沈みゆく大地に
世界が静かに崩れ去っていく中で、僕たちにできることはあまりにも少なかった。
止まらない地鳴りと、狭まり続ける足場。逃げ場のない破滅を前に、ただ隣にいる誰かと短い言葉を交わす。
これは、終わりゆく大地の上で紡がれた、ささやかで確かな最後の記憶の記録です。
地盤は沈下し続けていた。もうそれを止める術はないように思われた。
僕ら どうなってしまうんだろう━━
わからない なるようにしかならない━━
随分と楽観論者なんだね━━
そうでもない━━
静かな絶望が漂う空間で、二人の対話は淡々と続いていった。地表から伝わる振動と地鳴りは、破滅へのカウントダウンのように刻一刻と大きくなっていく。
「楽観的にでも考えてないと、足元から崩れていく感覚に飲み込まれそうになるからさ」
男はそう言って苦笑いを浮かべ、ゆっくりと膝を抱え直した。見上げれば、遠くの建造物が斜めに傾き、夜空の星々が歪んで見えている。
崩壊の現実: 逃げ場のない狭まり続ける土地で、残された時間は残りわずかだった。
残された選択: 抗うか、受け入れるか、ただその瞬間を誰かと共有するか。
「……そっか。強がりだったんだね」
「まあね。でも、君が隣にいてくれてよかったよ」
二人を乗せた土地がゆっくりと、しかし確実に沈み込んでいく中で、それ以上の言葉は必要なかった。ただ互いの体温だけが、闇の中で確かな現実として残っていた。
静寂と崩壊が背中合わせに存在する、美しくも切ない世界の切り取りを目指しました。
抗えない大きな終わりの前で、人はどれほど無力で、同時にどれほど誰かの温もりに救われるのか。絶望の中で静かに重なり合う二人の呼吸や体温が、読んでくださった方の心に少しでも残れば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。




