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第79話 『マンデリンを探して』

参上! 怪盗イタッチ




第79話

『マンデリンを探して』



 ミシガルを撃破したダッチは、ミシガルを背負い水に使った部屋を脱出した。廊下でミシガルを寝かせて、ミシガルの懐にある解毒剤を奪い取る。


「やっぱり持ってやがったな……」


 ミシガルはもしもの時のために解毒剤を持っているのは予想できた。そのためミシガルを逃さないためにも、ミシガルを調子に乗らせる必要があった。計画通りにミシガルはダッチに接近して、ダッチの射程距離に入ったため倒すことができた。


 ダッチは解毒剤を飲み干し、刀を杖のようにして立ち上がる。


「おい、……これからどこへ行けば良い?」


 ダッチは無線の先にいるアンに話しかける。


「ダッチさん、もう少し休んだらどうです? まだ毒は完全に消えてないんですよ……」


 アンはダッチの体調を心配して、一度休むように説得を試みる。しかし、ダッチは止まらない。


「セキュリティカードは手に入れたんだ。これで奥に進める、こんなところで休めるかよ……。それに俺がここで倒れちゃァ、囮になった相棒に会えるかよ」


 ミシガルと戦ったのはセキュリティカードを手に入れるのが目的だった。セキュリティカードが手に入れば、この施設の奥へと進むことができる。

 そしてその先にダッチの目的がある。


 ダッチの声を聞き、アンは深くため息を吐く。


「はぁ、分かりました。でも、無理はしないでくださいよ」


 こうなるとダッチはなんて言うことを聞かない。だから、アンはダッチを止めることを諦めた。そしてある覚悟を決める。

 全力でダッチをサポートして、無事に帰って来させる。


「ありがとよ……。んじゃ、道案内頼むぜ……」


「はい。ではそこはまっすぐ進んでください」




 ダッチはアンの指示に従い、基地内を進んでいく。


 現在ダッチのいるのは海底に沈む施設だ。元々は水生生物の研究所であったが、それをマンデリンが買い取り、現在は基地閉じて活用している。

 施設内はマンデリンの手により、建物や設備が増えており、研究所であった頃の倍以上の広さになっている。


 そんな施設にダッチは単独で乗り込み、襲撃をしようとしていた。

 イタッチは美術館で目立つ行動をして、マンデリン達の意識を集めて、その隙にダッチが潜入する。それが今回の作戦だ。


 セキュリティカードを利用して扉を開いたダッチは、施設内の奥へと進んだ。パイプ状の形の通路を進んでいくと、一箇所ガラス張りになっている場所を発見する。


「アン。この先10メートルほどガラスだが、通って大丈夫か?」


 ダッチはアンに通路を通って大丈夫かの確認をする。


「今なら大丈夫です。行ってください!」


「おう」


 ダッチは通路を走っていると、ガラスの向こう側に見える景色に驚愕する。海底にある施設。その中央に巨大な建物が建築されていた。外から建物の形が見えないように布で隠されており、ビルよりも大きいということ以外は何も分からない。


 通路を通り終えたダッチは、先ほど見た光景をアンに伝える。


「アン。施設の中央にでっけぇ何かがあった。なんだありゃ?」


「う〜ん、私も分かりませんね。でも、マンデリンがこの施設を購入してから、定期的に資材が送られてますね……」


「そうか。まぁ分からないなら考えてもしょうがねぇな。どうせここで全員倒すんだ。それから話を聞けば良いだろう」


 ダッチは廊下を進んで、施設の一番奥にある会議室に辿り着いた。


「ここにマンデリンがいるのか?」


 ダッチは扉を開ける前にアンに確認する。アンは無線の先でパソコンを操作しながら返事をする。


「はい。映像にしっかり映っています。それに今はマンデリンさん以外いないみたいです。奇襲するなら今がチャンスです!!」


「サンキューな、アン。帰ったら飯でも食いに行こうぜ」


「はい! ハンバーグ食べたいです!!」


「おうよ!!」


 ダッチはアンに返事をしながら、会議室の扉を勢いよく開けた。長方形のテーブルが中央に置かれ、左右に10ずつ椅子の並べられた部屋。その部屋の奥にある椅子に一匹のヤギが座っていた。

 白い毛皮に、頭に生えたツノ。真っ白な髭を生やしたヤギは黒いコートに身を包んでいた。彼は椅子に座り足を組み、両手をテーブルに付いている。

 そして細い目でダッチのことを見つめる。


 ダッチは刀に手を置いて、サングラス越しにヤギを睨みつける。


「テメェがマンデリンか?」


 ダッチの問いかけにヤギは静かに頷いた。


「ああ、私がマンデリンだ」


 映像で見たマンデリンよりも直接見ると老けて見える。ライトのあたり加減や映像の解像度の問題だろう。

 マンデリンはモカの兄だ。しかし、モカの見た目の年齢のイメージよりも、マンデリンはだいぶ上に見える。歳の離れた兄弟ということだろうか。


 マンデリンは座ったまま、ダッチのことを下から上へと品定めするように眺める。


「君がダッチか。ふむふむ、ほどほどには鍛えられているようだ」


「あぁ? ほどほどだぁ? 言ってくれるじゃねぇか。テメェはこれから俺にやられるってのによぉ!!」


 ダッチが眉間にシワを寄せると、マンデリンはやれやれと深いため息を吐く。


「血の気の多い…………まぁ落ち着きなさい。そら、そこに座って話でもしようじゃないか」







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