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第96話 『イタッチvsオタリオン』

参上! 怪盗イタッチ




第96話

『イタッチvsオタリオン』




 甲板でイタッチとオタリオンが向かい合う。


「作戦を考える時間もくれないか。少しは手加減してくれても良いんじゃないか?」


 オタリオンはため息を吐きながらイタッチに呟く。


「俺は怪盗だ。格闘家やヒーローじゃないんだ。そんな時間はあげないぜ」


「そうか、分かったよ。なら、正面から爆破するまでさ!!」


 オタリオンは白衣の内ポケットからカプセルを取り出すと、それをイタッチに向けて投げる。

 イタッチは高くジャンプしてカプセルを避ける。


「空中に避けた!? だが、それなら避けられないよ!!」


 オタリオンはジャンプをして空中を飛んでいるイタッチに向けてカプセルを追加で投げる。イタッチはカプセルが飛んでくる中、そのままカプセルの群れの中へと飛び込む。


「…………自分から爆破されに行った?」


 オタリオンはイタッチの行動に恐怖を感じる。イタッチの行動が怖いというよりも、自身の手で人を爆破する恐怖だ。

 すでに何度も汚れた手であるが、それでも爆炎の中に人が消えていく感覚を忘れたことはない。


 カプセルが爆発して、イタッチが爆炎の中に飲み込まれる。花火のように破裂して、炎が渦を巻く爆炎を見て、オタリオンは勝利を確信した。


「俺の……勝ちか」


 しかし、まだ終わってはいなかった。爆炎の中から人影が飛び出す。炎を纏いながらも剣を振り上げ、オタリオンに向かって落下してきていた。


「バカな……イタッチ!?」


 火傷を負い、傷だらけになりながらもイタッチは爆発に耐えた。


「はぁはぁ、予告するぜ。お前は俺に負ける!!!!」


「ぐ……」


 イタッチは落下しながらオタリオンに燃える剣を振り下ろした。


「ぐっ……グハァ!?」


 オタリオンの身体を切り裂き、イタッチは地面に着地する。イタッチを包んでいた火が消え、イタッチとオタリオンは同時に膝をつく。


 お互い多くなダメージを負った。引き分けかのように思われたが、先にオタリオンが倒れた。


「はぁはぁ、俺の負けだ。イタッチ……予告通りだ……」


「ああ、俺は怪盗だからな。予告通りに勝利を盗むさ……」


 倒れたオタリオンをイタッチは見下す。


「この船を爆破できるリモコンを出してもらおうか」


 イタッチが言うと、オタリオンは震える手でリモコンを取り出した。


「やるよ。どうせ俺にこれを使う度胸はない……」


 そしてリモコンをイタッチに渡す。リモコンを受け取ったイタッチはリモコンを海へと投げ捨てた。ぽちゃりと音を立ててリモコンは海底へと沈む。


「俺も使わないさ」


 イタッチがリモコンを捨てたのを見て、オタリオンはゆっくりと目を閉じた。


「……マンデリンを止めて、未来を変えてみせるんだな。君ならそれができるかもしれない」


「ああ、やってみせるさ」





 その後、イタッチは折り紙を使い空を飛んで船から脱出。オタリオンは遅れてやってきた看守達に確保された。





 ⭐︎⭐︎⭐︎




 とある街にある三階建てのビル。そこの一階にはイタチの経営する喫茶店がある。しかし、その喫茶店はここ数日間閉まっていた。

 そんな喫茶店にある人物が帰ってくる。


「ただいま……」


 イタチが戻ると、店のカウンターにはパソコンを操作しているアンが座っていた。頭には冷えピタを張り、ヘッドフォンをして集中している。

 イタチが帰ってきたのにも気づいていない様子だった。

 そんなアンであるが、ふと身体が傾き倒れそうになる。


「あ…………」


 椅子から落ちそうになったアンだが、イタチがギリギリのところで手を差し伸ばしてアンを支えた。


「危ないな……疲れてるんなら休めよ」


「……イタッチさん…………イタッチさん!!!!」


 アンは椅子からジャンプしてイタッチに抱きつく。抱きつかれたイタッチもアンを優しく受け止めた。


「良かった、無事だったんですね!!」


「俺がそう簡単にやられるかよ。……心配かけたな」


「ほんと、……心配しましたよ!!」


 涙は流さないが身体を震えさせるアンを、イタッチは撫でて宥める。

 アンが落ち着いたのを確認して、イタッチは現状についてアンに質問した。


「ダッチはどうしてる?」


「それが……ダッチさんは…………」





 ダッチと連絡が取れなくなったのは、ダッチが海底の施設に潜入してマンデリンと遭遇してからだ。

 マンデリンと会話をしてその目的について話を聞いた後、マンデリンは姿を消した。その後、ダッチとの連絡が取れなくなった。





「まだ帰ってきてないです」


「そうか……」


 ダッチがまだ戻ってきていない。そうなると考えられる可能性は敵に捕まったというパターンだ。

 マンデリンもイタッチが脱獄する可能性は考えているだろう。そうなると、ダッチを人質としてイタッチを誘き出そうとすることも考えられる。


「……やれやれ、手のかかる相棒だ…………。それでマンデリンはどうなったか分かるか?」


「はい。マンデリンの動向は掴めています。というよりもイタッチさんを倒してから堂々と動き始めました……。上でニュースを見ましょう、そうすれば分かりやすいです!」









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