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Bカップへの進級!気になる心

イレギュラーとの激戦から数日後。

ハルトはまだ、自分の中でうまく整理のつかない感情と向き合っていた。初めて発動したシールド魔法。

仲間を守りたいという強い想いが導いた奇跡のような魔法だったが、その代償として体はしばらく動かなかった。


そんな中、学園からの呼び出しが届いたのは、ちょうどティアと朝食を食べていたときのことだった。


「ハルト=不明者、ティア=クラヴィア。実習での活躍が認められ、Bカップへの進級が決定しました」


入学試験ぶりに対面するマリエ・エルディア試験官の簡潔な言葉に、一瞬思考が止まった。

ティアも驚いた表情を浮かべていたが、すぐに小さく笑った。


「……ま、当然といえば当然ね。私たち、ちゃんとやったんだから」


ハルトも、じんわりと湧き上がる嬉しさを噛み締めながら頷いた。

実習中に見せたユーニやサナの信頼。彼女たちの進言も後押しとなったことは、マリエからさりげなく伝えられていた。



---


◆新しい日常、Bカップの世界


Bカップへの進級により、学園内での待遇は明らかに変わった。

施設は広く清潔で、訓練設備も高性能なものにアップグレードされていた。

寮も個室が与えられ、自由時間が増えた分、自主的な勉学と訓練が重視されているのがわかる。


ザカリーとの特訓も続いていた。無属性の扱いに加え、彼からは実戦での「考える力」を鍛えられている。

ハルトは、あの異常個体との戦いを思い返しながら、戦う意味や自分の弱さを噛み締める日々を送っていた。


その一方で──


「ハルト、今日も一緒に訓練ついていくからね!」


ユーニが満面の笑みで飛びついてくる。風の魔法適性を持つ彼女は、Bカップでもトップクラスの実力者だった。

ハルトは彼女の勢いにやや圧倒されながらも、振り回されつつ日々を楽しんでいた。


「ユーニ……ちょっとハルトにくっつきすぎじゃないの?」


ティアの声は静かだったが、どこかトゲがあった。

ハルトはそれに気づきながらも、言葉にはしなかった。少しだけ、ティアの目が自分を追っている気がした。



---


◆静かな誘い


ある日の放課後、ハルトが中庭で読書をしていると、そっと近づいてくる気配があった。

振り返ると、そこにいたのは控えめな笑顔のサナだった。


「……あの、ハルトくん。ちょっと、いいかな?」


彼女は普段よりも緊張した様子だったが、目はまっすぐにハルトを見つめていた。


「え、うん。なにかあった?」


「その……実習のとき、お礼もちゃんと言えなかったし……。それで、もしよかったら、今度の休日……街に、一緒に行かない?」


不意に差し込む夕日が、サナの頬をほんのり赤く染めた。


ハルトの心臓が、少しだけ速くなった気がした。


「うん。……もちろん、いいよ」


そう返すと、サナはほっと安堵したように笑った。


それは、ただの“カップリングパートナーの友人”ではなく、

少しだけ“個人としての好意”を感じさせるような笑顔だった。


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