迫りくる大地の猛威!護れ、仲間の努力
歓声が天を衝く。
学園中の視線が、今この場に注がれていた。
ついに始まる、Dカップグループ vs ハルトたちBカップチームの大将戦。
「大将戦、ハルト=不明者 vs キール=バリオット!──開始!」
審判の合図が響くと同時に、観客席からはどよめきが広がった。
ハルトが大将……? という声があちこちから聞こえてくる。
無理もない。彼はこれまで、一度も公式戦に姿を見せていなかったのだ。
「……さあて、どんな芸を見せてくれるのか、楽しみにしてるぜ」
キール=バリオットはニヤリと笑いながら、拳を鳴らした。
一方のハルトは、静かに深く息を吸った。
(ティアが……サナが……ユーニが……僕のために、みんなが戦ってくれた。
だから今度は僕が、みんなの努力を護るんだ)
観客席の隅、シルバーの眼鏡が月光を跳ね返すようにきらりと光る。
ザカリー=バルハンクは腕を組み、静かにその場に立っていた。
「……さて、お前はどう“護る”のか。見せてみろ、ハルト」
彼の眼差しは、淡々としていながらも、どこか期待を孕んでいた。
---
キールが先に動いた。
「悪いが、先手はもらうぜ!」
拳を地面に叩きつけると、土の波動が足元から奔り、複数の岩塊が蛇のようにうねって突進してくる。
「シールド・エリア!」
ハルトは即座に反応し、前方に複数枚の魔力障壁を展開。
――ゴゴゴンッ!
土の波がシールドに激突し、火花のように土塊が四散する。
「……おおっ!」
観客席から歓声が上がった。
シールドの展開速度が明らかに以前より早く、精度も高まっていた。
「やるじゃねぇか、ハルト」
キールはニヤリと口の端を吊り上げる。
「だがな……どこまで耐えられる?」
キールの手のひらが地面を指すと、そこからいくつもの尖った石槍が一斉に噴き出した。
(真下から!?)
「シールド・ドーム!」
ハルトは瞬時にイメージを切り替え、自身を包むように半球状の障壁を張る。
バシュッ! バシュバシュッ!!
石槍がシールドを貫こうと連続で突き刺さる。ドームの表面がひび割れていくたび、ハルトは新たな魔力で補強する。
「この程度……まだ耐えられるっ!」
歯を食いしばりながら、必死に押し返すハルト。
(やっぱり……シールド魔法は、守るだけじゃなくて、支えるんだ……!)
だが、次の瞬間。
「甘いぜ」
地面が急激に隆起し、ドーム全体が持ち上げられた。
ハルトがバランスを崩したその一瞬、キールは岩壁のような拳を放つ!
「シールド・インパクト!!」
ハルトは咄嗟に拳と拳をぶつけ合うように、前方に薄く展開したシールドをぶつけ返す。
ドゴォッ!!
会場が揺れるような衝撃音とともに、土煙が舞い上がった。
---
「……今の、互角に!?」
ユーニが驚きの声を上げる。
「…やるわね……あいつ」
ベンチに横たわりながら、ティアもその場を見守っていた。
「……でも、無理はしてる。魔力の消耗が激しそう」
三将戦から回復してきたサナが心配そうに見つめる。
観客席のザカリーも静かに呟いた。
(お前の“イメージ”は、まだ未完成だ。……だが、そこに光があるかは俺にも分からん)
---
土煙が晴れる。
ハルトの呼吸は乱れているが、まだ立っていた。
「はぁっ……はぁっ……」
キールも少しだけ顔をしかめていた。
「なんだよ、お前……想像してたより、ずっとやるじゃねぇか」
「……僕は、みんなの想いを背負ってる。……だから、負けるわけにはいかないんだ」
ハルトの瞳に宿るのは、揺るがない信念。
キールはそれを見て、不敵に笑う。
「その目だよ。戦う奴は、そうじゃなきゃな」
そしてふたりは、再び構えた。
地を砕く大地の猛威と、すべてを護ろうとする盾が、再び激突しようとしていた。




