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第70話 『コン刑事の覚悟』

参上! 怪盗イタッチ




第70話

『コン刑事の覚悟』




 ネコ刑事からフクロウ警部の考えについて聞かされたコン刑事。彼女はそれを聞き、下を向いて拳を握りしめた。


「警部はアタシのために……なのにアタシは警部に酷いことを…………」


 コン刑事から聞いたフクロウ警部の考え。それはコン刑事のことを考えて、上層部に反発しないというものだった。


 フクロウ警部もネコ刑事も色々抱えているため、実力は認められていても、警察官としてキャリアを登っていくのは厳しい。

 その二人に比べて、コン刑事はまだ新人である。これから先の将来もあり、今後は昇格していくことを考えれば、上層部と問題を起こすわけにはいかない。


 フクロウ警部はコン刑事の将来を考えたからこそ、上層部に反発することをやめて、今回は命令を聞くことにしたのだ。


 ネコ刑事は近くにあるベンチに座り、ポケットに入れられたアイテムを取り出す。それはネコ刑事の作った超小型水筒である。手のひらサイズの水筒であるが、不思議な技術で圧縮しており、1リットル以上のお茶が入っている。

 ネコ刑事はそれをストローで吸いながら飲む。


「警部のことだから酷いこと言ったなんて気にしてないよ。事情が分かったなら戻ろう」


 ネコ刑事はストローを咥えながら、コン刑事に告げる。すると、コン刑事はネコ刑事の想像を超えたことを口にした。


「分かったっす。なら、アタシ達でイタッチを捕まえましょうっす!!」


「イタッチを捕まえるか〜………………………ってうおぉっ!? 何言い出してんの!?」


「フクロウ警部がアタシのことを考えてくれてるのは分かったっす。でも、アタシも覚悟を決めてここに来たんすよ。警部に見せつけてやりましょう、アタシの本気ってやつを!!」


「ちょっと待て、僕はやりたくは…………」


「さぁ、イタッチを逮捕するっすよ!! ネコ刑事、現場に向かうっす!!!!」


「おい、やめ…………僕は…………」


 コン刑事はネコ刑事を引き摺りながら、休憩室を出て行った。



 ⭐︎⭐︎⭐︎



 轟美術館にある太陽の紋の展示室。そこにゲンゴロウ達が集まっていた。彼らはマシンガンなどで武装して、イタッチを捕まえるというよりも倒そうとしている装備だ。


「我々の任務はイタッチの捕獲だ。マンデリンの件もあるため、生かして捕まえるのが望ましいが、難しい場合は手段を選ばずに攻撃しても構わない」


 ゲンゴロウは部下達に今回の作戦について説明する。


 ゲンゴロウ達は元々自衛隊であり、災害時の救助や非常時の任務を行なっていた。そんな彼らであるが、とある地下で発生した巨大ネズミの駆除を行うこととなった部隊である。

 多くの犠牲を出し、完璧な駆除はできなかったが、それでも長い間戦闘を繰り広げてきた。

 その後も特殊部隊として独立して、多くの任務をこなしてきた彼らは国内最強の軍隊と一つと呼ばれるようになった。


「では皆、作戦通りの配置につけ。イタッチを迎え撃つぞ」


「はい!!」


 ゲンゴロウの指示に従い、数十名の部下達が美術館に散会する。


 一人の兵士の視界に一人以上が映るように、固まりながらの陣形であり、これは誰かがイタッチと入れ替わらないようにする対策である。

 そんな彼らが警備する美術館にある人物が訪ねてくる。


「通してっす! アナタ達には任せられないっすよ、アタシ達も警備に参加するっす!!」


「やめてください。関係者以外立ち入り禁止です」


 兵士に止められながらも、無理やり中に入ろうとする女性警官。黄色い毛皮を持ち、尻尾はふわふわとしている。

 その警官の後ろにいる男性警官は、女性警官を止めようと説得をする。


「天月刑事、無理だよ。諦めるんだ」


「先輩も協力してください。アタシ達も警備に参加させてもらうんすよ!!」


 強引に中に入ろうとするコン刑事だが、ゲンゴロウの部下が集まってきて、扉を固め始める。


「やめてください。ここは立ち入り禁止です」


「アタシは警官っすよ。関係者っす!!」


「でも、フクロウ警部さんの部下さんでしょ。今回は任務から外されているはずです。命令違反として報告しますよ」


「いいっすよ。アタシはその覚悟できたんすから!!」


 一歩も退かないコン刑事。そんなコン刑事の姿を見たネコ刑事もため息を吐くと、兵士達に頭を下げる。


「僕からもお願いします。今回我々が任務を外されているのは知っています。それでも僕達は協力したいんです!!」


 頭を下げたネコ刑事を見て、コン刑事は少し冷静さを取り戻す。そしてネコ刑事に並んで頭を下げた。


「お願いするっす。どうしても参加したいんす」


 二人が頭を下げていると、美術館の中から足音が聞こえてくる。そしてその声の人物は少し楽しそうに呟く。


「君達はフクロウ君の部下だね。まったく……彼もそうだったが、その部下の君達もか」


 やって来たのはゲンゴロウだ。彼らは部下の横を通り、ネコ刑事達の前に立つ。

 ゲンゴロウの体長はネコ刑事達の1.5倍はあり、二人のことを見下ろす。


「どうしてここに来たのかい?」


「警備に参加させてほしいんです」


 コン刑事が答えると、ゲンゴロウは頭を掻きながら、腕時計を確認する。


「まだイタッチが現れるまでは時間があるか。二人とも中で話そうか」


 ゲンゴロウはそう言い、二人を美術館に招き入れた。








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