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ballare!  作者: ポメ
12/18

ノーリスクハイリターン

僕は中学生になって、友達と呼べるような子が出来た。その子は”ともじゅん”とみんなから呼ばれていた。ともじゅんとは興味のあることが似ていて、話が合った。僕たちはいつのまにか一緒にいるようになり、周りからも「あいつら仲いいよな」と友達として認定されていた。ある日、試しに、ともじゅんに万能計算機を使ってみたら、


得する確率0% 

損する確率12% 


という結果だった。僕はその時から、ともじゅんを避けるようになった。得しない奴とつきあっても時間の無駄だと思った。ともじゅんはいきなり僕に避けられて、とまどっているようだった。僕に突然避けられた理由を彼が知ることは一生無いだろう。


 有限会社ハマテツは倒産の危機を乗り越えたようだったが、クックポンは発売と同時に販売停止となった。マッスル以外、誰も作ることはできないのだろう。クックポンは世界で526台しか存在しない、まぼろしの限定商品となった。

 マッスルはしばらく押し入れに封印することにした。お兄ちゃんが嗅ぎつけたからだ。ある日僕の部屋にお兄ちゃんが来て、「ロボットキーってなんだ?」と言った。きっとパソコンに履歴が残ってしまっていたのかもしれない。僕が「え、知らない」と答えると、お兄ちゃんは僕の顔をジロジロ見て「ふーん、わかった」と言って去っていった。僕はきっと、一生、ウソ発見器には引っ掛からないだろう。


 ある日学校から帰ってきたら、うちにお母さんがいた。そういえば事務員さんを雇ったとか言っていた。時間に余裕ができたのだろう。めずらしく料理を作ったようで、

「のぼる、夕飯作ったから一緒に食べよ」

と言われたが、僕は匂いのしないカレーを食べてから、何となく食事と言うものに興味が無くなってしまっていた。夕飯も弁当ではなく、固形の栄養食やドリンクで済ませていた。食事は面倒だし、必要な栄養とカロリーが取れればそれで良かった。僕が断ると、お母さんは残念そうな顔をしたが、だからと言って食べてあげようという心が僕には既になかった。あんなに求めていた家庭料理だったのに、皮肉なもんだ。

「忙しいお母さんのためにクックポンを作ってくれたの?」

と言われた。僕は面倒くさかったので

「うん」

と心にもない一言を言った。本当に心が無いんだから仕方ない。


 僕が高校生の時、お兄ちゃんが有限会社ハマテツで働きだした。いずれ社長になるつもりだろう。お父さんの下で修業しているみたいだった。僕は相変わらず、万能計算機で損得を計算し、何か選択に困った時も万能計算機に頼っていた。得する人間としか付き合わなかったし、無駄なこともしない生活を送っていた。


 大学に入った僕は、ロボット工学を専攻した。小学生の時、ロボットに聞きたいことが山ほどあって、何度も公園に足を運んだのに、二度と会うことができなかったからなのかもしれない。幸い、僕は言語能力があったので、読書に困ることが無かった。世界中の本をスイスイ読むことができた。よく本を読んでいたので僕が言語能力を使っても変に思われるようなことはなかった。周りからは読書をして言語を学んでいるように見えていたのかもしれない。


 大学3年生になった頃だった。お父さんが大事な話があるからと、僕の部屋に来て、こう言った。


「社長になってくれないか」

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