AIの開発規制は非常に難しいけど、実は意外に簡単かもしれません
何処まで信じれば良いのだろう?
AIの研究者達が、このような警鐘を鳴らしているのだそうだ。
『――AIが10%以上の確率で人類を滅ぼす可能性がある』
それはニュース番組によって報じられていて、僕はその内容に驚いてしまった。
ただ、それだけなら、それほど驚かない。以前から似たような話は偶に聞いているし。だけど、そのニュースでは、“AI自身が新たなAIの開発を行う”と説明していたのだ。しかも、それによって、AIの進化速度が飛躍的に上昇する、と。その技術は、シンギュラリティを起こし得ると以前から言われていたものだけど、まだ実現はしていなかったはずだ。
「既に実用化していたのか? 本当に?」
と、疑問に思った僕は、だから、調べてみたのだけど、どうやらまだ実現はしていないらしい。AIの開発者は、「もし、その技術が開発されたら」という態で話していたのをニュースでは伝えていなかったのだ。まったく、ニュースなどいい加減なものだと思う。
ただし、多くのAI開発企業が、「AIをコントロールする手段を持つべきだ」と主張している点は事実で、その為には国際的な基準作りが求められる事になる。……そして、もちろん、AI開発を規制する事も。
「まあ、開発の規制は難しいだろうな」
それが僕の感想だった。
理由は単純だ。AI開発はただ行われているのじゃなくて、競争し合っているからだ。仮にアメリカで規制を行って、中国で自由に開発できるとなってしまったのなら、中国がAI開発競争に勝ってしまう。だから、アメリカはAI開発を規制する訳にはいかない。もちろん、中国から観てもこれは同じだ。
つまり、AI開発規制をする為には、世界中の企業がそれに合意しなくてはならないのだ。もちろん、その為には国々の間に信頼関係がなければいけない。そして、まあ、信頼関係なんてものはまったく築けてはいないのである。難しいと考えるのは当然だろう。
――ところがだ。
ある日、中国とアメリカ、その他国々もAI開発規制に合意をしたのだった。
“人類全体を危険にさらす訳にはいかない”
というのが表向きの理由。でも、もちろん、本当の理由は違うだろう。
とあるAIが暴走したのか、または悪意(或いは善意)ある何者かがそのAIに指示を出しのたのかは不明なのだが、AIによって中国共産党とアメリカの政治家や官僚達の悪事の数々が曝露されてしまったのである。
しかも大量に。
もちろん、彼らはフェイクニュースだと主張したが、誤魔化し切れてはいなかった。両国の国民が不満を爆発させる中、彼らは「これでは堪らない。AIをコントロールする技術が進歩するまでは、AIの開発を抑制しなければ」と考えたのだと思われる。
中国とアメリカのトップが握手を交わすシーンと共に合意締結のニュースが流れている。笑顔だ。僕はそれを眺めながら、
「……日本の政治家や官僚の悪事をバラしてからにしてくれれば良かったのに」
なんて事を思っていた。
惜しい。




