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第73話 『戦闘! ゲンゴロウvsイタッチ』

参上! 怪盗イタッチ




第73話

『戦闘! ゲンゴロウvsイタッチ』




「イタッチはこっちです!!」


 ネコ刑事、コン刑事、ゲンゴロウの三人はイタッチを追いかけて、太陽の紋のある展示室へと辿り着いた。そこではすでにお宝をイタッチが手に入れており、逃げるところであった。


「逃がさないっすよ。イタッチ!!」


 三人はイタッチを囲んで逃げ場を塞ぐ。

 展示室の広さは20メートルの正方形。部屋の中央にガラスケースがあり、普段はそこにお宝が展示されている。

 出入り口は一つであり、それ以外には出口に使えそうな場所はない。


 イタッチがお宝を手にして美術館から出る方法は、三人を倒して逃げるしかない。


「ネコ刑事、天月刑事。君達は出口を塞いでいてくれ」


 ゲンゴロウはマシンガンを手に戦闘体制となる。ネコ刑事とコン刑事の二人はゲンゴロウの邪魔にならないように扉の前に立つ。


「怪盗イタッチ。君の戦績は見させてもらった。かなりの実力者のようだね……」


「そりゃどうも。アンタも強そうだな」


 イタッチはマントの裏から折り紙を取り出す。最初から折り紙を使うようだ。それだけゲンゴロウを警戒しているということだろう。


 ゲンゴロウはニコリと笑い、イタッチに銃口を向ける。


「ああ、俺は強いさ……」


 ゲンゴロウは引き金を引いて弾丸を放つ。次々と弾丸が発射されて、イタッチを蜂の巣にしようとする。しかし、イタッチは素早く折り紙で盾を作り、弾丸を防いだ。

 弾丸は盾に弾かれて、イタッチまで届かない。ゲンゴロウは身体の向きをそのままに、回り込むように移動しながら撃ち続ける。


 イタッチはゲンゴロウの動きに気づくと、盾の向きを変えて弾丸から身体を守る。ゲンゴロウがイタッチの周りを半周ほどした頃。ゲンゴロウは弾丸を放ちながら前進する。

 弾丸と共にイタッチに正面から突撃した。


 イタッチは盾を構えた状態でゲンゴロウを迎え撃つ。


「どうするつもりなんすか!?」


 二人の戦いを見ていたコン刑事は、まっすぐ向かっていくゲンゴロウの姿に動揺する。

 このまま突撃しても盾で防がれてしまう。どうやって盾を突破するつもりなのだろうか。


 ゲンゴロウは盾の前に辿り着くと、脚を高く上げて盾に脚を引っ掛ける。そして盾を足場にして駆け上がった。そうして盾より高く飛び、イタッチの頭上をジャンプする。


「盾を足場に!? そんな方法があるんすか!?」


 イタッチの頭の上を飛ぶゲンゴロウ。彼はマシンガンを構えると、下にいるイタッチに向けて弾丸を放つ。雨のように弾丸が降り注ぎ、地面を抉り、砂煙が立つ。


 空中を一回転したゲンゴロウは着地すると、打ち切ったマシンガンをリロードする。

 そして弾丸を入れ終えると、振り返って砂煙の方へと銃口を向けた。


「怪盗イタッチ。君はこの程度でやられる人間じゃないだろう……。そろそろ姿を見せたらどうだ?」


 ゲンゴロウは砂煙の中に話しかける。すると、煙の中からイタッチの声が聞こえてくる。


「バレてたか。油断したところを攻撃してやろうと思ってたが……」


 煙が散ってなくなると、イタッチの姿が見えてくる。イタッチは折り紙で作った防弾チョッキを着ており、それで弾丸の雨を防いだようだ。

 イタッチは着ていた防弾チョッキを脱ぎ捨てる。かなり重たいようでドシリと音を立てる。


「脱いでよかったのか?」


 ゲンゴロウが聞くと、イタッチはニヤリと笑う。


「ああ、あれを着てたら重たくてまともに動けないからな」


 イタッチは新たに折り紙を取り出すと、今度は剣を作った。


「次は俺からいくぜ!」


 イタッチは剣を持ってゲンゴロウに飛び掛かる。ゲンゴロウは向かってくるイタッチに向けて的確に発砲して撃ち抜く。


「偽物か!」


 撃ち抜かれたイタッチは折り紙でできており、イタッチの作った分身であった。

 ゲンゴロウがそれに気づくと同時に、ゲンゴロウを囲むように天井からイタッチが三体現れて、ゲンゴロウへと向かってくる。

 三体全てに剣が装備されており、見た目や動きだけでは本物を見破ることができない。


 ゲンゴロウは銃口を下げると、腰につけたベルトから手榴弾を取り出した。そしてそれを向かってくるイタッチ達の中央に投げる。


「っ!?」


 手榴弾が爆発して爆風が部屋を揺らす。近くでの爆発であったため、ゲンゴロウも軽い火傷を負ったが、三体のイタッチを爆炎の中に入れることに成功した。


「この距離で爆弾は使わないと思ったか……?」


 ゲンゴロウは銃口を上げて、爆炎の中にいる三体のイタッチに向けて発砲する。一匹一匹、確実に仕留めていき、全てのイタッチを倒し終わった。


「あの中に本物がいたのか? ……いや、そうじゃないな」


 ゲンゴロウはマシンガンの銃口を部屋の中央にあるガラスケースに向ける。そしてガラスケースに発砲した。

 太陽の紋を展示していたケースが粉々に砕かれると、その後ろから本物のイタッチが姿を見せた。


「よく俺がここに隠れているのに気づいたな」


「全て偽物。君の戦い方を見て分かったよ。大胆に見えて慎重、それが君の本質か……」









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