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第75話 『奇襲作戦』

参上! 怪盗イタッチ




第75話

『奇襲作戦』




 日本海のとある海底。そこにはかつて海洋生物を研究するために作られた施設があった。パイプのような建物が繋がり合い、海底にドーナツ状に建築されている。

 しかし、その施設は予算の都合で使われなくなり、とある集団によって買い取られた。正式な目的は海底ケーブルを伸ばす拠点の一つということになっているが、実際に使われている理由は違う。

 ドーナツ状になっている施設から、パイプ状の新しい施設が伸ばされ、新しく塔のような建物がいくつも聳え、さらにドーナツの穴の部分には正方形のコンクリートで固められ、地中に作られた通路からしか入ることのできない建物が隠れている。


「ッチ。なんでアイツが囮で俺が奇襲なんだか」


 ダッチは文句を言いながら、ウェットスーツとボンベを捨てる。


 ダッチは陸地から船で途中まで進んだ後、敵にバレない位置から潜り、泳いで施設へと忍び込んだ。

 船はかなり遠くにあり、人間一人が泳いで近づくくらいであれば、バレることはないだろうと判断してこのような進入を行なった。


「アン。この先の道案内を頼めるか?」


 いつものスーツとサングラスを着用してから、ダッチは無線でアンに呼びかける。


「はい! 問題ないです!」


「そうか、頼むぜ。…………それと相棒は上手くやってるか?」


「先ほど美術館に侵入したみたいです。テレビもイタッチさんが現れたのに気付いたみたいで騒いでますね」


「そうか、なら、こっちはこっちでやることやらねぇとな」


 今現在、イタッチは美術館に侵入している。今回はイタッチが一人でお宝を狙うことになっている。

 イタッチがお宝を狙っている間に、ダッチとアンは別行動で他の仕事をする。


 それこそがマンデリンの基地へと侵入だ。


 イタッチは予告状を出すことで世間の注目を集めた。そして全ての目が予告状へ向かっている隙に、警視庁や各国の諜報機関など様々な組織にアクセスしてマンデリンに関する情報を集めた。

 そしてアンの頑張りもあり、マンデリンがこの海底施設を拠点にしていることを突き止めたのだ。

 マンデリンも情報を探られないように、ダミーの情報や隠蔽、偽装も行っていたため、この情報を手に入れるのに時間はかかった。だが、計画通りにイタッチが美術館に侵入している間に、ダッチが潜り込むことができた。


 ダッチはアンの道案内に従い、施設の中を進んでいく。施設内には監視カメラがあるが、ダッチが通路を通る瞬間だけ過去の映像をループさせることでダッチが侵入したことを隠す。


「アン、この扉……」


 順調に進んでいたダッチだが、ある扉の前で足を止める。その扉は今までのものとは違い、鍵がかけられており、セキュリティカードがなければ入れないようになっている。


 ダッチは刀を抜いて、扉を切って先に進もうとする。しかし、刀を構えたところでアンに止められた。


「待ってください! ダッチさん!」


「なんだ? アン」


「その扉ですが、かなり分厚いです。ダッチさんの腕でも破壊するのは不可能です」


 事前に基地の構造を調べていたアン。扉の硬さと太さから破壊は不可能だと伝える。それを聞き、ダッチは舌打ちをして刀をしまう。


「なら、さっさと開けてくれ」


 ダッチはアンに開けるように伝える。アンはすでにシステムに入り込み、基地内の機械はほとんど遠隔で操作できるようにしている。

 厳重にロックのかけられたものはまだ操作できないが、ダッチを侵入させるためにセキュリティはほとんど掌握していた。


「すみません、ダッチさん……。それがその扉は操作できないんです」


「んだよ、なんでだ?」


「マンデリンさん、私のことを警戒してるみたいで、ネットを利用しない物を用意しているみたいなんです。その扉もオフラインで動かしているようで、ネット状からじゃ操れないんです」


 アンはネットを使ってあらゆるシステムに入り込み操作することができる。そのため、アンは安全なところからイタッチ達をサポートしてきた。

 だが、今回はそれを対策されていた。

 ネットを使って入り込むということは、ネットがなければ入れないということだ。負担は増えるが、セキュリティカードの更新は直接機械の前で行うことで、ネットを使わないで扉を管理している。


 アンが実際にその場に行けば、機械を操作してセキュリティを開放することができたかもしれない。しかし、今回はダッチが単独で潜入しているため、それはできない。


「んじゃどうすんだ? このままじゃ先に進めねぇぞ」


 ダッチは頭を掻きむしりながら、扉のことを睨みつける。しかし、睨んだところで扉が怯えて開いてくれるはずもない。


 しばらく考えた後、アンはある提案をする。


「ダッチさん、一つ方法があります!!」


「方法? どんなだ?」


 ダッチは無線を片手で押さえる。

 どんな方法を提案されるのかはわからない。だが、今はそれしか手段がないのだ。どれだけ無茶な作戦だったとしてもやり切るつもりでダッチは話を聞いた。


「敵からセキュリティカードを奪うんです!」


「敵から奪うだと!?」







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