仲間の悩みを解決し隊
最近、なんだか3人の様子がおかしい。
ティアとは普通に話せているものの、どこか冷たい視線を感じることがあるし、サナに至っては目が合うとスッと逸らされることが増えた。ユーニに至ってはいつも元気だけど、以前よりどこか落ち着きがないような気もする。
「……僕、何かしたのかな……」
考えてもわからず、モヤモヤが晴れない僕は、偶然廊下で出会ったキールとリサに相談してみた。
「女の子の機嫌が悪い? ふむ、それは重大な問題だな」 「……ハルトくん、それたぶんね、放っておいたら爆発するやつだよ?」
まるで爆弾処理班みたいな言い方だった。
「オシャレなとことか、楽しいところに連れてってさ、気分転換させてあげれば?」 「うんうん。デートっぽい雰囲気にしてみたら、ちょっとは柔らかくなるかもよ」
「デートっぽい雰囲気……?」
ふたりの助言に背中を押されて、僕は次の休日、思いきって3人を誘うことにした。
──が、問題が起きた。
タイミングが悪く、3人が揃っている場面がなかった。
「ティア、次の休日なんだけど……よかったら一緒に街に行かない?」
「……え? う、うん。いいけど……あんたがわたしを誘うなんて、珍しいわね。ふ、ふーん……」
なんだかちょっと照れながら、でも嬉しそうにうなずくティア。
──そして、その数時間後。
「ユーニ、次の休日さ、よかったら一緒に出かけない?」
「えっ!? ほ、ほんとに!? やったー! デ、デートってことだよね!? 違うの!? いや違ってもいいけど……いややっぱ違わないで欲しいな!? うひゃー!」
喜びすぎて言葉がぐちゃぐちゃになってるユーニ。でも断られなかった。
──さらにその夜。
「サナ、次の休日、出かけない?」
「……ふふ、いいよ。予定、空けておくね」
にっこりと微笑むサナ。その目には、どこか企みめいた光が混じっていたけれど──僕は気づいていなかった。
……ひとつだけ、僕がやらかしてしまったことがある。
3人それぞれに声をかけたのはいいけれど、「4人で出かける」ってことを、言い忘れていた。
まあ、みんなで遊んだ方が楽しいし、問題ないでしょ!
◆ ◆ ◆
デート前日。
寮のそれぞれの部屋では、3人の少女たちが、全く同じ悩みと興奮に胸を高鳴らせていた。
「……あのハルトが、わたしを誘ってくれるなんて……まさか……」 ティアは鏡の前で髪を整えながら、そっと口角を上げた。
「デート、だよね……? じゃなかったら、こんなにドキドキしないはず……」 ユーニはベッドの上で服を並べ、どれが一番可愛いか真剣に悩んでいた。
「……私だけを誘ったってことは……やっぱり、ユーニちゃんからハルトくんを遠ざけたのが良かったのかな……」 サナは鏡に映る自分の顔を見つめ、ほんの少しだけ頬を赤らめていた。
3人それぞれが、自分だけの“特別な日”が来ると信じていた。
そんなこととはつゆ知らず、僕はというと──
「みんなで仲良く出かければ、きっと元気になってくれるよね!」
明るく前向きに、トラブルの火種に油を注いでいたのだった。
──そして、嵐の休日が幕を開ける。




