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ballare!  作者: ポメ
8/18

試作品

「だめか~」

これで50回目だ・・・僕の疲れはピークに達していた・・。左手マシンは「何か?私のせいではありません」と言わんばかりにすまして静止している。


 あの日、お兄ちゃんの部屋から出た後、僕は自分のスマホの検索画面に例のアドレスを入力してみた。するとパソコンの時と同じように入力画面が立ち上がったので、ロボットキーを入力したら、スマホと左手マシンを連動することができた。

 

後は材料だった。僕はまず図書館へ行き、物を作るためのいろんな素材についての本を探して読み漁った。ロボットから貰った言語能力があるので、世界中の本を読むことができた。言語能力は本当に素晴らしかった。ヒアリングだけでなく、視覚で理解することも可能で、もちろん読み書きも瞬時に行うことができた。

 それから僕はお父さんの会社の倉庫へ行き、例のうず高く積み上げられた金属のお山から、部品を少し拝借した。その他の素材集めには苦労した。僕は工場や倉庫を探し回り、燃えないゴミの日には、捨てられているゴミを漁り、必要であれば廃品回収業者を訪ねたりもした。僕のあだ名は「変態」から「カラス」に変わった。

 

 「次で51回目か・・・」

 半径50cm以内に先ほど失敗したものを置き直し、左手マッスル君を起動させる。

 僕は少し考えると、スマホで例の入力画面に文章を打ち込んだ。入力と同時に左手マッスル君は、半径50㎝以内にある材料を手探りで確認する。

 

 すると画面が切り替わり

"Preparation is complete."

"How many will you make?"


準備が完了しました。いくつ作りますか?と出てきた。数を1個と入力し、OKを入力する。何度も同じ作業をして、僕は疲れ果てていた。疲れを知らない左手マッスルは指令を受けると即座に動き出し、先ほど作成した失敗品を一つ一つ分解し始めた。それを各素材ごとに仕分ける。そしてウイーンという音と共にマッスル君は発熱し、目の前の金属をほどよく溶かし、一つの塊にまとめる。そして、まるで粘土のように扱うと、あっという間に形を作った。

 最初にそれを見たときは本当に面白かった。僕に心があったら心臓が跳ね上がっていたかもしれない。マッスル君は、その作業をいろいろな素材で繰り返し、必要であれば冷却機能も発揮して、最終的に製品を完成させた。僕はすかさず出来上がりを見る。

「おお~」

今度こそ、いいかもしれない。

「よくやった!」

とマッスル君を見ると、余裕のポーズで静止していた。


僕の発案した

「クックポン」(試作品)の完成だった。


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