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第54話 『ラーテルvs吸血鬼』

参上! 怪盗イタッチ




第54話

『ラーテルvs吸血鬼』




「ここは任せてください」


 イタッチの前に出たラーテルは、イタッチに伝える。イタッチはニヤリと笑うと、


「そうか、なら、任せたぜ。探偵の助手ちゃん」


「はい!!」


 襲いかかってくるダッチ達にラーテルはタックルを仕掛ける。

 しかし、ラーテルの力は弱く、吸血鬼にされたダッチにぶつかったが、動きを止めただけで何も効果はなかった。


「アルカード様のために……」


 ダッチはタックルをしてきたラーテルに噛みつこうとする。タックルの姿勢で身体の前方は密着しているため、首の後ろの方を噛みつこうとする。

 ラーテルの背中に牙が近づき、身体に刺さりそうになった。しかし、ダッチの牙はラーテルに届くことはなかった。


「やっぱりあなたは私の特徴を知らないですよね」



 ◯◯◯


 ラーテル。イタチ科の哺乳類。別名:ミツアナグマ。アフリカ中部、南部などに生息している獰猛な生物である。

 ラーテルの特徴は背中を守る分厚い皮膚である。これはライオンやハイエナの牙からも身を守ることができ、ひっくり返されない限り圧倒的な防御力を持つ。



 ◯◯◯



「シンメンタールさんが私を残した理由はこれです!!」


 ラーテルは噛み付いていたダッチを突き飛ばす。牙が折れて、ダッチが大きく口を開けて痛がる中、ラーテルはポケットからあるものを取り出した。

 そしてそれをダッチの口の中へと押し込んだ。


「ぐぷっ!?」


「吸血鬼の弱点……それは!!」


「この味、この匂いは!?」


「ニクニク!? グァァァ!!」


 ダッチの身体が発光する。そしてダッチの口から牙がなくなった。


「……こ、ここは…………俺は一体何を……?」


「元に戻りましたか、ダッチ」


「うお!? お前は!?」


 ダッチは突然目の前にラーテルがいることに驚く。


「話は後で……。とにかくこれをみんなに食わせてください」


 ラーテルは他に持っていたニンニクをダッチに渡す。ダッチは勢いでニンニクを受け取ったが、訳が分からず周りを見渡してみる。


「アン? 後フクロウどもと、探偵? ……なんだその牙…………牙!?」


 ダッチが皆の変化に目を丸くいるが、ラーテルはそんなダッチの尻を叩いた。


「みんな吸血鬼にされたんですよ。そのニンニクを食わせれば元に戻ります。力を貸してください」


「吸血鬼!? ……お、そこにいるのは相棒か!! 本当なのか?」


 ダッチは奥にいたイタッチを発見する。イタッチは腕を組んで頷く。


「ああ、そうだ。お前の身体能力ならパワーアップしたアイツらにニンニクを食わせるのも余裕だろう」


「ッチ、それで俺を先に戻したのか」


 ラーテルがなぜ、ダッチを最初に元に戻したのか。それはラーテルの特徴を知らずに噛み付く可能性の高さと、その身体能力の高さからであった。

 吸血鬼にされた人間は筋力が上がっているようで、イタッチやラーテルだけではニンニクを食わせきれないと判断した。

 それにイタッチの折り紙やラーテルの特徴はシンメンタール達にはバレている。それらを使っても防がれる可能性がある。


 そこで能力がバレていても、パワープレイで解決できそうなダッチを最初に元に戻したのである。


「おらよ!! テメェら目を覚ましやがれ!!」


 ダッチは次々と吸血鬼達にニンニクを食べさせていく。

 ニクニクを食べた人達は牙が消えて、元の姿へと戻っていった。


「ダッチさん!? これって……」


「うお!? 俺は何を……イタッチ、逮捕だァァァ!!」


「フクロウ警部、そんな余裕はないですよ」


「ネコ先輩もフクロウ警部も無事で良かったっす!」


「ラーテル君、ありがとう。よく頑張ったな」


 吸血鬼にされてしまった人達が全員元に戻り、人数で有利を取っていたローベルだが、形勢が逆転する。


「ぐっ、私の眷属達が元に戻った……だと!?」


 元に戻ったことで皆は協力してローベルを囲む。逃げ場を失ったローベルだが、


「私は……私がお守りしなくては…………お前達に渡すわけには行かんのだ!!」


 ローベルは全身に力を込める。すると、ローベルの身体からオーラのようなものが溢れ出す。そしてそのオーラが屋敷を揺らした。

 揺れる屋敷を見て、フクロウ警部はキョロキョロを首を動かしながら大きく口を開ける。


「な、なんてパワーだ!?」


 ローベルの体内に秘められたエネルギー。ローベルは溢れ出していたオーラを自身の内部へと凝縮させる。


「私がお守りする……必ず…………」


 屋敷は揺れなくなったが、ローベルの身体には屋敷を揺らしたほどのエネルギーが充満していた。


「こんな凄そうなやつに勝てるんすか!?」


 コン刑事がローベルの様子を見て、そんなことを口にする。

 それは皆も感じていた。圧倒的な実力の差。

 しかし、そんな中、一人の男性が前に出た。


「また仲間を取られちゃ、厄介だからな」


 その人物は赤いマントを靡かせて、折り紙を片手に持っていた。


「俺一人で相手をする」


 前に出たのはイタッチ。イタッチは折り紙を折ると、四角い箱を作る。


「一対一で決めようぜ。ローベル」


 そしてイタッチが四角い箱を自身とローベルの間に投げる。すると、二人の身体は箱の中に吸い込まれる。

 二人の姿は屋敷から消えて、四角い箱だけが残った。




「折り紙で作った四角い空間だ。この空間なら自由に暴れられるぜ」


 イタッチは一緒に箱の中に入ったローベルに告げる。

 箱の中はなぜか広く、正方形に1キロの空間が広がっている。


「私達が小さくなったのか……。早く出せ、私はあの方をお守りしなくてはならないのだ」


「出る方法は簡単だぜ。どっちかが負ければ、出られる」









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