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サナの脅迫?

昼下がりの学園中庭。僕は、ユーニと一緒に花壇の手入れをしていた。トーナメントの熱気が落ち着いたとはいえ、学園はまだどこか騒がしく、でもそれが心地よかった。


「それでね、ここの花、風の流れを変えてやると元気になるの! すごいでしょ?」


「へえ……知らなかった。ユーニって、こういうの詳しいんだね」


「えへへ、任せてよ! 風のことならプロだから!」


いつものように元気なユーニの隣で、僕は少しだけ頬を緩めた。


──が、少し離れた木陰からその様子をじっと見つめる視線があったことに、僕は気づいていなかった。


◆ ◆ ◆


「……ハルトくん。ちょっと、いいかな?」


その日の放課後、帰り道の寮の廊下で、サナが僕に声をかけてきた。


「え? うん、どうかした?」


いつもより声が低い。目も笑っていない。


「最近、ユーニちゃんと仲がいいよね?」


「う、うん……まあ、チーム一緒だし……」


「…………」


サナの目が細くなった。


「……ねぇ、覚えてるよね? わたしが前に言ったこと」


「え……」


「ユーニちゃんのこと、好きになったらどうなるか……って」


僕は一気に背筋が冷たくなった。


「な、なにか誤解してるんじゃないかな……? 僕とユーニはそういうんじゃ──」


「だったら……証明して」


「え?」


「……ユーニちゃんに、“幻滅”されて。そしたら、もう変な気持ちなんて持たれないと思うの」


「えぇぇぇ!?」


◆ ◆ ◆


翌日、僕は“命じられた任務”を実行することになった。


「ね、ハルト! そこの植木鉢取ってくれる?」


「う、うん!」


ユーニの頼みに応じて、僕は足元にあった小さな石につまづいた。


「うわぁっ!」


バランスを崩して、そのまま頭から植木鉢に突っ込み、土をかぶった。


「……ハルト!? だ、大丈夫!?」


「うう……だ、だいじょうぶ……です……」


必死にヘッポコさをアピールする僕。でも──


「……ふふっ。なんだかハルトって、ちょっと天然よね。でも、そこが面白いっていうか……なんか安心する!」


(え……これ……ダメじゃない!?)


僕の“幻滅作戦”は、まったく効果がなかった。


──少し離れた場所から、それを見つめていたサナ。


背後に誰もいないことを確かめると、ため息をつき、そっと呟いた。


「……ほんとに、ユーニちゃん……ハルトくんのこと、気になってるんだ」


ユーニが楽しそうに笑う姿。ハルトが困りながらも、それに付き合う姿。


そのふたりのやり取りが、どうしようもなく胸をチクチクさせた。


「……はぁ、なんでこんなに気になっちゃうんだろ……」


その瞬間、ふっとサナの表情が曇る。


「…………わたし、もしかして……ハルトくんのこと……」


気づきたくなかった。でも、気づいてしまった。


それは、静かで、でも確かに熱を持った感情だった。


(ユーニちゃんと、ハルトくんがくっつくの……やだ)


(──どうして、こんなにイヤなんだろう)


そっと胸に手を当てるサナ。鼓動が、やけにうるさかった。


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