線は、フェリアル自身を護衛するためでもある。常に見られているというのは、事実だ。

「……違うんです。それとは違うものなんです」

「……」

 そのフェリアルの言葉に、ヴィアは考え込んだ。

 護衛付きのフェリアルが他の者の視線を感じるというのであれば、敷地内に誰かが侵入しているという事だ。だが、そうなれば家の者の目に入っているだろう。フェリアルがそれをヴィアに依頼するという事は、家の者が探しても見つからなかったという事だ。

「……一応、警報機みたいなのはあるんですよね?」

「ええ、あるわよ」

 ルーパスの言葉に、フェリアルは頷いた。口調が違うのは気のせいではないだろう。

 警報機、屋敷への不法な侵入者に対して、それを屋敷内に知らせる装置だ。それに反応しないとなると、厄介な相手かもしれない。

「報酬はいくら出す?」

「ええと、三百万エスでどうかしら?」

「……解った、とりあえず三日間の契約で受けよう」

「ありがとう!」

 満面の笑みを浮かべるフェリアルを尻目に、ヴィアはそこでようやくミルクティーに口を着けた。

 確かに、味は上質なものだった。


 ヴィアとルーパスはフェリアルに連れられて屋敷内を一通り確認した。無論、屋敷の構造を把握しておくためだ。広く豪奢な屋敷の中を一通り見回った上で、フェリアルの自室も確認していた。

 フェリアルの両親は仕事のためか、今は共に家を空けているらしく、見当たらない。本来ならば学生であるフェリアルは、前に人質にされた事もあって数日間は自宅で休息を取っているが、今日に限っては休日のために家にいる。レアース家の娘は三人おり、長女、リステリア・T・レアースは今、庭にいるようだ。三女、イセレシア・U・レアースは外出しているらしく、家にはいない。屋敷内にいる者はフェリアルとヴィア、ルーパス以外では家の召使いだけという状況だ。

「ルーパス、念のため通路に立って警戒していてくれるか?」

 フェリアルの部屋を一通り見回し、ヴィアは言った。

「あ、解りました」

 その言葉に、ルーパスは部屋を出て廊下に立つ。

 部屋に残ったフェリアルはベッドに腰を下ろし、ヴィアは窓を開け、テラスに出て周囲を見回す。

「気配は無さそうだな?」

 十六夜の言葉に、ヴィアは小さく頷いた。魔工学によって作られた武器というだけあって、十六夜には魔力の流れを感知する能力がある。魔力というものがあらゆる場所に存在するという常識から考えれば、人間の存在も魔力の塊として感知する事は理論的には可能だ。もっとも、実際に認識するに至るにはそれなりに訓練されていなければならないが。

 現時点では、フェリアルを見ているという視線は感じない。気配を感じないとなると、巧妙に気配を消して潜んでいるか、今は来ていないという事だ。

 テラスから部屋へ戻り、窓を閉める。

「今のところ外に問題はなさそうだな」

 ヴィアは言い、フェリアルに一度視線を投げた。

 視線を向けられたフェリアルは顔を赤くして俯いた。何か言いたそうに口を動かしているが、はっきりと言葉にはならないらしい。

「……ホントに敵がいるのか?」

「――え!?」

 不意に、十六夜が言った。

「なんつーか、俺はお前が視線を感じて恐怖を感じるような奴には見えねぇんだけど」

「剣が喋った……?」

「特別製だからな」

 驚くフェリアルに、ヴィアは言った。背中を壁に預け、十六夜を組んだ腕の中に絡ませるようにして持つ。

 意思を持った武器というのは、少ないながらも確かに存在している。言葉としては誰でも一度は聞いた事があるだろうが、実際に見る事は皆無だ。意思を持つ武器には、色々と問題があるのだから。

「で、俺はお前の芝居だと見てるんだが……」

「……う……」

 十六夜の言葉にフェリアルが言葉に詰まった。

 つまりは、ヴィアの気を引くためにフェリアルが仕組んだ事なのではないか、と言っているのだろう。その可能性はゼロではないとヴィアも考えていた。だが、逆に、フェリアルが仕組んだ事ではないという可能性もある。その可能性もゼロでないのだから、むやみに依頼を断るわけにはいかない。

「……そうなのか?」

 問いは放ったものの、既に答えは出ていた。

 芝居だとすれば、フェリアルに命の危険はない。ヴィアへの依頼も解消される事となるが、そうした場合、迷惑料を受け取る事になっている。金額は、決して少なくはない。

「……まぁ、根性は認めるがなぁ」

 苦笑交じりの声を出す十六夜を手に、ヴィアはフェリアルの前を横切ってドアに向かう。

「待って!」

「護衛の必要が無いなら、俺がここにいる意味はないな」

 フェリアルに言い、ヴィアはドアを開けた。

「あ、師匠、今凄いニュースやってますよ」

 携帯型のラジオをイヤホンで片耳に繋いだルーパスがヴィアを見るなり言った。

「ニュース?」

「何でも、魔物が街中に現れて大暴れしてるとか」

 声を上げた十六夜に、ルーパスはイヤホンをヴィアに差し出す。それを耳に当て、ヴィアは報道内容を確認する。

 バックで破壊音や悲鳴、銃声などが続き、時折レポーターらしい男の声が聞こえて来た。アンスールの都市内にいきなり新種の魔物が現れ、軍がそれを追っているようだが、中々仕留められないらしい。

 魔力によって変性した生物の成れの果てとされる魔物だが、単体では人間を上回る身体能力と攻撃能力を備えている。都市周辺には魔物対策として、魔力の結界のようなものが常に流されているのだが、時折それを突破してくる魔物は存在しているのだ。もっとも、軍のように組織的に行動できる部隊が相手となれば、いかに魔物とはいえ、そう時間をかけずとも仕留められるものなのだが。

「……待て、この報道の場所はどこだ……!?」

 不意に、ヴィアの背筋に悪寒が走った。

 イヤホンをルーパスに返し、ヴィアはフェリアルの部屋を突っ切ってテラスに飛び出すと周囲を見回した。

「いきなりどうしたんですか――って、ええっ!?」

 後からテラスに出てきたルーパスが声を上げた。

 屋敷の正面に、何かが迫ってくる。それは周囲の魔動車や人々を軽々と吹き飛ばし、突き進んでくる。まるで、何かに追われているかのように。

 その向こうから銃声などが響き、軍がいる事が解った。一直線に動乱が向かってくる中、正面に見える屋敷の庭を見れば、一人の女性が噴水近くの椅子で本を読んでいるの見えた。

「お姉様っ!?」

 フェリアルが口元を押さえる。

 放って置けば、騒乱は屋敷に直撃するだろう。庭を突き抜けて。

「ルーパス、彼女は任せた!」

「――え!? 師匠っ!?」

 言うと同時、ヴィアはテラスの手すりに足をかけると大きく跳躍していた。後ろからルーパスとフェリアルがヴィアを呼んだようだったが、それを気にしている余裕はなかった。

 騒乱に気付いた侍女達がフェリアルの姉、リステリアに駆け寄り、彼女自身も騒乱に気付いたようで、驚いた様子で後ろへ下がる。庭の出口は左右にあるのだが、混乱しているらしく、真後ろに下がってしまい、侍女共々植え込みに背中をぶつけていた。

 前方から迫る騒乱の中から飛び出した魔物が柵に飛び乗り、レアース家の敷地内に侵入しようとする。

「十六夜っ! 雷撃だ!」

 ヴィアは刀を抜き放つと同時に叫び、十六夜の刀身から電撃を放った。最も速度の早い遠距離攻撃を繰り出し、魔物を牽制する。魔力を察知したのか、魔物はその場から後ろへ飛び退き、敷地内から外へと出た。

「おい、あいつタダの魔物じゃねぇぞ!」

「解ってる!」

 十六夜の言葉に言い返し、ヴィアは鞘の中ほどにある接続部をロングコートのウェストにあるベルトに接続した。それを背中に回し、邪魔にならぬようにしてから着地。背後にいるリステリアと侍女が突然飛び降りてきたヴィアに息を呑んだのが解った。

鎖刃さじん!」

 言い、十六夜を上弦と下弦の月に分離する。その柄の端には魔力の鎖が生じ、互いを繋いでいる。

 奇声を上げ、魔物が柵を飛び越えた。身体は緑色に近く、爬虫類のような鱗で覆われており、頭部にある目は赤く不気味な光を放っていた。だが、爬虫類のような外観であるにも関わらず、手には大きく長い爪があり、脚部は発達し、尾がある。

 駆け出し、魔物へと右手の刃を振るう。右へと跳躍してかわした魔物に、ヴィアは右腕を振り抜きくように身体を水平方向へ回転させ、遠心力を加えて右手の上弦の月を投げ放った。魔力の鎖で繋がれた上弦の月を、魔物は空中で横合いから爪を叩き付けるようにして弾いた。ヴィアは直ぐに左手の刀を引き寄せ、戻って来た上弦の月を掴まずに鎖に手を添えて頭上で回転させ、大きく魔物へと刃を叩き付けるように振るう。

 大きく咆哮し、魔物がヴィアへと飛び掛かるように跳躍した。前方に身体を投げ出し、魔物の真下をすれ違うと共に上弦の月を引き戻し、右手で掴んだ。

狼月ろうげつ!」

 十六夜の型を変え、鎖を消すと共に左右の刀を逆手に持ち替える。

 魔物が繰り出す左右の爪の連撃を、ヴィアも左右の刀を振るって受け止める。魔鋼剣の刃を受け止めるだけの爪を持つ魔物など存在しただろうか。そんな疑問について考える余裕もない。

 ヴィアに対して右から振るわれた爪に、一歩奥へ踏み込むと共に身体を回転させ、左手の下弦の月で受け止める。そして、魔物に背を向けたのも一瞬、右手の上弦の月を魔物の腹部へと突き刺すように突き出した。

「――何っ!」

 刹那、魔物が右に跳んだ。

 ヴィアが受け止めた爪を強引に振るうようにして、爪で切り裂く力を、身体を持ち上げる力に変えたのだ。そうして、強引に身体を持ち上げて逃れたのである。強引な力技に思えるが、今の行動は咄嗟に動物的勘でできるものではない。

 何かが、通常の魔物とは違う。

 噴水の脇に着地した魔物に、ヴィアは構えを崩さずに様子を探る。

 柵の外では軍が報道陣を規制しているのが見えた。

「……次で仕留めるぞ、十六夜」

「あいよ」

 ヴィアの言葉に呼応し、左右の刃の刀身に刻まれた幾何学紋様に光が走る。

 その魔力を感知したのだろう、魔物が身体を震わせた。その行動の前兆を見逃さず、ヴィアは跳んだ。魔物がヴィアから逃れようと跳躍した方向へ、空中で交錯するような方角へ。

 左右の刃が白銀の輝きを帯び、ヴィアはそれを振るう。

 右下から左上へ、左下から右上へ、右から左へ、左から右へ、下から上へ。白銀の光が軌跡を刻み、その残像は魔物の身体に食い込んでいる。切り上げた右手を引き戻さず、その力の方向へ身体を少し持ち上げるようにすると、ヴィアは腰を捻り、空中で回し蹴りを放った。切り刻んだはずの魔物の顔面を蹴り飛ばし、柵に叩き付ける。

 柵に叩き付けられた瞬間、魔物の全身に切り傷が浮かび上がり、一斉に傷口が開いた。半透明な、白色の体液を撒き散らし、魔物が絶命する。その様は、通常の魔物の血液と違う色の血液を撒き散らした事もあって、異様な光景だった。

「何なんだ、こいつは……」

 少し乱れた呼吸を整え、ヴィアは柵の傍に駆け寄ってくる軍人のもとへ向かった。

「何がどうなってる。魔物はこいつだけか?」

「い、いえ、後二体いるとの事ですが……」

 ヴィアの問いに、一人の軍人が慌てて答えた。

「何……!? 他の二体は!?」

「共に追跡していましたが、この屋敷の正面でそれぞれ散ったのを目撃しました」

 横合いからやってきた別の男がヴィアに敬礼し、言った。ヴィア自身にその男の見覚えはないが、便利屋として知っているという事だろう。軍からの依頼もいくつか経験がある。

「散っただと?」

「はい、ここを中心にやや広範囲に包囲していますが、その包囲網に引っ掛かったという情報はまだありません」

 ヴィアの言葉に、男は答えた。

 追跡の段階で、広く包囲するように部隊を配置していたらしい。それを狭めつつ追い詰めていたらしいのだが、この屋敷の周囲で個別に散った後、包囲網に触れていないとの事だ。つまり、屋敷の周囲にいるか、屋敷内に侵入されている。

「――まずい!」

 気配を感じ、言うが早いか、ヴィアは背後へ振り返った。

 見れば、ルーパスとフェリアルのいるテラスに、屋根から飛び降りた魔物が着地しようとしていた。二人はいきなりの事に、目を剥いているだけだ。

 だが、その直後銃声が響き渡り、魔物が横へと吹き飛ばされた。

「緊急の依頼って嫌いなのよね……」

 見れば、魔動車の一種であるバイクに跨り、両手に魔工銃を構えた女性がいた。

「久しぶりね、ウルフ!」

「キャット……!?」

 ヘルメットを取り、言葉を投げる女性の顔を見てヴィアは思わず呟いていた。

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