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第68話 『崩壊へとカウントダウン』

参上! 怪盗イタッチ




第68話

『崩壊へとカウントダウン』




 時計がカチカチと音を鳴らし、秒針が回る。コートを羽織り、毛並みを整える。


「さてと、スペリオン、ミシガル、ヒュンドル、エリー、オタリオン。準備は良いかね?」


 ヤギはニヤリと笑い、仮面とフードで姿を隠した仲間達に話しかける。彼らはコクリと頷くと、ヤギの後ろに並んで立った。


「では、撮影を開始してくれ……」


 ヤギの指示を受けて、カエルはカメラのスイッチを入れた。




 ⭐︎⭐︎⭐︎



 イタッチがカケココロを手に入れた翌日。全国を震撼させる事件が起きる。

 そのニュースは現地の映像とともに報道され、国民に恐怖を植えつけた。


 瓦礫を埋もれた建物。パトカーと警官が建物を囲み、原因を調べていた。



 ──国会議事堂の崩壊──



 建物のある地面のみが揺れて、建物を崩壊させてしまった。奇跡的に怪我人は出なかったが、地面は割れて、そこには瓦礫のみが残った。

 建物の崩壊と同時に、ある人物から国民に向けたメッセージが届けられた。


 コートを羽織ったヤギが、フードの人物達の前に立ち、建物を破壊したのは自分であると宣言した。

 そしてヤギはニヤリと笑い、


「次、イタッチの討伐をする意思を見せなければ、期限を待たずしてこの国を沈めよう」


 マンデリンはそう宣言したのである。




 ⭐︎⭐︎⭐︎



 とある街にある喫茶店。そこにイタッチ、ダッチ、アンの三人が集まっていた。店の扉には貸し切りという看板がつけられており、店内を見えないようにカーテンを閉めていた。


「マンデリンの野郎、なにがしテェんだ!!」


 ダッチは力強くテーブルを叩く。テーブルが揺れて、置かれたコップに入ったコーヒーが波打つ。


 イタッチ達はお宝を手に入れることに成功した。しかし、その翌日、マンデリンは国会議事堂を破壊したのだ。

 それはこの国に対しての脅しであり、彼らの力が本物であり、さらには本気であるという意思表明でもあった。


 興奮するダッチの肩を撫でて、イタッチが落ち着かせる。


「気持ちは分かる。だが、冷静になれ」


「だがよ、相棒!! アイツらなんでこんな回りくどいやり方をするんだ。俺達に復讐をしたいなら、直接来れば良いじゃねぇか!!」


 それでもダッチは落ち着かず、身体を震わせながら叫ぶ。


 マンデリンはモカという人物の弟だ。とある施設の元軍人であり、兄弟で軍人として働いていた過去がある。

 しかし、ある出来事から二人は軍から離れて、モカは逃亡。マンデリンは捕まり監獄へと行くことになった。


 その後、モカはアンを利用して軍のシステムに入り込み、世界中で戦争を起こそうとしたが、イタッチによって妨害された。

 イタッチに敗北したモカの敵討ちのために、マンデリンは釈放後、その関係者を襲撃してまわっていた。


 そしてついにイタッチ達を狙い始めたのである。



 アンはパソコンの画面を見ながら、ぽそりと呟く。


「おそらく私達を孤立させるためでしょう」


 アンはパソコンの画面に映し出された文字を目で追っていく。それはSNSなどで書き込まれたものであり、イタッチ達に対する批判が寄せられていた。


 元々イタッチの世間でも評判は、お宝を盗む悪党である。しかし、特に人を救ったり、悪事を暴いたりという行為をするため、完全な悪党として扱われていない。

 それにイタッチ達を応援している集団やファンもおり、良い意見も悪い意見も同じ程度集まっていた。


 だが、今回の事件が原因で多くのものがイタッチを敵対視し始めた。それは今までイタッチとは無縁の存在だったもの達であり、無関係の泥棒という考えでいた人達が大半だ。

 彼らは自身の身の危険を感じ、今回の事件に巻き込んだ人物としてイタッチを叩き始めたのだ。


 ダッチはアンの言葉を聞き、はぁっとため息を吐く。


「元々味方の少ないもんだろ。なんで孤立させる必要があるんだよ」


 ダッチの問いにアンはパソコンから目線を逸らさずに答える。


「敵でも味方でもない野次馬が敵になったんです。それだけで脅威なんです……。マンデリンの狙いはそれなんですよ」


 イタッチ達とは無縁と関わってこなかった人達。彼らが身の危険を感じたことで、イタッチ達の敵となる。

 味方は増えず、どこを見渡しても敵の状態。マンデリンはこれを作るためだったのだ。


 イタッチはテーブルに置かれたコーヒーを一口飲んでから、


「それにだ。俺達は逃げ続けるがそうすれば、この国を沈めると宣言してる。逃げても捕まっても、俺達に道はない」


「じゃあ、どうすんだ!? 諦めて捕まるのか?」


 ダッチが尋ねると、イタッチはコーヒーをテーブルに置いて、ニヤリと笑った。


「誰が諦めるって? 俺は怪盗イタッチ様だぜ。何があろうと、お宝は手に入れてみせる」


「お宝? 何する気なんだ?」


 イタッチは立ち上がるとマントを靡かせる。


「マンデリンからこの世界を盗んでやる。アイツらの思い通りにさせてやるものか!!」


 それを聞き、ダッチとアンは顔を上げる。


「でも、イタッチさん、どうするんですか?」


「予告状を出すのさ。マンデリンを倒すためにな」








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