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第94話 『船内での戦闘』

参上! 怪盗イタッチ




第94話

『船内での戦闘』





 オタリオンから投げられたカプセルを扇風機で吹き飛ばしたイタッチ。そのまま距離を詰めようと、折り紙の剣を片手に走っていた。


「俺のカプセルをそんな方法で防ぐなんてね。でも、近づいたって俺には勝てない!!」


 オタリオンは踵を地面につけたまま、つま先でトントンと二回地面を叩く。

 そのリズムに反応してか、オタリオンは靴が変形する。足を守るように鋼の盾が出てきた後、つま先に筒状の棒が出てきてその先が爆発。

 オタリオンはその爆発の衝撃で後ろへと飛んだ。


「俺はこれを使うことで距離を取ることができ…………ぶべっ!?」


 つま先が爆発してオタリオンは後方へと飛んだが、靴が衝撃を受けて後ろに移動したため、足が先に移動しておいていかれた上半身は前方に倒れて、引きずられるように後ろに下がった。


「はぁはぁはぁ、まさかこんな……欠点があったなんて…………」


「大丈夫か?」


「…………」


 オタリオンは引きずられたことで少しダメージを受けた。それと顔を赤くして恥ずかしさから心にもダメージを受けた。


「ま、まぁ、これで一旦距離は取れた!!」


 オタリオンは開き直ると、立ち上がって白衣の中に手を入れる。


「さぁ、俺のカプセルはまだまだある!! 君を吹き飛ばしてやる!!」


 カプセル状の爆弾をイタッチに向けて投げつける。


「またそれか」


 イタッチは飛んでくるカプセルを避けながら、前に進んでいく。しかし、イタッチが爆弾を避けながら進むと同時に、オタリオンも後ろに下がりながら、近づかれないように離れる。


「その調子じゃいつまで経っても俺には近づけないよ」


 オタリオンは爆弾を投げながら、ニヤリと笑う。


「想像以上にダメージが残ってるのか……」


 普段のイタッチならば、爆弾を避けながらも距離を詰めることができただろう。左右に身を躱しながらも、自慢のスピードで接近する。

 しかし、イタッチはマンデリンとの戦いでのダメージがまだ残っていた。


 そのダメージがイタッチの想像以上に大きく、自慢のスピードを出すことができずにいた。それによりイタッチはオタリオンになかなか近づくことができない。


「このままじゃ、体力を削るだけか……」


 イタッチはオタリオンに近づくことは諦めて、新しい折り紙を取り出した。そして折り紙を折って武器を作る。


「完成!!」


 イタッチが作ったのは弓矢だ。赤い弓を手にして矢をオタリオンに向ける。


「これなら近づかなくても攻撃できる」


「ふむふむ、俺に近づくのは諦めて遠距離戦にしたのか。だが、そう来るならこうするだけだ!!」


 イタッチの弓矢を見たオタリオンは、爆弾を周囲にばら撒いた。

 周囲にカプセルが飛び散り、壁や床を破壊する。


「くっ、風で狙いが……」


 矢を放とうとしていたイタッチだが、爆風で狙いが定まらない。さらに爆発音に気づいた看守達が二人の位置に気づいて向かってくる。


「見つけたぞ!! 脱獄囚と侵入者だ!! 応援を呼べ!!」


 集まってきた看守達は槍を持ち、イタッチとオタリオンを囲む。


「囲まれちゃったねぇ、イタッチ」


「お前のせいだろうが……」


 看守に囲まれたというのに、ニヤリと笑い余裕の表情のオタリオン。

 そんなオタリオンの笑みを見て、イタッチは警戒を強めた。


「何かあるのか……?」


「ふふふ、こうなることも作戦のうちさ。俺は全てを計算してから君に会いにきたんだからな」


 そう言うと白衣の内ポケットから四角いリモコンを取り出した。テレビのリモコンと同じサイズだが、ボタンは少なくシンプルなデザインだ。

 オタリオンはそのリモコンをイタッチに見せつける。


「コイツはある爆弾の起動装置さ」


「ある爆弾……まさか!?」


「気づいたかい? そう、この刑務所に侵入した時、刑務所のあらゆるところに爆弾を仕掛けておいた。つまりこのリモコンで爆弾を起動させれば…………この船は沈没する!!」


 オタリオンの言葉を聞き、囲んでいた看守達は驚きで言葉を失う。


 この監獄は巨大な船だ。海に浮かぶ船を改造して刑務所にした施設である。そのため施設内で爆発が起こり、船が破壊されれば刑務所は海へと沈んでしまう。

 非常用のボートは用意されているが、爆発が起これば混乱が起こり、従業員や囚人の非難も難航するだろう。


 事態の危険さに気づいた看守の一人が声を上げる。


「そ、そのリモコンを取り上げろ」


 看守達が一斉にオタリオンに飛びかかろうとするが、オタリオンはリモコンを高く持ち上げて、リモコンを看守達にも見せつけた。


「止まれ、看守共!!」


「ッ…………」


 オタリオンがいつボタンを押すかわからない状況。看守達はオタリオンの行動に怯えて足を止めてしまう。


「このボタンを押せばどうなるかわかるよな。なら、大人しくしていてもらおうか」


 オタリオンは看守達を脅す。そして看守の動きを止めてから、イタッチと向き合った。


「怪盗イタッチ。君もこのリモコンがどういう意味かは分かっているよな。もしも動けばこの船は沈没する。その被害の大きさは簡単に想像できるだろう?」









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