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第97話 『フクロウ警部と仲間達』

参上! 怪盗イタッチ




第97話

『フクロウ警部と仲間達』





「ネコ刑事、天月刑事。二人ともよく無事で戻ってきてくれた」


 警視庁にある小さな会議室。そこでフクロウ警部はネコ刑事とコン刑事の二人と向かい合っていた。




 ネコ刑事とコン刑事はフクロウ警部の命令を無視して、イタッチ逮捕のために現場に向かった。その現場の責任者であるゲンゴロウの許可と、イタッチ逮捕の功績が認められて、命令違反は帳消しにしてもらえた。




 イタッチ逮捕という功績があるのだが、ネコ刑事とコン刑事の表情は暗い。それは仲間であるフクロウ警部の命令を無視してしまった後悔からであった。


「警部……」


 ネコ刑事とコン刑事は同時に頭を下げる。


「「ごめんなさい!! フクロウ警部!!」」


 そしてフクロウ警部に謝罪する。


「どうしたんだ二人とも……。君達はイタッチ逮捕に全力を注いだ。それだけじゃないか」


 フクロウ警部は二人に微笑みながら答える。しかし、ネコ刑事は


「いえ、僕達は警部の言葉を無視してしまったんです。そして警部に心配をかけてしまった……」


 イタッチだけでなく、今回はマンデリンも現れた。ネコ刑事とコン刑事は怪我を負わずに済んだが、ゲンゴロウは大怪我を負い、今も病院で寝ている。


 フクロウ警部は羽の先を拳を握るように丸める。そしてその羽で二人の頭をコツンと叩いた。


「ああ、心配したさ。二人は俺の大事な部下だからな。だから今ので君達のことは許す」


「警部?」


 フクロウ警部は二人を優しく抱きしめる。そして優しく二人に告げた。


「君達は俺の代わりに頑張ってくれたんだろ。なら、許してやるさ」


「「警部!!」」


「さて、過去は過去、今は今だ。過去のことを振り返っているよりも今のことの方が大事だ。二人の覚悟は分かった……なら、俺についてきてくれるな」


「「はい!! どこまでも!!」」


「うむ!」


 フクロウ警部は二人から離れると、部屋の奥にある窓へと向かう。カーテンを開けて外を見ると、空に巨大な何かが飛んでいた。

 中央にヤギの顔をした球体のものがあり、それを囲むようにドーナツ状のリングがいくつも回っている。この不思議な飛行物体はイタッチを逮捕してすぐに都内に現れた。


 ヤギのデザインからしてマンデリンのアジトなのだろう。

 空を飛ぶ飛行船は海から現れて、周囲の建物を破壊しながら都内を巡回している。


 フクロウ警部はそんな空を飛ぶマンデリンのアジトを見ながら、


「俺はあそこに行こうと考えてる……」


「はい! ついていき……え!? あそこに乗り込むつもりですか!?」


 フクロウ警部の言葉に二人は驚く。


「なんでっすか!? アタシ達だけじゃあんなのどうしようもないっすよ!?」


「それでも行く。二人も俺がいない中、イタッチと戦ったんだ。…………だが、俺一人じゃな。……手伝ってくれるか?」


「「…………もちろん!!」」





 フクロウ警部とその部下二人が覚悟を決めた頃。彼らの上空を戦闘機が通過していた。





 ⭐︎⭐︎⭐︎




「隊長、目標が見えました」


 五台の戦闘機が上空を飛び、飛行物体へと向かっていた。


「我々だけで大丈夫でしょうか?」


 戦闘機を操縦しながら、先頭の戦闘機に乗っている隊長に一人の隊員が尋ねる。


「間違えるなよ、カンガルー。我々しか奴らに対抗できるものはいない。各国から選抜された空中戦特化の部隊である俺達、セイレイが奴らに鉄槌を下すのだ!!!!」


「「「「はい!」」」」


 マンデリンのアジトに向かう五台の戦闘機。彼らはセイレイと呼ばれる空中戦特化の戦闘部隊だ。

 隊長であるオニヤンマのヴィンス・ハスラーは、現役のパイロットの中で撃墜数が多く。狙った標的は三分以内に撃ち落とすほどの実力者だ。

 その他の四人のメンバーもエリートパイロットである。


「はははぁ!! どうやってあれだけでかい空中戦を手に入れたのかは分からんが、俺達がいる時代に空を飛んでるのは運が悪かったな!!」


「そうだぜ!! 撃ち落としてやるぜ!!」


 戦闘機がさらに空中戦に近づき、隊長は部下達に指令を出す。


「カンガルーとワシは俺と共に右から攻める。シロクマとゾウリムシは左から攻撃しろ!!」


 戦闘機は二手に分かれる。それと同時に空中戦が動き始める。ヤギの顔の周りを飛んでいるリング状の飛行物体。そのリングの側面に筒状の砲台が現れて、戦闘機に向けて弾丸を撃ってくる。


「そう簡単には撃ち落とさせてくれないか……。お前ら、無事か?」


「「はい!!」」


 飛行船の反撃を避けながら戦闘機は飛行船へと近づいていく。


「撃て!!」


 戦闘機は飛行船に向けて攻撃を開始する。しかし、飛行船の攻撃は飛行船に当たる前に不思議なバリアに阻まれた。


「なに!?」


「なんですか、あれは!?」


「分からん。とにかく撃ち続けろ。どこかに突破法があるはずだ!」


 隊長の命令に従い、諦めずに攻撃を続けるが、不思議なバリアは飛行船を完璧に包み込んでおり、どこにも穴はない。


「隊長! 飛行船の上に人がいます!!」


「なに!?」


 戦闘機で飛行船の周囲を飛び回りながら攻撃をしていると、飛行船の上に人が立っている発見する。


「飛行船の上で立ってられる人間がいるだと!?」


 飛行船の上で仁王立ちしているのはアーベルトリス。しかし、身体の半分以上が金属に包まれたまるでサイボーグのような身体をしていた。


 リスは片手を上げる。その手は金属でできており、筒状の形をしていた。


「何をする気なんだ、あのリス……」


 筒の先端が光ると、筒から光線が飛び出した。天高く飛んで行った光線は、雲を突き破った後分散して降り注ぐ。

 その光線は飛行船の周囲を飛ぶ戦闘機にぶつかると、爆散して戦闘機を一撃で撃墜した。


「カンガルー、ワシ、シロクマ、ゾウリムシ!!!! クソ、四機を一撃で打ち通すだと!? 化け物が!!」


 その光線により、隊長のヴィンス以外の戦闘機は破壊される。残ったヴィンス隊長は方向転換して飛行船から逃げようとする。

 しかし、リスは背を向けた戦闘機に筒を向ける。


 リスの腕から光線が放たれて戦闘機を貫通。


「ぐ!? 俺たちが……やられるなんて!?」


 ヴィンスの乗っていた戦闘機は大爆発を起こして粉々に砕け散った。









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